Java(ジャバ)はWebアプリや業務システム、Androidアプリなど、幅広い分野で使われる安定したプログラミング言語です。
しかし、「Javaって何?」「難しそう」「JavaScriptとはどう違うの?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。この記事は、Javaの基礎知識から、その強力な5つの特徴、具体的な活用事例、そして学習するメリット・デメリットまでを徹底的にわかりやすく解説します。
Java(ジャバ)とは?

Javaは、オブジェクト指向プログラミング(Object-Oriented Programming、OOP)言語で、1995年にサン・マイクロシステムズ(Sun Microsystems)が開発し、現在はオラクル(Oracle)が管理しています。
高い安定性と拡張性(スケーラビリティ)を備えたJavaは、大規模システム、特に企業向けシステムやAndroidアプリの開発で広く利用されています。
Javaの最も重要な特徴はオブジェクト指向である点です。Javaでは、すべての要素がクラス(class)とオブジェクト(object)として構成されており、コードの再利用や保守性を高めることができます。
メリット:プログラムを複数の「オブジェクト」に分けて設計することで、大規模かつ複雑なプロジェクトでも管理や保守が容易になります。銀行システムや在庫管理など、長期的に安定して運用する必要があるシステムでは特に重要な要素です。
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JavaとJavaScriptの違い
名前は似ていますが、JavaとJavaScriptはまったく別のプログラミング言語です。
- Javaはオブジェクト指向プログラミング(OOP)言語で、大規模システム、Androidアプリ、企業向けソフトウェアの開発に広く使われています。
- 一方、JavaScriptはスクリプト言語(Scripting Language)で、主にWebブラウザ上で動作します。動的なWebページの作成、ユーザー操作の処理、フロントエンド開発に利用されます。
特徴 | Java | JavaScript |
言語の種類 | プログラミング言語 | スクリプト言語 |
主な用途 | 大規模システム開発、Androidアプリ | 動的なウェブページ作成、フロントエンド開発 |
動作環境 | JVM(Java仮想マシン) | Webブラウザ |
つまり、名前は似ていますが、用途、使用方法、実行環境はまったく異なるのです。
Java(ジャバ)の主な特徴

オブジェクト指向のプログラミング言語
Javaは純粋なオブジェクト指向(Object-Oriented Programming)の言語です。これは、Javaにおけるすべての要素がクラス(Class)とオブジェクト(Object)という形で構成されていることを意味します。
- 利点: この手法により、コードの構造が明確になり、理解や管理が容易になります。プログラマーは、一度書いたコードを再利用し、特に複雑で大規模なプロジェクトのシステムを効率的に保守することが可能になります。
- 例: 人事管理システムを構築する際、「Employee 」(従業員)という名前のクラスを作成し、名前や社員番号、給与といった属性を定義できます。その後、このクラスから「
EmployeeA
」や「EmployeeB
」といった具体的なオブジェクトを生成することで、データを論理的かつ一貫して管理できます。
例:
class Employee { // Employee class
String name; // Name
int id; // Employee ID
Employee(String name, int id) { // Constructor
this.name = name; // Set name
this.id = id; // Set ID
}
}
public class Main {
public static void main(String[] args) {
Employee emp1 = new Employee("An", 101); // Create employee object
System.out.println("Employee name: " + emp1.name); // Display name
}
}
ハードウェアやOSに依存しない
Javaは、「Write Once, Run Anywhere」(一度書けば、どこでも動く)という有名な理念に従っています。これは、この言語の最大の強みの一つです。
- 利点: プログラマーは、Windowsなどの一つのOS上でJavaコードを一度書くだけで、そのプログラムをmacOSやLinuxなどの他のOS上で、ソースコードを一切修正することなく実行できます。
- 例: Windows用にJavaで作成された財務管理アプリケーションを、別の支店のmacOSマシンに簡単に展開して使用できるため、時間とコストの節約に繋がります。
例:
public class Hello {
public static void main(String[] args) {
System.out.println("こんにちは、Java!"); //
}
