2024.01.02

不動産 業界におけるDXとは? 課題や導入のメリット、成功事例を徹底解説!

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、どの企業にとっても重要な課題です。不動産 業界も例外ではありません。『DX白書2023』の調査によると、不動産業界と物品賃貸業界の企業でDXを進めていると答えたのは、わずか23.3%でした。これは、金融や保険の業界(44.7%)、情報通信業界(38.5%)などと比べるとかなり遅れています。しかし、不動産業界においても、AR/VR技術、自動取引システム、カスタマイズされたサービスなどのデジタル技術を使った革新的な取り組みが進んでいます。これらの技術は、不動産業者の作業効率を高めるだけでなく、住宅購入の体験も向上させています。

不動産 業界のDXとは? 日本の不動産業界におけるデジタルトランスフォーメーションの現状

不動産DXとは?

不動産業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して業界を変革することを指します。この技術を導入することで、不動産開発者、仲介業者、宅建業者、投資家、管理者などが、顧客のニーズに合わせて自身の業務を変えていくことが期待されます。

DXは不動産業界に限定されず、さまざまなビジネス分野で活用されています。これにより、生活の向上やビジネスの競争力強化が実現されます。ただし、不動産業界においてはまだまだDXが進んでいるとは言い難く、多くの課題が存在しています。これらの課題とその解決策については、後の章で詳しく説明します。

不動産業界のDXの現状は?

「DX推進についての意見をお教えください」という質問に対し、98.4%の回答者が「推進すべき」と回答しました。また、「社内においてDXに取り組まれていますか?」という質問に対しては、71.0%が「取り組んでいる(いた)・取り組む予定」と回答しました。さらに、DX推進の目的について質問したところ、93.4%が「業務効率化・生産性向上」を、53.3%が「顧客満足度アップ」を、35.7%が「集客力アップ」を回答しました。

本アンケートの回答者の半数近くは従業員数が10名以下の企業でした。大企業だけでなく、多くの中小企業でも「DXを推進すべき」と考え、また「DXに取り組んでいる(いた)・取り組む予定」ということがわかります。

「DXを進める目的は何ですか」との質問に対しては、約85%が「業務の効率化」と回答しました。

DXを阻む要因としては、「DXに関する適切なスキルと専門知識を持った人材の確保が難しい」がトップで、次いで「予算がない」となっています。前回の調査でも、「変革に必要な知識やスキル、ノウハウが不足している」、「そのような人材を採用し、維持することが難しい」、「チームを率いて変革のイニシアチブを取れるような適切なスキルを持った人材が見つからない」といった理由が6割の企業で見受けられました。この結果から、「適切なDXの知識・スキルを持つ人材の不足」が、変革に取り組む多くの企業にとって引き続き大きな課題となっていることがわかります。

日本の不動産業界におけるデジタル変革の緊急性

現代の激しい競争の中で、不動産会社は新しい戦略を探り、運営の効率を上げ、不動産の組み合わせ(ポートフォリオ)を最適化し、最大限の利益を得る必要があります。2019年のKPMGの調査によると、不動産会社はデジタル技術の採用を増やしています。回答した会社の58%がデジタル戦略を取り入れており、これは2017年と2018年の52%から増加しています。コロナウイルスの影響でテレワークが広がり、不動産業界でもデジタルトランスフォーメーション(DX)が進められています。

不動産ビジネスにDXが必要な理由は、次のようなものがあります。

変化する顧客のニーズに応える

人々の物件探しの方法は変化しています。多くの人が不動産仲介業者を雇うよりもモバイル検索やウェブサイト経由での検索を好むようになっています。また、顧客は宅建業者とオンラインで連絡を取ることが一般的になっています。したがって、オンライン上での強力な存在感がないと、興味を持つ買い手や売り手とのつながりを逃す可能性があります。

買い手のニーズは時間の経過と共に進化しており、物件情報の収集や内見、手続きをサポートするオンラインサービスへの需要が増えています。これらのサービスは、場所や対面、オンラインといった形態に制約されずに提供される必要があります。

