【2023年版】もっとも使用されている ブロックチェーンフレームワーク トップ5!メリットやデメリット、選び方も解説!
ブロックチェーンの用途は、独自通貨の流通や管理、NFTやゲーム、さらに金融サービスや身分証明、資産管理、トレーサビリティに至るまで広範囲にわたって広がりを見せています。これらブロックチェーンサービスの開発に欠かせないのが、「 ブロックチェーンフレームワーク 」です。開発目的に合ったフレームワークを有効利用することで、開発スピードやブロックチェーンの精度は大幅に高まります。
今回は、【2023年版】もっとも使用されているブロックチェーンフレームワークトップ5をご紹介します。それぞれのメリットやデメリット、選び方についても解説するので、これからブロックチェーン開発を検討されている皆様はぜひ参考にしてください。
ブロックチェーンフレームワーク とは
ブロックチェーンフレームワーク とは、ブロックチェーンプロジェクトを実装するための開発基盤となるフレームワークのことを指します。
ブロックチェーンサービスは、その目的とニーズによって、
・秘匿性の高低
・取引スピード
・独自通貨発行の可否
・スマートコントラクト機能の有無
・パーミッション型か否か
といったさまざまな要素が変化します。
これらの機能を考慮しながら一からブロックチェーンを開発するのは非常に手間がかかり非効率です。しかもブロックチェーン開発は、ただ開発言語の知識があるだけでは完成しません。ハッシュ関数や公開鍵暗号化方式、電子署名といった特有の技術を実装するスキルも必要です。そこで目的に合った ブロックチェーンフレームワーク を活用すれば、開発プロセスが簡略化され、精度の高さも担保されるので非常に便利なのです。
もっとも普及している ブロックチェーンフレームワーク トップ5
現在、もっとも多用されている ブロックチェーンフレームワーク を5つご紹介しましょう。それぞれの用途や特徴、メリット・デメリットも解説します。
Enterprise Ethereum
「Enterprise Ethereum」は、スケーラビリティ問題や秘匿性の低さといった「Ethereum(イーサリアム)ブロックチェーン」の使いにくさを踏まえて、企業向けに設計し直されたブロックチェーンプラットフォームです。
その特徴は、
・秘匿性が高い
・処理スピードが速い
・ガス代が不要で低コスト
・パーミッション型
・スマートコントラクト機能あり
Enterprise Ethereumは、イーサリアムブロックチェーン(Public Ethereum)を基盤に設計されています。イーサリアムは、手数料(ガス代)が高くて、処理スピードが遅いスケーラビリティ問題を抱えているので、多くの企業にとって有効活用するにはハードルが高すぎます。しかもイーサリアムはパーミッションレス型のため秘匿性が低く、ユーザーを限定することができず、これらの点も企業が活用しにくい要因となっています。
これらの問題のソリューションとして開発されたのがEnterprise Ethereumです。国際貿易プロセスのデジタル化、分散型金融サービスの提供、製造業におけるトレーサビリティなど、さまざまな業界で採用されています。ユースケースとしては、単独の企業でブロックチェーンを構築するプライーベート型もありますが、関連団体や業界のプレイヤー同士が協業するコンソーシアム型も多いです。
Hyperledger Fabric
IBMとデジタルアセットホールディングスが開発したものをThe Linux Foundationの「Hyperledgerプロジェクト」に寄贈されてオープンソースとして公開されているのが、「Hyperledger Fabric」です。
特徴は以下の通りです。
・秘匿性が高い
・パーミッション型
・スマートコントラクト機能あり
・企業間ブロックチェーン構築用に開発されている
医療データの管理と共有、航空機部品の所有権データ、修理歴・使用歴の共有、食料品のトレーサビリティ、不動産・保険の契約、IoTなど各方面での使用例が増えています。
Quorum (GoQuorum)
JPモルガンによって開発された、イーサリアムベースでオープンソースのフレームワークです。後にConsensysに買収され、「GoQuorum」という呼び名に変わりました。
特徴は以下の通りです。
・秘匿性が高い
・パーミッション型
・処理スピードが速い
・スマートコントラクト機能あり(ただしデプロイしたスマートコントラクトがアップデートできない)
・企業間ブロックチェーン構築用に開発されている
ユースケースとしては、高級ブランドの真贋証明、銀行間ネットワーク、KYC(顧客の本人確認)基盤などがあります。
Corda
Cordaは、分散型金融取引への利用を目的に開発されたオープンソースのフレームワークです。三菱UFJフィナンシャル・グループやみずほフィナンシャル・グループなど300以上の企業や公的機関が参加する「R3コンソーシアム」によって運用されています。
・秘匿性が高い
・銀行間取引が得意
・処理スピードが速い
・パーミッション型
・スマートコントラクト機能あり
・独自通貨なし
・Corda基盤上で作成されたアプリケーション間のデータ連携が容易
トランザクションの共有範囲を取引ごとに制御できるため、秘匿性が高く、金融や保険、さらに製造業におけるサプライチェーン分野でのユースケースが多いです。
Ripple
独自仮想通貨「XRP」の知名度が高い人気のブロックチェーンフレームワークです。その特徴は、「リップル・トランザクション・プロトコル(RTXP)」という送金システムの中で使用される通貨として開発された点にあります。
リップル・トランザクション・プロトコルは、通貨のスムーズな送金が可能な「XRP Ledger」という分散型台帳と、種類の違う通貨でもどう価値で交換可能な「インターレジャープロトコル(ILP)」によって構築されている金融システムです。スピーディーかつ安全な送金システムは、世界で増加する移民への金融サービス提供策としても注目されています。
Ripple Incによって開発された送金ネットワーク「RippleNet」には、すでに世界40カ国を超える、300以上の金融機関が参加しています。
・秘匿性が低い
・銀行間取引に特化
・独自通貨(XRP)あり
・スマートコントラクト機能あり
・パーミッションレス型
・取引スピードが速い
・手数料が安い
ブロックチェーンフレームワークの選び方
ブロックチェーンフレームワークの選び方について解説しましょう。
目的に合致している
ブロックチェーンフレームワークは、それぞれに特徴や得意ジャンルが異なります。よって開発目的に合ったフレームワークを選択することが大切です。
ライセンスが使いやすい
導入例が多く人気のあるフレームワークのほとんどはオープンソースのため、無料で使用できます。しかし中には、商用向けに有料で提供されているものもあるので、事前によく調べてから利用するようにしましょう。
サポートが充実している
フレームワークは、サポートが充実しているかどうかも非常に重要です。ブロックチェーンは複数の企業やグループでネットワークを構築するケースが少なくありません。しかも秘匿性の高さや取引の正確性、取引スピードの速さを目的として導入されることが多いです。よって、リリース後のトラブルは致命傷になりかねないため、十分なサポートが受けられるかどうかもしっかりと確認しておきましょう。
アップデートの頻度
ブロックチェーンサービスは、ユーザビリティの向上が欠かせません。ニーズの変化や高まりに応じたシステム作りのためにも、アップデートが積極的になされているフレームワークを活用しましょう。
コミュニティの知名度と信頼性
本記事でご紹介したフレームワークは、すでに実績が高く、コミュニティも各国の大手企業を中心に形成されているケースが多いです。導入目的が似ていて、ユースケースが多いフレームワークを選択すると精度の高いブロックチェーンシステムが構築しやすくなるのでおすすめです。
まとめ
ブロックチェーンフレームワークはどれを利用するかによって完成度が大きく異なってきます。自社の導入目的に合致し、ユーザビリティに富んだものを選択してください。