2026.10.16
AI

AI導入はインフラで止まる?AI Readiness(AI準備度)診断|AIコンサルティング会社

AI導入はインフラで止まる?AI Readiness(AI準備度)診断| AIコンサルティング会社

AIコンサルティング会社 に相談する前に、AI導入を支えるシステム・IT基盤の準備状況を確認することが重要です。PoCで期待どおりの結果が出ても、データの分散や既存システムとの連携、セキュリティ要件を満たす実行環境の不足などが原因で、本番環境への展開が進まないケースがあります。

本記事では、AI導入を妨げるインフラ上の課題、AIのタイプ別に必要な要件、AI Readiness(AI準備度)を診断する6つの観点、整備ロードマップを解説し、AIコンサルティング会社に依頼すべきケースや選び方も紹介します。

なぜAI導入は「インフラ」で止まるのか?

PoCと本番環境の間にある「インフラの壁」

PoC(概念実証)では、検証を早く進めるために、データを手作業で準備し、少人数で試すことがあります。その場合、既存システムとの連携、権限管理、同時アクセス、障害時の対応などは検証の対象外になります。

一方、本番環境では次のような要件を同時に満たす必要があります。

  • 業務システムから最新データを自動で取得できること
  • 利用者ごとに閲覧できるデータを制御できること
  • 利用者が増えても応答速度とコストを管理できること
  • 回答の精度や障害を継続的に監視できること

PoCで成果が出ても、これらの要件を満たす基盤がなければ本番展開は進みません。本記事では、このPoCと本番環境のギャップを「インフラの壁」と呼びます。

PoCから本番環境へ進む際に満たすべき4つのインフラ要件 AIコンサルティング会社
PoCから本番環境へ進む際に満たすべき4つのインフラ要件

従来システムとAIシステムの要件の違い

AIシステムは、従来の業務システムとは前提となる要件が異なります。既存のIT基盤をそのまま利用できるとは限らない点に注意が必要です。

観点従来の業務システムAIシステム
扱うデータ主に構造化データ(DB・帳票)文書・画像・音声などの非構造化データも含む
処理の特性決められたロジックで同じ結果を返す確率的に結果を生成するため、精度の監視が必要
処理タイミング夜間バッチなど定期処理を含む対話型の用途ではリアルタイム応答が必要
リソース比較的予測しやすい従量課金のAPIでは、利用量に応じて費用が変動
改善サイクル機能追加時に改修データ・プロンプト・モデルを継続的に改善

長期運用されてきたシステムで見られる課題

長期間運用されているシステムでも、APIや連携機能を備えていて、そのままAIと連携できるケースもあります。一方で、システムの設計時期や改修の経緯によっては、次のような課題が見られることがあります。

  • 外部連携を想定した設計になっておらず、APIがない、または利用できる範囲が限られている
  • 業務データがExcelやファイルサーバーに分散し、形式が統一されていない
  • システムの仕様が属人化しており、改修の影響範囲を把握しにくい
  • 既存ベンダーの契約・保守範囲により、自社だけでは改修を判断できない

これらはAI導入以前から存在する課題でもありますが、AIの活用を具体的に検討する段階で顕在化しやすくなります。ただし、こうした課題があっても、システムの刷新が必須になるとは限りません。後述する連携パターンや段階的なアプローチで対応できる場合もあります。

AIのタイプ別に求められるインフラ要件

一口に「AI導入」といっても、活用するAIのタイプによって必要なインフラは大きく異なります。自社が目指すユースケースに合わせて要件を整理することが、診断の第一歩です。

生成AIチャット・社内アシスタント

ChatGPTのような対話型AIを社内向けに提供するケースです。比較的始めやすい一方で、次の基盤が必要になります。

  • 社内認証(SSO)と連携した利用者管理
  • 外部LLM APIとの安全な接続(入力データの取り扱い規約の確認を含む)
  • 利用ログ・プロンプトの記録と監査の仕組み
  • 部門・利用者ごとの利用量とコストの把握