不動産分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するためには、デジタルテクノロジーを活用し、進化し続けるユーザーのニーズに柔軟に対応できるサービスを構築することが重要です。

古いビジネス慣行が効率を妨げる (書類や契約書の手作業による処理)

古いビジネス慣行が効率を妨げています。例えば、書類や契約書の手作業による処理が挙げられます。これまで、不動産業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の大きな阻害要因として、業界特有のアナログ業務からの脱却が難しいという課題が浮き彫りになってきました。

実際に、売買や賃貸物件の契約など、不動産取引においては、紙の書類や資料、電話、FAXなどの従来のツールが引き続き多用されています。物件の内覧や顧客とのやり取りなど、対面での活動がデジタルへの移行を困難にしています。デジタル化が困難であるため、多くの職場環境では、アナログな旧来の手法が定着しています。

しかし、コロナウイルスの流行以降、テレワークの導入が急増し、不動産業界でもデジタルトランスフォーメーションの重要性が高まっています。

総務省が2020年に発表した「通信利用動向調査報告書(企業編)」によると、テレワークの導入率は2020年の25.4%から68.1%に急増していることが示されています。これは、働き方が大きく変化していることを示しています。

不動産 におけるデジタル変革の重要な要素

不動産のデジタルトランスフォーメーションの意義をよく理解するために、経営者はこのプロセスの主要な要素に注目する必要があります。以下では、デジタル化の6つの側面について簡単に説明します。

カスタマージャーニーの改善

最近、顧客はモバイルアプリを使って不動産物件を探し、3Dツアーを見て、オンラインで素早く仲介業者と連絡を取ることを好むようになりました。不動産会社が高品質の3Dツアーを提供することで、顧客体験を向上させることができます。

パーソナライズされたクライアントエクスペリエンス(顧客体験)

デジタル化により、企業は顧客のニーズに応えることができます。住宅購入者のそれぞれに独自の要求があるため、不動産アプリを構築する際にはさまざまな検索フィルターを追加することが重要です。顧客に対して、不動産物件に関する詳細な情報を提供することを忘れないでください。

エコシステムの構築

不動産におけるデジタル変革の最良の例は、住宅購入のプロセスを促進するものです。デジタルエコシステムは、関係者全員にとって有利です。例えば、不動産会社はクラウドベースのソリューションを使用し、ペーパーレスオフィスを構築することで、最適化されたワークフローを実現します。

データアナリティクス

不動産業界において重要なデジタルトランスフォーメーションの要素は、経営分析を強化するデータベースのソリューションです。ビッグデータにアクセスすることで、複数の要因に基づいたデータ主導の意思決定が可能になります。企業や顧客は、都市開発プロジェクト、インフラ、犯罪率、騒音レベル、地域の環境問題などの情報を持っています。モバイルアプリでは、顧客の入力に基づくアルゴリズムの決定が使用されます。

レリパが提案する不動産業界向けDXソリューション

不動産におけるデジタルトランスフォーメーションの主要なトレンド/テクノロジーは?

近年増え続けている不動産テックは、おもに以下の分野で製品やサービスを提供しています。

人工知能

自動化
RPA技術(ロボティックプロセスオートメーション)により、企業は物件検査、デジタルマーケティング、請求書処理、顧客サービスなど、いくつかの手作業を自動化することができます。

ビッグデータ・アナリティクス
不動産業界は、物件、所有者、企業、賃借人、宅建業者に関する大規模なデータセットを収集しています。データ分析ソリューションは、不動産ビジネスにおいて各顧客グループの特性を理解し、顧客の行動を予測するのに役立ちます。CRMツール (顧客リレーションシップ管理ツール) は、見込み顧客へのアプローチや市場環境、物件の購入、投資の視点、価格に関する予測に広く活用されています。

