クラウド移行を急ごう!メリットや注意点を徹底解説!

「Office 365」「Gmail」「Zoom」「Chatwork」…みなさんもこのうちのいずれかはご存知だったり、実際に使ったりしたことがあるのではないでしょうか。これらに共通するのは、すべて「SaaS(Software as a Service)」ということ。つまり、クラウドで提供されているソフトウェアサービスばかりです。 

ところで、御社のシステムは、すでにクラウドへの移行はお済みでしょうか。近年、上記のような大手IT企業のサービスを筆頭に、多くの主流なソフトやアプリが急激にクラウド環境へとシフトしています。オンプレミスにも特有の長所がありますが、旧態依然としたシステムでは、DX等の推進はおぼつかないため、いずれビジネスの本流から外れてしまうリスクが高いと言われています。 

そこで今回は、クラウドへ移行するメリットや注意点、さらに実際にクラウド移行した実例を詳しくご紹介します。 

クラウドとは

クラウドとは、正式には「クラウドコンピューティング」といわれ、インターネットを通じて外部サーバーからサービス提供を受ける考え方やシステムを指します。ユーザーは、インターネットに接続できる環境とデバイスがあれば、どこからでもアクセスでき、必要なサービスを好きなだけ利用することが可能です。 

コロナ禍により、多くの企業で、自宅やホテル等どこからでもアクセスでき、オフィスに限りなく近い仕事環境を維持することが至上命題となりました。その意味では、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットでもネットさえあれば情報やデータを共有できるクラウドはうってつけです。 

一方、クラウドと対照的なのが、オンプレミスです。自社内にサーバーを設置し、一からシステム構築を行い、それを機能させる方法は、カスタマイズ性には優れています。しかし、パッケージ型で買い切りのソフトを使わなければならないので、アップデートに手間取り不便なうえ、維持費や専用人材の確保、サーバーの増設など、何かと運用負担も大きくなります。何より、目まぐるしく変化する技術革新の流れに乗りながらクライアントの要求に柔軟に答え続けるのが難しくなるのではないでしょうか。 

クラウド移行が求められる理由

今やクラウドの有用性は世界的に評価され、世界的なITインフラに成長していると言っても過言ではありません。それは、Office 365のようなビジネスツールはもちろん、GmailやChatworkのようなコミュニケーションツールだけでなく、テレワークには欠かせないZoomをはじめとするビデオ会議システムなど、多くのビジネスシーンで欠かす事のできない役割を果たしている現状を見れば、疑問の余地はないでしょう。それどころか、これらの機能を融合させたMicrosoft TeamsやGoogle Workspaceは、クラウドのユーザビリティとポテンシャルを一段とスケールアップして引き出し、従来の働き方にとらわれない新たなワークスタイルの実現を強力に後押ししています。 

さらに踏み込んで見ていくと、例えば医療は、コロナ禍により非接触対応がもっとも求められるようになった分野の一つです。国内では、時限立法で認可されたオンライン診療は恒久化されることになりました。これにともない、電子カルテや診療予約システムなど、オンライン診療と連携して業務効率化と省人化が同時に叶うツールも続々と登場しています。さらには、5Gの普及に伴い遠隔手術に関する技術の高度化も著しいですが、これらの多くはクラウドという概念があってこそ稼働する貴重なシステムなのです。 

ドローンの空撮による画像データの収集や解析により、在庫管理や老朽化した道路や施設の点検が可能になりました。AIロボティクスによる工場や倉庫での検品、VRやAR、 

XRなど仮想空間と現実空間のシームレスな連携を可能にするイノベーションなど、先進的なテクノロジーは、クラウドと切り離せない一対の関係にあります。 

これらのさまざまな業界の動向を鑑みると、DXを確実に推進するためにも急ピッチでクラウド移行を実現しなければならないのは火を見るよりも明らかです。 

クラウドにはこれだけのメリットがある!  

それでは、ここからクラウドのメリットをさらに具体的に掘り下げていきましょう。 

導入しやすくて維持コストが安い 

クラウドは、ソフトウェアの取得やアップデート、データのやり取りや管理などをすべて外部サーバーに任せます。オンプレミスの場合は、サーバーを自社内に設置するので、その設置費用や場所代、さらにはシステム維持やトラブル対応のために内部にIT人材を確保する必要があります。しかし、クラウド環境なら月額料金を支払えば済むので、これらの対応は必要なく、低コストかつスピーディーに導入できます。 

容量調整がしやすい 

ソーシャルメディアやコーポレートサイトなどを運営する際に注意が必要なのが、容量(スケール)調整です。サーバーは、時間ごとに処理できるリクエストの数が決まっているため、それを超えるアクセスがあると処理が追い付かず、最悪の場合はシステムがダウンしてしまいます。しかし、クラウドならオートスケールという形で容量の自動調整が可能です。 

オートスケールなら、シーズンによってサーバーを増やすスケールアウト、逆にアクセスが少ない時期はサーバーを減らすスケールインが、すべて自動化できます。オンプレミスの場合、容量が足りなければサーバーを増設しなければなりません。しかしクラウド環境におけるスケールアウトは、外部ベンダー任せのため、その手間は一切かからず、キャパオーバーを起こす心配もありません。加えて容量に余裕がある時期は、スケールインすれば無駄なコストが抑えられます。 

場所を選ばす利用できる 

クラウドは、ネット環境さえ整えば、場所を選ばずにシステムが利用できます。テレワークやノマドワークなど、オフィス以外での仕事にはうってつけです。 

例えば医療界で見ると、オンラインにより在宅医療が可能となったり、病院と薬局との連携で、自宅に居ながら薬を手にしたりすることもできます。海外では新薬の治験すら、全て遠隔で完了する例があり、国内でも本格的な導入に向けた動きが出ています。 

