NFTゲームをプレイしたり、ゲーム内のキャラクターを販売したりして報酬を得る「 Play to Earn 」。2021年のNFTブームに乗り、新たな稼ぎ方として注目されるようになりました。 その動きをはた目に2021年の後半あたりから、さらに「 Move to Earn 」というコンセプトが浮上してきました。「動いて稼ぐ」とはいったいどういうことでしょうか?
そこで今回は、「 Move to Earn 」について解説します。「Play to Earn」との違いや具体例を挙げてご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
Move to Earn とは
「 Move to Earn 」とは、NFT(非代替性トークン)と運動を紐づけすることで、暗号資産の形で報酬が得られる仕組みのことです。具体的には、ウォーキングやジョギングをして、その速さや移動距離に応じて、独自トークンが配布されるというものです。
スマートフォンのGPSを利用して、ユーザーの動きをリアルタイムで把握、アプリを起動し、運動を始めてから終わるまでの成果に応じてトークンが与えられます。トークンは、暗号資産取引所で売買されるため、値上がりすれば保有しているトークンの資産性が上がります。もちろん、それらを売ってキャピタルゲインを得ることも可能です。
「Move to Earn」自体がまだ誕生したばかりのため、アプリの数が限られており、現在はおおむね手探り状態というのが正直なところです。しかし、今後の展開次第では、市場規模がかなりの範囲まで拡大すると期待できます。
というのも、NFTゲームを含む多くのオンラインゲームやソーシャルゲームをプレイするのは、基本的に室内のため、一旦やり出すと長時間座ったままほとんど体を動かすことがなくなります。これは決して健康的とは言えません。
しかし、歩けば歩くほど、また、走れば走るほどに稼げるとなるとどうでしょう。運動とゲームが同時に楽しめて、しかも報酬がもらえるという二重、三重のメリットが生じます。これを機に運動を始める人が増えたり、ダイエットやアンチエイジング対策として活用されたり、アスリートも孤独で単調なトレーニングを、楽しみをもちながら行えるようになったりするかもしれません。
ウォーキングを趣味としている人は、世界中で想像を絶するほどの数にのぼります。その人たちにとっても、好きで歩いているだけで稼げるのですからお得感が大きいでしょう。長続きしないで困っている人も、報酬がもらえるとなれば損得勘定が働いてモチベーションが上がるので、継続して歩けるかもしれません。健康だけでなく経済的なメリットが加わり、しかもゲーム性を味わえるという、今までにない新感覚の稼ぎ方こそが、「Move to Earn」の真骨頂なのです。
NFTは投資家やマニアの中ではずいぶんとメジャーなものになりましたが、一般的にはまだ市民権を得たと言えません。ましてやNFTゲームとなると、高齢者や主婦層の多くは関心がなく、存在すら知らないというのが現実でしょう。しかし、健康やアンチエイジングというまったく異なるアプローチであれば、NFTに馴染みが薄い層にもヒットする可能性は十分にあります。
Move to Earn には2タイプある
今のところ「Move to Earn」を楽しめるコンテンツは、大きく2つのパターンがあります。
一つは、ウォーキングやジョギングに使うシューズをNFT化し、歩くとか走るといった運動にフューチャーして、仮想と現実をつなげた世界観を楽しむタイプです。NFTシューズのクオリティが高ければ、実際に運動をしたときに高いポイントが得やすくなります。さぼれば、その分、少ないトークンしかもらうことができません。つまり、ウォーキングやジョギングの内容そのものが、報酬額に直結するということです。
もう一つのパターンは、「Move to Earn」に「Play to Earn」の要素を融合させたものです。ウォーキングやジョギングで体を動かすことに変わりはありません。しかし、その成果を先ほどの様にシューズといった、運動に直接関係するものと紐づけするのではなく、ゲーム内のキャラクターを育てたり、バトルしたりするためのエネルギーとして活用するのです。
キャラクターはNFTのため、トークンが値上がりすれば、それに応じて価格も上がり、当然マーケットプレイスで販売することもできます。この点は、「Play to Earn」と変わらないといえるでしょう。ただし、決定的な違いは、その起点となるのがゲームの操作ではなく、運動にある点です。運動をしなければゲームを楽しむことも稼ぐこともできません。