RAG(社内文書検索・ナレッジ活用)

社内の規程、マニュアル、過去の提案書などをAIに参照させて回答させる仕組みです。社内文書を扱うため、生成AIチャットの基盤に加えて、次の仕組みが必要になります。

  • PDF・Word・Excelなどの文書を取り込み、テキスト化・分割する前処理パイプライン
  • 文書を検索するためのベクトルデータベース
  • 元の文書の閲覧権限をAIの回答にも反映する仕組み(文書単位のアクセス制御)
  • 文書の更新を検知し、検索インデックスに反映する仕組み

構成例:閲覧権限を反映したRAG

RAGでは、すべての文書を1つの検索インデックスにまとめると、本来は閲覧権限のない文書の内容がAIの回答に含まれるおそれがあります。これを防ぐ構成の一例が、文書の取り込み時に権限情報をメタデータとして付与し、検索時に利用者の所属グループで絞り込む方法です。

閲覧権限を反映したRAGの構成例 AIコンサルティング会社
閲覧権限を反映したRAGの構成例

検索処理のイメージは次のとおりです(概念を示すための簡略化した例です)。

# 1. SSO(IdP)の認証情報から、利用者の所属グループを取得する
user_groups = get_groups_from_token(access_token)  # 例: ["sales", "all_staff"]

# 2. 権限メタデータで絞り込んだうえで、類似文書を検索する
chunks = vector_store.search(
    query=question,
    top_k=5,
    filter={"allowed_groups": {"$in": user_groups}},
)

# 3. 絞り込まれた文書だけをLLMに渡し、出典付きで回答を生成する
answer = llm.generate(question=question, context=chunks, cite_sources=True)

この構成を実現するには、元の文書管理システムから権限情報を取得できること、SSOから利用者の所属グループを取得できることが前提になります。インフラ診断では、この2点を早い段階で確認します。

あわせて、セキュリティ上は次の点に注意が必要です。

  • 権限の判定はサーバー側で行う:利用者のグループ情報は、サーバー側で検証した認証トークンから取得します。画面やリクエストで送られてきた値をそのまま検索条件に使うと、改ざんにより他部門の文書を参照されるおそれがあります。
  • 権限メタデータは利用者が変更できないようにする:メタデータは取り込み処理が元システムの権限から付与し、利用者や文書作成者が自由に編集できない状態で管理します。
  • 権限の変更・取り消しを反映する:異動・退職や文書の公開範囲の変更が、検索インデックスに反映されるまでの時間差を把握しておく必要があります。機密性の高い文書では、検索結果を返す前に元システムで閲覧権限を再確認する方式も検討します。
  • キャッシュや履歴にも注意する:回答のキャッシュや会話履歴を共有する仕組みがある場合、権限の異なる利用者に同じ回答が表示されないように設計します。

AIエージェント・業務自動化

AIが判断するだけでなく、システムへの登録や更新、メール送信などの操作まで行うケースです。参照だけでなく書き込みを伴うため、本記事で取り上げる4つのタイプの中では、システム連携と権限設計の範囲が広くなる傾向があります。

  • 基幹システム・SaaSへの書き込みが可能なAPI
  • ワークフローエンジンや承認フローとの連携
  • AIが実行できる操作の範囲を制限する権限設計
  • 誤操作時に処理を停止・巻き戻すための仕組みと操作ログ

AIエージェントでは、操作のリスクに応じて人の関与を強める、という考え方で制御を設計する方法があります。以下はその一例であり、すべてのシステムに当てはまるルールではありません。

操作の種類例制御の例
参照在庫・納期の照会AIが自動で実行
下書き作成見積書・返信メールの下書きAIが作成し、担当者が確認して確定
登録・更新受注データの登録担当者の承認後に実行
外部送信・支払い取引先へのメール送信、支払処理人による承認を必須にする、または当面はAIの操作対象から外す