このように、クラウドによって大幅に場所や時間の制約がなくなることで、多くの人たちの行動の自由度が高まり、QOL(クオリティー・オブ・ライフ)の向上が期待されます。 

保守やトラブル対応を一任できる 

クラウドは、導入から運営、メンテナンスにいたるまで、基本的には外部ベンダーに任せることができます。よって、トラブル時の対応も必要なく、スピーディーな解決が可能であるため、自社内で特別にエンジニアを確保する必要もありません。 

クラウド移行の際に注意するポイント 

実際にクラウドへ移行する際には、注意すべきポイントがあります。一つずつ見ていきましょう。 

クラウド化の目的を明確にする 

クラウド移行に際しては、まず、その目的をはっきりさせることが大切です。導入したものの、とりたててメリットがなかった、となると時間と経費が無駄になります。特に昨今はテレワークをより充実させるために、セキュリティも含めて本格的にシステムの変更を迫られるケースが多いでしょう。EC販売のシェアの増加に伴い、柔軟なスケール調整が急務という場合もあるかも知れません。頻繁なシステムアップデートで最新の機能を迅速に導入しなければ、クライアントのニーズに応えきれないケースもあるはずです。 

「クラウドを何のために導入して、どのような新システムを構築するのか」を社内や関係各所でしっかりと議論を重ねて、最適なかたちとタイミングで導入できるように努めましょう。 

信頼できるベンダーを選定する 

クラウド移行の目的が明確になったら、次はその目的を確実に達成するノウハウや経験をもつベンダーの選定に入ります。社内の考えをくみ取り、改革の方向性を理解して目標を共有しながら確実に実現に近づけるパートナーを見つけましょう。そのためには、実績を詳しく調査したり、実際に導入した企業に聴き取りを行ったりすることが大切です。 

関係者に周知する 

クラウド移行する場合は、社内の関係する部署への周知徹底が必要です。いつから移行するのか、新システムの使い方や注意事項についても確実に伝えて、通常業務に支障が出ないように努めましょう。また、社外でもシステムデータの連携先があれば、移行計画を決定次第、できるだけ早くに伝え、スムーズに新システムに移行できるように要請する必要があります。 

既存システムの解約をする 

既存システムでレンタルしている機器があったり、契約しているサービスがあったりする場合は、解約手続きの方法や申請時期について、早めに確認しておきましょう。 

セキュリティ対策を強化する 

クラウドに移行すると、不正アクセスや情報漏洩リスクが生じます。定期的にパスワードを更新したり、通信データの暗号化を徹底したり、もちろんデータのバックアップも含めて、セキュリティ対策においても信頼できるベンダーを選定するのも大切です。 

クラウド導入事例の紹介

それでは最後に、実際にクラウドへ移行したお客様の例をご紹介しましょう。クラウド導入に至る背景や決め手、さらに導入後の成果についてお伝えするので、ぜひ参考にしてください。 

導入背景 

株式会社Aでは、オンプレミスサーバーの延長保守契約が切れたことがきっかけでサーバーの移行を検討しました。DBサーバーの上に3台のサーバー、その上にロードバランサをおいたシステム構成で運用していましたが、物理サーバーの限界を感じたことで、改めて同じものを導入し直そうという考えにはなりませんでした。 

そこで社内のレギュレーションを変更して、同社が運営するメディア系のサイトである「ABC」は、パブリック系のクラウドに移行するという意思決定を行いました。 

導入の決め手 

「ABC」はメディアサイトとして、さまざまな企業のコンテンツを預かっているので、1日も運用を止める訳にはいきません。1日約10万人のトラフィックがあり、これを維持するために高負荷時のみサーバーをスケールアウトして、しかもコストパフォーマンスを最適化できるか、という観点でクラウドベンダーを選定しました。 

導入後の成果 

クラウドサーバーによる運用では、コストを10分の1以下に圧縮できました。 

さらに大きな効果としては、「見えないコスト」を削減できたことが挙げられます。オンプレミスサーバーであれば、自社でラックを組み立てたり、IT要員がデータセンターに赴く必要があり、その人的なコストや、回線・ラック費用などの管理費用が1サーバーあたり、月額で数十万円ほどかかっていました。しかし、クラウドに移行してからは、こういった「見えないコスト」は必要なくなりました。 

「見えないコスト」が削減できた分、メディアやコンテンツ作成に注力できる体制になりました。システム運用における作業は、もちろん必要なものではありますが、付加価値を生み出す業務ではありません。クラウドサーバーの導入によってスケールアウトする作業も非常に簡単になり、本来の業務に集中できる環境が整ったのは、非常に大きな成果です。 

まとめ  

クラウドへの意向は、今や待ったなしの重要命題です。経済産業省は、2025年までに往年の老朽化したデジタルシステムを改善し、DXに取り組まなければ、年間12兆円の経済損失が生じるとの予測をし、これを「2025年の崖」と名付けました。 

この崖から落ちないためにも、旧態依然としたレガシーシステムから脱却して、すぐにクラウドへの移行を考えましょう。 

レリパでは、お客様のクラウド移行をお手伝いいたします。既存システムの価値を損なわず、計画から移行、さらに移行後のサポートまで万全を期します。経験豊富で親日派の優秀なエンジニアが、御社のDXを強力にバックアップしますので、クラウド移行をご検討でしたら、ぜひご一報ください。 

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