n8n vs node-RED:どちらの自動化プラットフォームを選ぶべきか?

n8n vs node-RED: どちらの自動化 プラットフォーム を選ぶべきか?

n8nとNode-REDは、いずれもオープンソースのワークフロー自動化プラットフォームであり、アプリケーションやサービスを接続して業務を最適化できる強力なツールです。適切なツールを選ぶことは、自動化の可能性を最大限に活用し、時間とリソースを効率的に節約するための重要な要素となります。両者は直感的なインターフェースとローコード(low-code)アプローチを採用しており、非エンジニアでも簡単にワークフローを構築することができます。

本記事では、n8nとNode-REDを包括的に比較し、企業が自社に最も適した自動化ソリューションを選択できるよう支援します。

n8n vs node-RED:包括的な比較

n8nNode-REDの選択は、御社の具体的な目的に完全に依存します。n8nは、ビジネスプロセスの自動化、API統合、クラウドサービス関連のタスクにおいて優れた性能を発揮します。
一方、Node-REDは、IoTプロジェクト、スマートホーム自動化、物理デバイスからのデータ処理において最適な選択肢です。最適な判断を下すためには、両ツールの各側面を詳細に比較検討することが不可欠です。どちらもオープンソースのワークフロー自動化プラットフォームであり、ユーザーは直感的なグラフィカルインターフェースを通じて自動タスクの流れを作成できます。
しかし、両者は設計思想と対象ユーザー層が異なります。n8nは主にWebサービスやAPIの連携に焦点を当てているのに対し、IBMによって開発されたNode-REDは、ハードウェアデバイスやIoT領域のAPI接続を目的として設計されています。

対象ユーザー

各ツールの対象ユーザーは、その基本的な目的によって異なります。n8nはビジネスおよびデジタルサービスの自動化を目指しており、Node-REDはIoT向けに設計されています。


n8nは、SaaSアプリケーション、データベース、APIをシームレスに連携させたいユーザーのために作られています。マーケターはメールキャンペーンを自動化し、データアナリストはETL(Extract, Transform, Load)プロセスを構築し、開発者は大量のコードを書かずに複雑なバックエンドを作成することができます。さらに、ネイティブAI統合機能により、インテリジェントなワークフローを実現したい場合に理想的な選択肢となります。

n8n のホームページ
n8n のホームページ


一方、Node-REDは自動化エンジニアやIoT開発者に最適です。スマートホームシステムの構築、工場内のセンサー監視、またはインタラクティブなハードウェアプロトタイプの作成など、物理デバイスからのデータフローを効率的に処理するためのツールを提供します。

Node-RED のホームページ
Node-RED のホームページ

ノード

ノードの「数」よりも、「品質」と「目的への適合性」が重要です。どちらのプラットフォームも、ほぼ無限に拡張可能な柔軟性を持っています。数千ものノードがあるというのは魅力的に聞こえますが、大切なのはそれらのノードがあなたのニーズに合っているかどうかです。

n8nは、Google Sheets、Slack、OpenAI、WordPressなどの主要サービス向けに厳選された公式統合ライブラリを提供しており、高い安定性と使いやすさを誇ります。


一方、Node-REDにはコミュニティによって提供される膨大な数のノードがあります。ほとんどあらゆるハードウェアデバイスやIoTプロトコルに対応するノードを見つけることができますが、コミュニティ製ノードの品質や信頼性にはばらつきがある点が注意点です。


どちらのプラットフォームも、HTTP Requestノードを通じて任意のAPIサービスと接続できるため、既存の統合機能に制限されることはほとんどありません。

インターフェース

n8nは一般的に、よりモダンでユーザーフレンドリーなインターフェースを持つと評価されており、初心者でも直感的に操作しやすいのが特徴です。一方、Node-REDのシンプルさは、パフォーマンス面での大きな強みとなっています。


n8nのインターフェースはユーザー体験を重視して設計されており、データの流れや各ノードでの入出力が明確に可視化されます。そのため、デバッグが非常に直感的で、どのステップでエラーが発生しているかをすぐに特定し、修正することができます。

n8n workflow example
n8nワークフローの例


一方、Node-REDのインターフェースはよりミニマルで、Raspberry Piなどの低スペックデバイスでも軽快に動作するよう最適化されています。見た目はn8nに比べてやや古風ですが、安定性と効率性に優れています。特に「ダッシュボード」機能はNode-REDの強みの一つで、データの可視化やユーザーとのインタラクションを可能にする簡易的なUIを構築できます。

Node-RED workflow example
Node-RED ワークフローの例

ホスティング

セルフホスティング(self-hosting)は、データとコストを最大限にコントロールできる一方で、クラウドサービスは利便性が高く、導入が容易です。
n8nはこの両方の選択肢を柔軟に提供しています。