どの操作をどこまで自動化するかは、業務内容、誤操作時の影響範囲、操作を取り消せるかどうか、社内規程などをもとに、ユースケースごとに判断します。

予測・分析AI(機械学習)

需要予測、異常検知、与信判断など、過去のデータから予測モデルを構築するケースです。

  • 過去データを長期間蓄積・統合したデータウェアハウス
  • 学習用データを継続的に作成するデータパイプライン
  • モデルの学習・推論に必要な計算資源(必要に応じてGPU)
  • モデルのバージョン管理と精度劣化の監視(MLOps)

タイプ別インフラ要件の比較

AIのタイプ別に求められるインフラ要件  AIコンサルティング会社
AIのタイプ別に求められるインフラ要件

※難易度とセキュリティ要件は、タイプ同士を比較するための相対的な目安です。実際の水準は、システム構成、扱うデータの機密性、対象業務の影響範囲によって大きく変わります。例えば、機密情報を扱わない生成AIチャットでも、個人情報を入力する業務で使う場合は、セキュリティ要件が高くなります。

まずは目指すユースケースがどのタイプに該当するかを確認し、そのタイプで「特に重要な基盤」から優先的に診断することをおすすめします。

インフラ面のAI Readinessを診断する6つの観点

ここからは、システム基盤を6つの層に分けて、AI Readinessを診断する観点をご紹介します。各観点について「準備ができている状態」「よくある不足のサイン」「確認すべき質問」を整理しています。

なお、AIコンサルティング会社がAI Readinessを評価する際は、インフラだけでなく戦略・人材・ガバナンスまで含めて確認します。全体の評価項目については、「AI Readiness(AI準備度)の7つの評価要素」をご覧ください。

システム基盤を6つの観点に分けて診断する AIコンサルティング会社
システム基盤を6つの観点に分けて診断する

① データ基盤(収集・統合・品質管理)

準備ができている状態 主要な業務データが特定の基盤に集約され、定期的に更新されています。データの定義や責任者が明確で、品質を確認する仕組みがあります。

よくある不足のサイン

  • 同じ顧客や商品が、システムごとに異なるコードや名称で管理されている
  • 必要なデータを集めるたびに、担当者が手作業でExcelを加工している
  • 重要な文書がスキャン画像のまま保存され、テキストとして読み取れない

確認すべき質問

  • AIに使いたいデータは、どのシステムに、どの形式で保存されていますか?
  • そのデータを自動で、定期的に取り出す方法はありますか?
  • データの品質に責任を持つ部署は決まっていますか?

② システム連携(API・ETL・iPaaS)

準備ができている状態 主要な業務システムがAPIを備えているか、ETLツールやiPaaSを通じてデータを連携できる状態です。システム間のデータの流れが図として整理されています。

よくある不足のサイン

  • 基幹システムからのデータ取得がCSVの手動出力に限られている
  • システム構成図やデータフロー図が存在しない、または古い
  • 連携のための改修に、既存ベンダーへの依頼と長い調整期間が必要になる

確認すべき質問

  • AIと連携させたいシステムには、参照用・更新用のAPIがありますか?
  • APIがない場合、データベースへの直接接続やファイル連携は可能ですか?
  • 連携の改修を、自社の判断で進められる体制・契約になっていますか?