プロセスマイニング

デジタルトランスフォーメーションを実施する前に、企業は自社の経営プロセスを理解する必要があります。プロセスマイニングはデジタルトランスフォーメーションを実現するためのテクノロジーであり、事業分析者やリーダーがビジネスを発掘のうえ可視化し、自動化や改善のための領域を特定するのに役立ちます。

AR(拡張現実)とVR(仮想現実)

仮想ツアーを通じて物件の外観を確認するためにAR技術を使用することができます。例えば、シンガポールを拠点とする不動産検索プラットフォームPropertyGuruは、顧客の関心を高めるために、マンションや一戸建てを見るためのVRゴーグルを提供する初の携帯ショールームを立ち上げました。

Google マップのストリートビューは、進む道を把握し、その道路に何があるかを知るのに役立ちます。世界的に有名なランドマークやギャラリー、美術館をデバイス上で探索することができます。また、ストリートビューを使用して過去の写真を見ることで、その場所が時間の経過とともにどのように変化したかを確認することも可能です。

ドローン

不動産業者、仲介業者、商業用不動産業者は、物件の空撮画像を撮影するためにドローンを利用することができます。具体的には、以下のような目的で活用可能です。

1. マーケティング目的
2. 屋根や地下空間など、手の届きにくいエリアが含まれる物件を隅々まで検査するため
3. 商業テナントが賃借前に建物を検査するための物件マッピング

スマートコントラクト

スマートコントラクトは、契約の条件をブロックチェーン上に記録するアプリケーションです。条件が満たされると、契約が有効になり、資産の交換が行われます。そのため不動産業界では、スマートコントラクトを活用することで、銀行による確認や仲介が不要になります。

大規模な取引が行われる不動産業界では、スマートコントラクトが取引のスピードを高め、不正行為から保護し、さらにコストの削減を可能にします。2022年5月に施行された改正宅地建物取引業法により、不動産の取引において書類の電子化が認められました。契約書類を電子化し、オンラインで完結するシステムを導入することで、訪問や紙書類の管理にかかる手間や時間を削減することができます。

物件検索が容易になるアプリ
デジタルトランスフォーメーションの鍵は、顧客の利用頻度が高いプラットフォームにサービスを提供することです。その意味では、モバイルアプリケーションへの関心が高まっているため、不動産業者は新しい顧客にアプローチするためにその開発を検討すべきでしょう。モバイルアプリのプラットフォームを利用すれば、買い手と物件所有者は、必要に応じて物件に関するさまざまな情報にアクセスできます。

レリパが提案する不動産業界向けDXソリューション

住宅購入の流れ問題ソリューション
情報収集情報収集には時間がかかる。 仲介業者が提示する価格には手数料が含まれる可能性がある。価格に関する明確な基準がない。・AIを利用して住宅価格を提案する
・入居先の設備評価と包括的な見積もりの提供:入居予定の住宅の設備状況を評価し、それに基づいた包括的な見積もりを提供する。これにより、購入者は事前に必要な費用を把握できる
・物件を比較する機能も備えている
・エリアや路線・駅から物件を探すことができる
・特に外国人向けに、多言語チャットを提供する
物件見学購入申し込み見学時間の無駄・オンラインによる物件の近所や室内のAR/VR体験ができる
・VR(仮想現実)テクノロジーや360度ビデオを活用することで、購入者は物件のより鮮明なイメージを得ることができる
住宅ローン事前審査– 通常、金融機関は申し込みの際に顧客の融資能力や返済能力を審査する。- 審査は2回。 一次審査は3〜4日かかる。本審査は1週間ほどかかる。・書類提出後わずか15分で結果が届くアプリがある
・購入者が自身の支払い能力を見積もり、適切なローンを選択できるように、自動計算(予測)ツールを開発する
契約訪問する労力や時間、紙の書類を管理する手間・スマートコントラクトを利用する
・デジタル署名と電子メールによる確認を統合して、事務手続きを削減する
・入金と支払いのプロセスを容易にするオンライン決済システムを開発する
住宅ローン申し込み~ローン契約・オンライン住宅ローン申請システムを構築し、購入者の時間と手間を軽減する
・ローン申請に関連する情報を確認および確定するための自動ツールを統合する
物件引き渡し・入居・自動通知システムを統合して、引き渡しと入居のステータスを継続的に更新する。
・ホームページ上で住宅ローン控除申請書を自動作成・提出するシステムを構築します
・これらのプロセスは複雑なため、  住宅購入者をサポートするためにオンラインガイダンスサービスを提供する