Move to Earn の例
それでは、「 Move to Earn 」が体験できるゲームアプリを2つご紹介しましょう。前者の『STEPN』は、先ほど述べた、運動にフューチャーしたタイプで、後者の『Genopets』は、「Move to Earn」と「Play to Earn」を融合したタイプです。
STEPN
『STEPN』は、Solana (ソラナ) ブロックチェーン上に構築されたNFTゲームで、「Move to Earn」の先駆者的な存在です。ソラナは、スマートコントラクトによってアプリ開発が可能な暗号資産で、手数料が高騰しているイーサリアムに代わる存在として大変注目されています。
プレイヤーは、NFT化されたシューズを購入し、アプリを起動させて歩いたり走ったりするだけで、独自トークンの「GST」がもらえます。シューズは自由に選択でき、「Walker(ウォーカー=1~6km/h)」「Jogger(ジョガー=4~10km/h)」「Runner(ランナー=8〜20km/h)」「Trainer(トレイナー=1~20km/h)」の4タイプがあります。それぞれに対応速度が決まっていて(上記カッコ内のスピード)、その範囲内で、歩いたり、早歩きしたり、走ったりしなければ、トークンの配布対象としてカウントされません。
スニーカーのタイプが決まったら、さらにスニーカーの品質を5段階
- Common
- Uncommon
- Rare
- Epic
- Legendary
から選びます。もっとも安いのが、「Common」ですが、それでも最低価格が約10万円前後になります。「Rare」となると、高いものでは数百万円という価格帯になるため、資金に余裕がなければ購入できません。同じスニーカーでも価格は日々変化しており、2022年前半の段階では、確実に上昇傾向にあります。
スニーカーの品質を決めたら、さらにパラメータ値からなる4つの属性(「Efficiency(効率)」「Luck(運)」「Comfort(快適さ)」「Resilience(耐久性)」から好みの特徴を決めて最終的にどのスニーカーにするかを決定します。ちなみに、運動を続けるとNFTシューズもそれにともなって傷むようにプログラミングされており、必要に応じてトークンを使って補修しなければなりません。「Resilience」が高ければ、シューズが傷みにくいので価格は上がりますが、補修のための支出は減らすことが可能です。この辺りは、仮想と現実が密接につながる演出となっていて、『STEPN』ならではの「Move to Earn」の駆け引きや楽しさといえるでしょう。
シューズが決まり、購入手続きが済めば、あとは好きなときに歩いたり走ったりして、ひたすら移動距離を稼ぎます。シューズのタイプによって規定されているスピードの範囲でどれだけ動けたかで、付与されるGSTの量が異なります。GSTは、SOLやUSDCといった暗号資産と交換可能で、ウォレットにも送金できます。これらを取引所で円に交換すれば、現金収入が得られる仕組みです。選んだスニーカーや移動距離にもよりますが、1日に1,000円~30,000円くらいは稼ぐことが可能と言われています。
さらに、2022年9月には、スニーカーのレンタルが可能になる予定です。自分のNFTスニーカーを他人に貸すことで、トークン利益の70%を貸し手が、30%を借り手が得られるようになります。これにより、高騰化するスニーカーが買えなくとも『STEPN』がプレイできる新規参入者が増えれば、「Move to Earn」の普及に拍車がかかると期待できます。
ちなみに、2022年1月1日には、約172円だったGSTが、同4月1日の時点で約593円にまで高騰しており、「Move to Earn」の世界観の先駆けとなっている『STEPN』への注目度が非常に高いことを物語っています。
Genopets
『STEPN』を追うようにしてβ版がローンチされたのが、『Genopets』です。2022年3月末の段階では、招待がなければプレイできません。
『STEPN』同様、ソラナブロックチェーン上で運営されており、プレイヤーは、最初に簡単な性格診断を受け、自分の特徴に合ったNFTペット(ジェノペット)を入手します。歩いたり走ったりするだけでなく、ダンスや自転車を漕ぐなどのエクササイズに応じて、ジェノペットがレベルアップし、マーケットプレイスで販売することができます。