APIがない場合の連携パターン(例)

基幹システムにAPIがない場合でも、次のような方法でデータを連携できることがあります。どの方法が使えるかは、システムの仕様や保守契約によって異なります。

連携パターン概要注意点
DBビュー・読み取り専用レプリカ参照用のビューや複製DBからデータを取得する本番DBへの負荷とアクセス権限の管理が必要
CDC(変更データキャプチャ)DBの変更ログを読み取り、差分をデータ基盤へ反映する対応するDB製品・バージョンの確認が必要
ファイル連携定期出力されるCSVなどを自動で取り込むデータの鮮度は出力間隔に依存する
画面操作の自動化(RPAなど)画面を操作してデータを取得・入力する画面変更の影響を受けやすく、最終手段として検討

③ コンピューティング環境(クラウド・オンプレミス・ハイブリッド)

準備ができている状態 AIの処理を実行する環境の方針が決まっており、利用量の増減に応じてリソースを調整できます。外部AIサービスを利用する場合の社内ルールも定められています。

よくある不足のサイン

  • クラウド利用の社内ルールがなく、検討のたびに個別承認が必要になる
  • オンプレミス環境のリソースに余裕がなく、新しい処理を追加できない
  • 外部LLM APIへの通信がネットワーク設定で制限されている

確認すべき質問

  • AIの処理は、クラウド・オンプレミス・ハイブリッドのどれで実行する方針ですか?
  • 扱うデータを社外のクラウドやAPIに送信してよいか、判断基準はありますか?
  • 利用者が増えた場合に、処理能力をどのように拡張しますか?

④ セキュリティ基盤(ID管理・ネットワーク・データ所在)

準備ができている状態 利用者のIDが一元管理され、AIが参照するデータにも既存の権限が反映されます。機密データの保存場所や通信経路が管理されています。

よくある不足のサイン

  • システムごとにIDが分かれており、利用者単位の権限制御が難しい
  • AIが参照する文書に、閲覧権限のない人向けの情報が混在している
  • 外部AIサービスとの通信経路やデータの保存リージョンを把握できていない

確認すべき質問

  • AIの利用者を、既存の認証基盤(SSOなど)で管理できますか?
  • 元データの閲覧権限を、AIの回答にも反映できますか?
  • 閉域接続や国内リージョンでの処理が必要なデータはありますか?

⑤ 運用・監視基盤(MLOps / LLMOps)

準備ができている状態 AIの稼働状況、回答の精度、エラー、コストを継続的に確認できます。データやプロンプトを更新した際に、品質を検証してから反映する手順があります。

よくある不足のサイン

  • AIの回答内容や利用状況のログを保存していない
  • 精度が下がっても、利用者からの問い合わせがあるまで気づけない
  • プロンプトやモデルを変更する際の検証・承認の手順がない

確認すべき質問

  • AIの入力・出力・エラーを記録し、後から確認できますか?
  • 回答精度を定期的に評価する指標と方法は決まっていますか?
  • 障害が発生した場合の一次対応者と連絡手順は決まっていますか?

監視指標の例

生成AIやRAGを本番運用する場合、例えば次のような指標を組み合わせて監視します。

区分指標の例確認する目的
システム応答時間(p95)、エラー率、タイムアウト件数利用者体験と障害の早期発見
コストトークン使用量、部門別・機能別の費用予算超過の防止
品質評価用の質問セットに対する正答率、出典の提示率精度劣化の検知、変更前後の比較
利用状況利用者数、回答への低評価率定着度の把握と改善点の発見

特に、プロンプトや参照データを変更する前後で、同じ評価用の質問セットを使って結果を比較できるようにしておくと、品質の変化を客観的に確認できます。

⑥ 拡張性・コスト構造

準備ができている状態 利用量に応じたコストの変動を試算しており、予算の上限やアラートを設定しています。対象部門や機能を段階的に広げる前提で設計されています。

よくある不足のサイン

  • PoCの費用だけを基準に、本番運用の予算を見積もっている
  • LLM APIのトークン課金やクラウドの従量課金を把握できていない
  • 特定のAIサービスに強く依存しており、他のサービスへの切り替えが難しい

確認すべき質問

  • 利用者数や処理件数が10倍になった場合、コストはどう変化しますか?
  • 部門別・機能別にコストを把握し、上限を設定できますか?
  • 将来、利用するAIモデルやサービスを切り替えられる設計になっていますか?