バイトコードによる実行と高い可搬性
Javaのプラットフォーム非依存性は、バイトコードとJVM(Java仮想マシン)の仕組みによって実現されています。
- 仕組み: Javaのソースコードをコンパイルする際、特定のOSの機械語ではなく、バイトコードと呼ばれる中間形式のコードに変換されます。
- 利点: このバイトコードは、JVMがインストールされている環境であれば、どのプラットフォームでも実行が可能です。これにより、デスクトップコンピューター、サーバー、モバイルデバイス、IoTデバイスなど、多様なデバイス間での高い移植性(可搬性)が保証されます。
例:
class MyThread extends Thread {
public void run() {
System.out.println("スレッドで実行中: " + Thread.currentThread().getName());
}
}
public class Main {
public static void main(String[] args) {
new MyThread().start(); // 新しいスレッドを開始
new MyThread().start(); // 別のスレッドを開始
}
}
マルチスレッドに対応
Javaは、開発当初からマルチスレッドを強力にサポートするよう設計されています。
- 利点: この機能により、一つのプログラム内で複数のタスクを同時に並行して実行できます。CPUのリソース利用が最適化され、特に高い処理能力と同時アクセス処理が求められるサーバーアプリケーションにおいて、パフォーマンスを大幅に向上させます。
- 例: ECサイトのサーバーアプリケーションが、ユーザーAの買い物かごの更新、ユーザーBの決済処理、ユーザーCへの確認メール送信といった複数のタスクを、マルチスレッドによってすべて同時に実行できます。
安全性とセキュリティが高い
Javaは、安全性とセキュリティを最優先に設計されており、高い信頼性が求められるシステムで採用される最大の理由となっています。
- 仕組み: JavaはC/C++などの言語とは異なり、ポインタ(メモリ上の特定のアドレスを直接指す機能)を使用しません。これにより、不正なメモリアクセスのリスクを排除しています。さらに、Garbage Collector(ガベージコレクション)が不要なメモリを自動的に解放するため、メモリリークによる障害を防ぎます。
- 例: オンラインバンキングシステムでは、Javaの実行環境(サンドボックス)が提供する強力な保護機能を利用することで、外部からの悪意あるコードの侵入を防ぎ、機密性の高い顧客データの安全性を確保しています。
例:
public class SafeExample {
public static void main(String[] args) {
String password = "123456";
// Javaはメモリ管理が安全なので、不正なメモリアクセスの心配はありません
System.out.println("パスワードはメモリ内で安全に保存されています!");
}
}
Javaを学ぶメリット
求人需要が高く、就職・転職に強い
- 内容: Javaは常に世界で最も需要の高いプログラミング言語のトップに位置しています。多くの重要なシステムの基盤言語であるため、大企業は常に経験豊富なJavaプログラマーを必要としています。
- 利点: Javaを学ぶことは、安定した幅広いキャリアチャンスに繋がります。大企業、金融機関、またはAndroidアプリケーション開発会社で働きたい場合、Javaスキルは非常に大きな強みとなります。
大規模・安定志向のプロジェクトに携われる
- 内容: 高いセキュリティと拡張性(スケーラビリティ)という特性から、Javaは企業向けシステム(Enterpriseプロジェクト)や絶対的な信頼性が求められるプロジェクトの第一選択肢です。
- 利点: Javaを習得することで、銀行システム、電子決済システム、ビッグデータ基盤など、安定性とセキュリティが最重要視される影響力の大きなプロジェクトに参加する機会が得られます。
学習リソースが豊富で、困った時に解決しやすい
- 内容: 長い歴史と巨大なコミュニティを持つJavaは、学習資料、書籍、オンラインフォーラムが豊富に存在します。
- 利点: コーディング中にエラーや問題に直面した場合でも、国際的なコミュニティやオンラインリソースから解決策を容易に見つけることができ、独学のプロセスをスムーズに進められます。
Javaを学ぶデメリット
客観的な視点を提供するため、Javaの弱点も示し、学習者が心の準備をできるようにします。
習得難易度がやや高い
- 内容: Javaを完全にマスターするには、オブジェクト指向プログラミング(OOP)の複雑な概念(継承、多態性、抽象化、カプセル化など)を深く理解する必要があります。
- 比較: Pythonのようなよりシンプルな構文を持つ言語と比較すると、Javaは構造とルールについてより深い理解を要求されます。
開発環境の準備に手間がかかる
- 内容: Javaのプログラムを書き、実行を始めるためには、JDK(Java Development Kit)のインストールと環境変数の設定が必要です。
- 制約: この初期設定プロセスは、完全に初めてプログラミングをする方にとって、コーディングを始める前の最初の障壁となることがあります。