  • n8n Cloud:これはn8nチームによって完全に管理されたソリューションです。アカウント登録を行うだけで、すぐにワークフローの構築を始めることができます。サーバー管理やセキュリティ、アップデートに煩わされたくないユーザーに最適ですが、利用量に応じた料金が発生します。
  • セルフホスティング:n8nのCommunity版を自分のサーバー(VPS、Dockerなど)に無料でインストールできます。これにより、データの完全な管理、ワークフローや実行回数の無制限利用、そしてGDPRのような厳格なデータセキュリティ規制への準拠が可能です。高いセキュリティやカスタマイズ性を求める企業・個人にとって最適な選択肢です。

一方、Node-REDは基本的にセルフホスティング型のプラットフォームです。古いノートPC、専用サーバー、あるいはRaspberry Piのような小型デバイスにインストールして利用できます。これによりソフトウェアコストはゼロになり、動作環境を完全に自分で管理できます。

カスタマイズ能力

両方のツールはローコード(low-code)でありながら、開発者にとって非常に強力な拡張性を備えています。カスタムコードを記述できることにより、自動化の可能性はほぼ無限に広がります。
ローコードツールとして宣伝されてはいますが、n8nとNode-REDの真の強みは、コードによる拡張性にあります。


n8nでは、「Function」ノードを使ってJavaScriptまたはTypeScriptで複雑なロジックを記述し、既存のノードでは実現できないデータ変換を行うことが可能です。さらに、開発者は独自のカスタムノードを作成し、社内システムや特定のサービスと統合することもできます。


同様に、Node-REDの「Function」ノードでは任意のJavaScriptコードをメッセージオブジェクト上で実行できます。これにより、データ操作、外部ライブラリの呼び出し、または特定用途向けの処理を自由に実装でき、最大限の柔軟性が得られます。

主な特徴

n8nは、AI統合と構造化データ処理に特化したモダンなアーキテクチャが特徴。

  • 各データ項目(item)を個別に扱う構造を採用しており、通常はJSON形式で処理。
  • これにより、複雑なデータセットの処理や配列のループ処理、各項目ごとの操作が容易かつ整理された形で実行可能。
  • ネイティブAI統合機能を備えており、ワークフロー内に知的なタスクを簡単に追加できる点も大きな利点。

Node-REDは、リアルタイムイベント処理とダッシュボードによるユーザーインタラクションに強み。

  • イベント駆動(event-driven)モデルに基づいており、各ノードは受け取ったメッセージに反応して新しいメッセージを出力。
  • この仕組みは、センサーやリアルタイムイベントからの連続データストリームを処理する際に非常に効率的。
  • 「Node-RED Dashboard」を利用することで、データの可視化やユーザー操作が可能な簡易UIを作成でき、インタラクティブなアプリケーション構築にも最適。

費用

n8nはフリーミアム(freemium)モデルを採用しており、柔軟な料金体系を提供。

  • 自分の環境にセルフホスティングする場合、無料のCommunity版を制限なく利用可能。
  • より多くの機能や利便性を求める場合は、有料クラウド版(n8n Cloud)にアップグレードできる。
  • クラウド版はワークフロー実行回数(executions)に基づいて料金が決まり、自動化の規模が拡大してもコストを予測・管理しやすい設計になっている。
n8n monthly pricing
n8nの月額料金

Node-REDは完全に無料で利用でき、必要なのはインフラコストのみ。

  • ソフトウェア自体の費用は0円。
  • 実行環境として利用するサーバーやデバイスにかかるコストだけを負担すればよい。
  • そのため、個人プロジェクト、教育目的、またはコストを抑えたいスタートアップ企業にとって非常に魅力的な選択肢となる。

n8nとは?どのように動作するのか?

n8nは、オープンソースのワークフロー自動化ツールであり、さまざまなアプリケーションを接続し、直感的なドラッグ&ドロップインターフェースを通じてタスクを自動化できるプラットフォームです。ZapierやMakeなどのサービスに対する、柔軟で強力な代替ソリューションとして位置づけられています。

n8nの基本概念は「ワークフロー(workflow)」です。ワークフローとは、相互に接続された一連のノード(node)で構成されるプロセスを指します。各ワークフローは、プロセスを開始するトリガーノード(Trigger Node)から始まります。

  • トリガーノード(Trigger Node):これはワークフローの出発点であり、特定のイベントが発生したときに動作します。
    例:Webhookの呼び出し、新しいメールの受信、またはスケジュール(例:1時間ごと)に基づく実行。
  • アクションノード(Action Node):トリガーが作動すると、データは一連のアクションノードを通過します。各ノードは特定のタスクを実行し、たとえばGoogle Sheetsへのデータ読み書き、Slackへのメッセージ送信、CRMへのレコード作成、または外部APIの呼び出しなどが可能です。
  • データフロー(Data Flow):データはノード間をJSON形式のアイテム(items)として流れます。これにより、構造化された柔軟なデータ処理が可能になります。さらに、n8nの式(expressions)を使うことで、前のノードのデータを簡単に参照し、複雑なロジックを構築できます。

>>>関連記事:n8nのメリット・仕組み・活用事例・Zapierとの比較・初心者向けの使い方

Node-REDとは?主な機能は何か?