コスト試算の考え方(計算例)

従量課金のLLM APIを利用する場合、月間のトークン数を試算すると、利用拡大時のコストを見通しやすくなります。以下は、社内向けRAGを想定した仮の条件による計算例です。

項目仮の条件計算
月間リクエスト数利用者500人 × 1日10回 × 20営業日100,000回
入力トークン数1回あたり3,000トークン(質問・指示・検索した文書)3億トークン
出力トークン数1回あたり500トークン5,000万トークン

月額のAPI費用は「入力トークン数 × 入力単価 + 出力トークン数 × 出力単価」で概算できます。単価はモデルやサービスによって異なり、改定されることもあるため、最新の料金表で確認してください。

この例で利用者が5,000人に増えると、入力トークン数は30億トークンになります。また、RAGでは検索した文書を入力に含めるため、入力トークンの大部分を参照文書が占めることがあります。検索件数(top_k)や文書の分割サイズの調整は、回答精度だけでなくコストにも影響します。

なお、この計算はLLMによる回答生成のAPI費用のみを対象としています。実際の運用では、次の費用も別途見込む必要があります。

  • 文書の取り込み・更新時や質問時に発生するEmbedding(ベクトル化)の費用
  • ベクトルDBの保存容量と検索処理の費用
  • アプリケーション、データ基盤、ネットワークなどのインフラ費用
  • ログの保存、監視・評価ツールの費用
  • 質問の書き換え、検索結果の並べ替え(リランキング)、回答の評価など、構成によって追加で発生するモデル呼び出し
  • 運用・保守を担う人員の費用

既存システムをどう扱うか:3つのアプローチ

診断の結果、インフラに課題が見つかった場合でも、すべてを刷新する必要があるとは限りません。目的や予算、時間軸に応じて、次の3つのアプローチから選択します。

既存システムを扱う3つのアプローチの比較 AIコンサルティング会社
既存システムを扱う3つのアプローチの比較

アプローチ1:既存システムを活かしてAIを外付けする

既存システムには手を加えず、APIラッパーやミドルウェアを介してAIと連携させる方法です。短期間・低コストで始められる一方、連携できるデータや機能には制約があります。

アプローチ2:データ基盤を先に整備し、段階的に統合する

複数のシステムに分散したデータを共通のデータ基盤に集約し、AIはその基盤を参照する構成です。既存システムへの影響を抑えながら、複数のAIユースケースに展開しやすくなります。複数部門でのAI活用を想定しており、基幹システムをすぐには刷新できない場合に、検討しやすい選択肢です。一方で、単一のユースケースを短期間で試したい場合は、アプローチ1の方が適していることもあります。

アプローチ3:基盤ごと刷新・モダナイズする

老朽化した基幹システムのクラウド移行やマイクロサービス化と、AI導入を合わせて進める方法です。3つのアプローチの中では中長期的な拡張性を確保しやすい一方で、期間と投資が大きくなり、業務への影響も慎重に管理する必要があります。AI導入だけを理由に刷新を判断するのではなく、保守期限、業務要件の変化、運用コストなど、ほかの理由と合わせて検討するのが現実的です。

レガシーシステムのモダナイズについては、「レガシーシステムのモダナイゼーション」で詳しく解説しています。

観点① 外付け② データ基盤先行③ 基盤刷新
初期コスト低中高
導入までの期間短い中程度長い
既存業務への影響小小〜中大
将来の拡張性限定的高い非常に高い
適したケース単一ユースケースを早く試したい複数部門でAI活用を広げたい基幹システムの更新時期が近い

※コスト・期間は3つのアプローチを比較した相対的な目安です。

インフラ整備のロードマップ例

インフラ整備とAI導入は、別々に進めるのではなく、並行して段階的に進めることが重要です。以下は、アプローチ2(データ基盤先行)を採用した場合のロードマップの一例です。