『Genopets』の大きな特徴は、運動をすればするほど、ジェノペットを育成、強化でき、他のプレイヤーたちとバトルするためのエネルギーも多く獲得できる点です。
ジェノペットは、
- Infant(赤ちゃん)
- Young(幼年期)
- Adult(成長期)
- Mystic(神獣)
の4段階で成長していきます。
わずかのSOL(ソラナの暗号資産)があれば、無料で始められるため、参加しやすい点が大きな利点となっています。課金すれば、ゲーム内に「ハビタット」という施設をもつことができ、ここで複数のジェノペットを飼育したり、繁殖させたりすることも可能です。つまり、『Genopets』は、「Move to Earn」に「Play to Earn」の要素を加えた進化系といえるでしょう。
『Genopets』のガバナンストークンであるGENEは、2022年2~3月にかけては、600~800円台を推移していましたが、同年4月にかけて急上昇し、2,420円前後にまで急激な高騰を見せています。『Genopets』のプロジェクトには、多数の著名な投資家が積極的に投資を行っており、その人気と期待ぶりが、GENEの価格にも反映されているといえるでしょう。
Move to Earn の今後
今後の「Move to Earn」の普及と発展の可能性は、はかりしれません。インドアが圧倒的シェアを占めていたゲームの世界に、アウトドアの要素と経済的なメリットが加わるわけですから、ターゲットとなるユーザー数は、想像をはるかに超える規模となってもおかしくないでしょう。
現段階で、例えば『STEPN』なら、歩くことと走ることが、「Move to Earn」の対象となるエクササイズです。しかし、技術面の進歩により、『Genopets』のように、泳ぐ、自転車やボートを漕ぐ、ダンスをする、といった具合に運動の内容を広げることもできます。さらにバスケットボールでフリースローを成功させる、アーチェリーで的を射るなど様々なスポーツに派生させることも夢ではありません。加えて、その際のユニフォームやシューズ、競技会場などをNFTとして資産化すれば、大きなマーケットが誕生するでしょう。
こうなると、メタバースと「Move to Earn」の融合も広く行われるに違いありません。リアルな世界で披露されるダンスパフォーマンスをバーチャル空間ではアバターが再現し、オーディエンスは好きな場所からライブを観賞。ダンスの技に応じた報酬が暗号資産で与えられれば、「Move to Earn」への参加人口は飛躍的に増加するかもしれません。優秀なパフォーマーには視聴者からの投げ銭ができるようにすれば、さらに楽しみ方が増えることでしょう。
野球でもピッチングのスピード、打球の飛距離などを基準に「Move to Earn」が行われると面白いかもしれません。高校野球でも、チームで登録し、部員が投げたり打ったりした記録にしたがって報酬がチーム自体に与えられるようにすれば、バットやボール代、食費、遠征費用などに充てることも夢ではないでしょう。障がい者スポーツにも「Move to Earn」のシステムが導入できれば、生活の安定や経済的不安の解消にも寄与すると期待できます。
「Move to Earn」について特筆すべきは、ブロックチェーンを媒体として仮想と現実を紐づけできる点です。コロナ禍で多くの人々が運動不足に陥っただけでなく、ソーシャルディスタンスによる孤独感の深刻さも強く指摘されています。その意味では、実際に体を動かし、五感を刺激しながら、プレイヤー同士でゲームを楽しんだり、稼いだりする醍醐味が味わえる「Move to Earn」の役割は、非常に大きいといえるでしょう。
まとめ
「 Move to Earn 」の世界観は、まだ産声を上げたばかりです。しかし、健康面でも経済面でもメリットがあり、なおかつゲーム性が加わるという特長は、非常に魅力的です。現に、「Move to Earn」関連の暗号資産は、2022年に入り急激な高騰を見せており、2021年のNFTブームの再来を思わせるムーブメントといっても過言ではありません。メタバースとの融合により、さらなるイノベーションが起これば、未曽有のゲームチェンジも考えられるため、ますます「Move to Earn」から目が離せません。
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