レリパによる不動産DX事例

お客様について

リーウェイズ株式会社はテクノロジーで不動産取引に係る全てのプレイヤーに対し、透明性の高い取引環境を提供することで、新時代の不動産取引エコシステムを構築し、不動産取引の新世紀を創っていきます。

案件の概要

『Gate.』は、『Gate. Investment Planner』と『Gate. Market Survey』という2つのプロダクトを提供しています。前者は、データに基づいた不動産投資の予測を可能にします。後者は、どのエリアにどれだけの不動産があって、どういう人たちが住んでいるかという統計的な情報を地図ベースで確認できます。仕組みとしてはSPA(シングルページアプリケーション)で作られていまして、バックエンドはPython、フロントエンドはJavaScriptという構成です。

レリパの役割

レリパはフロントエンドのアプリケーションを担当しました。

・Gate.Investment Planner1: 不動産投資の将来を予測する唯一のツール

・Gate.Market Survey: ワンクリックの不動産市場調査ツール

レリパの不動産DXコンサルティングプロセス

不動産業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)は、競争力を高め、顧客体験を改善する鍵となります。RELIPAは、独自のDXコンサルティングプロセスを通じて、不動産企業のデジタル化を促進します。以下にそのプロセスを説明します。

1. 発見と評価

コンサルタントは、クライアントのビジネスにおける目標や現在直面している問題、デジタル技術の活用度を把握するために協力します。この過程には、インタビュー、ワークショップ、データの分析などが含まれます。

2. 戦略開発

コンサルタントは、調査結果をもとに、クライアントのためのデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略を作ります。この戦略には、DXの具体的な目標や改善が必要な部分、そしておすすめのテクノロジーや解決策の概要が含まれます。

3.実装

コンサルタントはクライアントと一緒に、デジタルトランスフォーメーション(DX)戦略を実行します。これにはプロジェクトの管理、変化への対応(チェンジマネジメント)、新しい技術の導入、トレーニングなど、さまざまな仕事が含まれることがあります。

4. 測定と評価

コンサルタントはDXの進行状況を見守り、計画段階で設定した目標に対する成果を評価します。これにより、DXが順調に進んでいて、望ましい結果が得られているかどうかを確認できます。

5. 継続的改善

DXは常に進化するプロセスです。その成果を継続的にチェックし、改善することが大切です。コンサルタントは、クライアントが改善のための新しいチャンスを見つけるのを助け、必要に応じてDX戦略を調整します。

これはレリパのDXコンサルティングプロセスの概要ですが、クライアントによって具体的な手順は異なります。しかし、すべてのDXサービスは、企業がデジタル変革の目標を達成するためのサポートを共通の目的としています。

DXコンサルティング会社の選び方に役立つヒント

  • 実績のある会社を探す
  • 業界知識を持つ会社を選ぶ
  • 組織文化に合う会社を選ぶ
  • 複数の見積もりを比較する

決定する前に、複数の会社から見積もりを取得し、比較しましょう。

DXコンサルティングサービスでは、「ビジネス」「IT」「人」の三つの側面からデジタルトランスフォーメーションに取り組みます。一般的にはDXと聞くと最新テクノロジーの利用を思い浮かべがちですが、レリパではお客様の成果を最優先に考えます。新しい技術が必ずしも必要ではないため、現状をしっかりと把握し、最適な解決策を提供することが大切です。ぜひ今すぐご登録いただき、DXの専門家から詳細なアドバイスを受けてみてください。