インフラ整備のロードマップ例(期間は参考例) AIコンサルティング会社
インフラ整備のロードマップ例(期間は参考例)

フェーズ1:現状把握とユースケースの絞り込み(0〜3か月目)

  • システム構成、データの所在、連携方法を棚卸しする
  • 本記事の6つの観点でインフラを診断し、課題を一覧化する
  • 効果と実現性のバランスがよいユースケースを1〜2件に絞る

フェーズ2:最小限の基盤構築とPoC(3〜6か月目)

  • 対象ユースケースに必要なデータパイプラインとAPIを構築する
  • 認証・権限・ログなど、本番を見据えた最低限のセキュリティを組み込む
  • 実データを使ってPoCを行い、精度・コスト・運用負荷を検証する

フェーズ3:本番展開と運用基盤の整備(6〜12か月目)

  • 監視・評価・コスト管理の仕組みを整え、本番環境へ展開する
  • 利用状況と効果を測定し、改善サイクルを回す
  • 整備したデータ基盤を活用し、次のユースケースへ展開する

各フェーズの期間は、説明のための参考例です。対象ユースケースの範囲、連携するシステムの数、データの整備状況、社内の承認・調達プロセスなどによって、短くなることも長くなることもあります。重要なのは、PoCの段階から本番環境の要件を意識して基盤を設計することです。

インフラのAI ReadinessとAI Maturity(成熟度)の関係

AI Readinessは「AI導入を始められる状態か」を、AI Maturity(成熟度)は「AIを継続的・組織的に活用できているか」を示す考え方です。インフラについても、成熟度が上がるにつれて求められる水準は変化します。

  • 導入初期:単一ユースケースを安全に動かすための認証・連携・ログ
  • 展開期:複数部門で再利用できるデータ基盤と共通のAI実行環境
  • 定着期:MLOps / LLMOpsによる継続的な改善と、全社的なコスト・リスク管理
AI Maturity(成熟度)の段階に応じたインフラ AIコンサルティング会社
AI Maturity(成熟度)の段階に応じたインフラ

現在の段階に合ったインフラ投資を行うことで、過剰投資や手戻りを防ぐことができます。両者の違いについては、「AI ReadinessとAI Maturityの違い」で詳しく解説しています。

AIコンサルティング会社に依頼すべきケースと選び方

社内だけではインフラ診断を進めにくいケース

  1. AIとインフラの両方を判断できる人材が社内にいない AIの要件とシステム基盤の制約を同時に検討する必要があるため、どちらか一方の知見だけでは構成を判断しにくい場合があります。
  2. 自社システムを客観的に評価しにくい 長年運用してきたシステムでは、運用上の制約が前提となり、課題として認識されていないことがあります。
  3. 既存ベンダーの立場に判断が左右されやすい 既存システムの保守ベンダーだけに相談すると、提案の範囲が現行製品や契約範囲に限定される場合があります。

これらに当てはまる場合は、第三者の立場から診断と設計を行うAIコンサルティング会社の活用を検討するとよいでしょう。

AIコンサルティング会社が提供するインフラ診断の内容

支援範囲は会社によって異なりますが、例えば次のような内容があります。

  • 現行システム構成、データの所在、連携方法のヒアリングと可視化
  • 想定ユースケースに必要なインフラ要件の整理
  • 6つの観点に基づく課題の洗い出しと優先順位付け
  • 外付け・データ基盤先行・刷新など、アプローチ別の構成案と概算費用の提示
  • PoCから本番環境までのロードマップの策定

AIコンサルティング会社を選ぶ5つのポイント

  1. 提案だけでなく、開発・構築まで対応できるか 診断と開発を別の会社に依頼すると、設計の意図が実装に正しく反映されないことがあります。
  2. レガシーシステムとの連携経験があるか 最新技術の知見だけでなく、既存システムを活かした現実的な連携の経験が重要です。
  3. 特定の製品やクラウドに偏らない提案ができるか 自社の要件に応じて、複数の選択肢を比較・提案できるかを確認しましょう。
  4. 本番運用・改善まで支援できるか AIは導入後も、精度・コスト・セキュリティの継続的な管理が必要です。監視や改善の支援体制を確認しましょう。
  5. セキュリティとガバナンスの知見があるか 機密データや個人情報を扱う場合、技術とルールの両面から設計できるかが重要です。

よくある質問

Q1. クラウドに移行しなければ、AIは導入できませんか?