処理速度やメモリ消費
- 内容: JVMという仮想環境上で実行されるため、ネイティブコードに直接コンパイルされる言語(C/C++など)に比べると、実行効率がわずかに遅くなることがあります。また、JVM自体が一定量のメモリ(RAM)を消費することも注意点です。
Java言語でできること
Javaの最大の魅力は、その応用分野の広さです。安定性と信頼性が求められる様々な領域で活用されています。
モバイルアプリ開発
- 詳細: JavaはAndroidアプリケーション開発の基本言語です。現在Kotlinの人気が高まっていますが、Javaは依然としてAndroid開発における核となる基盤であり、欠かせない言語です。
Webアプリケーション開発
- 詳細: 大規模なWebサイトやEコマースサイトのバックエンド(サーバーサイド)構築に広く利用されています。最も有名なフレームワークはSpring Frameworkです。
業務システム・エンタープライズ開発
- 詳細: この分野はJavaがほぼ独占している領域です。高い安定性、セキュリティ、拡張性から、金融機関や銀行、保険のシステム、CRMやERPといった企業向けの基幹システムに採用されています。
ゲーム開発
- 詳細: 有名なゲームMinecraftがJavaで開発されているように、Javaは多様なプラットフォームでのゲーム開発にも使用されています。
IoT・AI・ビッグデータ
- 詳細: Apache HadoopやApache Sparkといったビッグデータ分野の主要なツールやフレームワークの多くがJava(またはJVM上の言語であるScala)で記述されており、データ技術においてもJavaの重要な役割が証明されています。
Javaのダウンロードとインストール手順
Javaプログラミングを始めるには、JDK(Java Development Kit)と呼ばれる開発キットのインストールが必要です。ここでは、Windows環境での基本的な3つのステップを解説します。

ステップ1:PCへJDK(Java Development Kit)をダウンロード
- バージョンの選択: 初心者の方や安定したプロジェクトに取り組む際は、最新のJava LTS(長期サポート)バージョン、具体的にはJava 21(またはJava 17)を選択することを推奨します。
- ダウンロード元: Oracleの公式サイトにアクセスし、該当バージョンのJDKをダウンロードしてください。
- OSの選択: ご自身のOS(Windows、macOS、Linux)に合ったインストーラーファイル(Windowsなら.exe、macOSなら.dmgなど)を選びます。
ステップ2:WindowsシステムでのJavaセットアップ
- インストーラーの実行: ダウンロードした .exe ファイルをダブルクリックして起動します。
- インストールガイドの実行: JDKのインストールは非常に簡単です。「次へ」または「インストール」をクリックしていくだけで完了します。
- パスの記憶: インストール先のフォルダ(通常は
C:\Program Files\Java\jdk-xx
)をメモしておきましょう。このパスは次のステップで非常に重要になります。
ステップ3:Javaの環境変数を設定
このステップは、PCがどの場所からでもJavaコマンドを認識し、実行するために最も重要な手順です。
- 検索: Windowsの検索ウィンドウを開き、「システムの環境変数を編集」と入力して開きます。
JAVA_HOME
変数の設定:- 「システムのプロパティ」ウィンドウで「環境変数(Environment Variables…)」をクリックします。
- 「システム環境変数」のセクションで「新規(New…)」をクリックし、以下の通りに新しい変数を作成します。
- 変数名:
JAVA_HOME
- 変数値: ステップ2で記憶したJDKのインストールパスを貼り付けます(例:
C:\Program Files\Java\jdk-21
)。
- 変数名:
- Path変数の更新:
- システム環境変数の一覧から「Path」変数を見つけて選択し、「編集(Edit…)」をクリックします。
- 「新規(New)」をクリックし、以下のパスを追加します。
%JAVA_HOME%\bin
- 確認: コマンドプロンプト(cmd)を開き、以下のコマンドを入力して実行します。
Bash
java -version
Javaのバージョン情報が表示されれば、インストールと設定は成功です。
まとめ
Java(ジャバ)は、安定性と拡張性に優れたオブジェクト指向プログラミング言語であり、大規模システムや企業向けアプリケーション、Android開発など幅広い分野で活躍しています。学習リソースも豊富で、求人需要が高いため、キャリアの安定や成長を目指す方にとって非常に有益な言語です。また、ハードウェアやOSに依存せず動作する特性やマルチスレッド対応、強固なセキュリティ機能により、信頼性の高いシステム構築が可能です。
一方で、習得にはオブジェクト指向の理解や開発環境の準備、JVMによるメモリ消費など、一定の学習コストや注意点も存在します。しかし、これらを理解し実践することで、Javaの強力なメリットを最大限に活かすことができます。
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