Node-REDは、Node.js上に構築されたフロー(flow)ベースのプログラミングツールであり、ハードウェアデバイス、API、オンラインサービスを相互に接続するためのプラットフォームです。ブラウザ上で動作するビジュアルエディターを提供し、ノード(node)をドラッグ&ドロップで接続することで、アプリケーションを直感的に構築できます。

Node-REDは、イベント駆動型プログラミングを簡素化することを目的として設計されています。その中心となるのが「フロー(flow)」で、これは複数のノードを接続して構成されます。

  • ノード(Nodes):各ノードは特定の機能を持つブロックです。入力ノード(input)、処理ノード(processing)、出力ノード(output)などがあり、たとえばあるノードは温度センサーからデータを読み取り、別のノードがそのデータを処理し、さらに別のノードがグラフに表示する、といった連携が可能です。
  • ワイヤー(Wires):ノード同士は「ワイヤー」で接続されます。このワイヤーは、一方のノードの出力から次のノードの入力へと「メッセージ(message)」を伝達します。
  • メッセージ(Messages):Node-RED内でデータはメッセージオブジェクトとして伝達され、一般的にmsgと呼ばれます。慣例として、msg.payloadにメッセージの主要データが格納されますが、msgオブジェクトに任意のプロパティを追加して追加情報を渡すことも可能です。
  • Functionノード:Node-REDの中でも最も強力なノードであり、カスタムJavaScriptコードを記述してmsgオブジェクトを操作したり、複雑な計算を実行したり、外部システムと連携することができます。

n8nとNode-RED、どちらを使うべき?

n8nを選ぶべき場合

御社の業務が主にWebアプリケーション、API、データベースの連携や自動化に関係している場合、n8nが最適です。
以下のようなシナリオに特に向いています:

  • マーケティング自動化:Facebook Lead Adsで新しいリードが登録されたら、自動的にHubSpotやSalesforceに追加し、Mailchimpを通じてウェルカムメールを送信。
  • データ同期:Shopifyで新しい取引が発生したとき、取引内容を自動的にGoogle Sheetsへ記録し、営業チームのSlackチャンネルに通知。
  • ローコードバックエンド構築:Webフォームからデータを受け取るAPIエンドポイントを作成し、別のAPIを呼び出してデータを強化した後、PostgreSQLデータベースに保存。
  • AI統合:Intercomで新しいメッセージを受信した際、OpenAIノードを使って内容を解析し、自動応答を生成して送信するチャットボットを構築。
  • 社内業務プロセス管理:従業員がTypeformで休暇申請を提出すると、承認リクエストを上司にメール送信し、承認後にGoogle Calendarへ自動反映。

Node-REDを選ぶべき場合

プロジェクトがデバイス制御、センサー監視、リアルタイムデータ処理に焦点を当てている場合は、Node-REDが最適です。
以下のようなユースケースに特に適しています:

  • スマートホーム自動化:ドアセンサーが夜10時以降に開いた場合、Telegramでスマートフォンに通知を送り、リビングの照明を点灯。
  • 産業IoT監視:倉庫内の温湿度センサーからMQTTプロトコルでデータを取得し、閾値を超えた場合は警報を発し、InfluxDBに記録して後で分析。
  • 迅速なプロトタイプ作成:Raspberry Piに接続された物理ボタンを押すと、Node-REDがAPIを呼び出してランダムな名言を取得し、小型LCDに表示。
  • リアルタイムデータ可視化:サーバーのCPU・RAM使用率を収集し、Node-RED Dashboard上に毎秒更新されるリアルタイムグラフを表示。
  • レガシーシステムとの統合:古い工業機器(Modbusなどのプロトコル対応)からデータを取得し、クラウドシステムへ送信して保存・分析。

多くのケースでは、n8nとNode-REDを組み合わせることで最強の自動化環境を構築できます。
例えば、Node-REDでIoTセンサーからのデータを収集・前処理し、その整形済みデータをWebhook経由でn8nに送信。
n8nがその後のビジネスプロセス自動化(通知、レポート作成、CRM更新など)を担当することで、物理的世界とデジタル業務の統合を実現できます。

まとめ

n8n、Node-RED、またはその両方を組み合わせて使用する場合でも、自動化は業務効率の向上とイノベーションの新たな可能性を切り開きます。

Relipaは、ブロックチェーンアプリ開発、プロフェッショナルなWebデザイン、カスタムソフトウェア構築、そしてデジタルトランスフォーメーション(DX)コンサルティングなど、包括的なソリューションを提供するテクノロジー企業です。弊社は、企業が業務を最適化し、デジタル時代において持続的な成長を遂げるための支援を行っています。
Relipaは、n8nとNode-REDの両プラットフォームに関する豊富な専門知識を有しており、お客様のビジネスニーズに最も適したソリューションを選定・導入するためのコンサルティングを提供いたします。

詳細なご相談や導入支援をご希望の方は、ぜひRelipaまでお問い合わせください。

関連記事