必ずしもその必要はありません。オンプレミス環境を維持したまま、必要な部分だけをクラウドやAIサービスと連携させるハイブリッド構成も選択肢の一つです。扱うデータの機密性や既存システムの状況に応じて、最適な構成を検討します。

Q2. オンプレミス環境のままでも生成AIは利用できますか?

利用は可能です。外部のLLM APIを安全な経路で利用する方法のほか、要件によってはオンプレミスや自社管理のクラウド環境でオープンなモデルを運用する選択肢もあります。ただし、計算資源や運用負荷が増えるため、費用対効果を踏まえた判断が必要です。

Q3. インフラ診断にはどのくらいの期間がかかりますか?

対象とするユースケースの数、システム数、ヒアリング対象の範囲によって大きく変わります。まず診断の範囲を決め、その範囲に基づいて期間を見積もることをおすすめします。特定のユースケースに絞って始めると、短期間で結果を確認しやすくなります。

Q4. 既存のシステムベンダーとAIコンサルティング会社の役割はどう分けるべきですか?

分担の一例として、既存ベンダーが現行システムの仕様理解と改修を、AIコンサルティング会社がAI活用を前提とした全体設計と新たな基盤の構築を担う形があります。プロジェクトの初期段階で三者の役割と責任範囲を明確にしておくことで、調整の手戻りを防げます。

まとめ

AI導入がPoCから先に進まない場合、AIそのものではなく、データ基盤、システム連携、セキュリティ、運用監視といったインフラに原因があるケースがあります。インフラ面のAI Readinessを高めるために、次の点を押さえておきましょう。

  • 目指すAIのタイプによって、必要なインフラ要件は大きく異なる
  • データ基盤、システム連携、コンピューティング環境、セキュリティ、運用監視、拡張性・コストの6つの観点で診断する
  • 既存システムは「外付け」「データ基盤先行」「刷新」の3つのアプローチから現実的な方法を選ぶ
  • PoCの段階から本番環境の要件を見据えて、段階的に整備する

自社だけでの判断が難しい場合は、診断から設計・開発・運用まで一貫して支援できるAIコンサルティング会社への相談も選択肢の一つです。

Relipaは、AI・ブロックチェーン・Web3の領域で10年にわたりシステム開発に取り組んできたテクノロジーカンパニーです。先端技術の研究開発から、業務システムとの連携、本番環境での安定運用まで、実務に根ざした知見を蓄積してきました。

Relipaが選ばれる理由

  • 10年にわたる先端技術領域での開発経験 AI、ブロックチェーン、Web3といった技術変化の激しい領域で、要件定義から開発・運用までのプロジェクトに携わってきました。
  • 経験豊富なエンジニア・コンサルタントによる一貫支援 AIの知見とインフラ・システム開発の知見を併せ持つメンバーが、診断・設計・開発・運用までワンストップで支援します。
  • 既存システムを活かした現実的な提案 レガシーシステムとの連携やデータ基盤の整備を含め、お客様の環境と予算に合わせた最適なアプローチをご提案します。
  • PoCで終わらせない、本番運用を見据えた設計 セキュリティ、監視、コスト管理まで考慮した基盤設計により、AIを業務に定着させるまで伴走します。

「自社のシステムがAI導入に対応できるのか分からない」「PoCの後、本番化に進めずに困っている」といったお悩みがございましたら、まずは現在のシステム環境と目的の整理からお気軽にご相談ください。

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