ブロックチェーンは、企業がビジネスを行う方法を革新します。医療、物流、エネルギー・公共事業、FinTechなど、様々な業界の企業は、ブロックチェーン技術を活用して、ワークフローの効率性を高め、オペレーションをより透明性のある、安全で、迅速なものにする機会を探しています。
一方、多くの企業は、高い競争力のある市場において、自社のアプリを構築するためにどのプログラミング言語を使うかについて疑問を持っています。この記事では、ブロックチェーンアプリを開発するために使用される様々なプログラミング言語を見て、どれが最適なのかを調べてみます。
ブロックチェーン開発言語とは
ブロックチェーンは、中央集権的な管理者やクライアントサーバーが不在で、すべてのノードがP2Pで繋がり同じデータを共有する分散型の台帳です。
その特徴には、
・一度記録したデータは書き換え不可能
・参加者全員がデータを閲覧できる
・ハッキングリスクが低い
・分散性に優れ、あるノードに不具合が生じても他の多くのノードが稼働しているためシステムダウンが起きない
・契約を自動実行できる(スマートコントラクト)
・ランニングコストが安価
といったものがあります。
現在は、ブロックチェーン開発競争が過熱気味のため、上記のような機能を持ち合わすブロックチェーンを一から開発するのは、時間の面でもコストの面でもロスが大きすぎます。
そこでブロックチェーンフレームワークを活用しながら開発の迅速化と精度の高度化をはかります。このフレームワークを活用するために、開発言語の知識とスキルが必要となります。
各開発言語には、それぞれに特徴や強み、弱みがあるため、開発目的に合わせてどの開発言語やフレームワークを活用するかを決める必要があるでしょう。
例えば、開発言語の特徴がもっとも顕著に表れるのが、処理スピードです。コンパイル型に比べるとインタプリタ型の方がどうしても処理に時間がかかります。大規模なパブリックチェーンにするのか、それとも小規模なプライベートチェーンを構築するのかによっても向き不向きが異なるでしょう。開発を急ぐのか、リリースまでの時間に余裕があるのかによっても選択肢は変わってくるかもしれません。
ちなみにブロックチェーンの用途は、
・食品や医薬品などのトレーサビリティ
・真贋証明や成績証明・著作権管理
・金融サービス
・NFTゲーム
・独自通貨の流通と管理
といったものが挙げられます。
これらのうちからどのような用途でブロックチェーンを開発するのかを決めたら、その開発にもっとも適した言語を特定し、そのフレームワークを活用しながら開発を進めていきます。
ちなみに、ブロックチェーンエンジニアに求められるものは、単にプログラミングに関するノウハウだけではありません。公開鍵や秘密鍵といった暗号技術、コンセンサスアルゴリズム(合意形成)などの理解と実装力も必要です。そのあたりまで網羅することを考えると、ブロックチェーンエンジニアになるには、ある程度の学習能力と強い意志が求められるといってよいでしょう。
それでは、以下にもっとも利用されることが多いブロックチェーン開発言語10選を紹介します。
もっとも利用されるブロックチェーン開発言語10選
Java
BtoB企業向けのブロックチェーンフレームワークでもっとも多用されているIBMの「HyperLedger Fabric」に使えるのがJavaです。 HyperLedger Fabricは、食品などのトレーサビリティ、医療データの管理、金融システム、IoTといったブロックチェーンの代表的な活用分野での引き合いが強いので、Javaが使えるとエンジニアとしての優位性が高まるでしょう。
Javaが開発されたのは、1996年ですが、以来ソフトウェアやアプリの開発現場では依然として大変人気のある開発言語の一つです。
【メリット】
・処理スピードが速い
・セキュリティに優れている
・拡張性に優れ、実行環境の自由度が高い
・APIやライブラリがきわめて豊富
といったことが挙げられます。
【デメリット】
・オブジェクト指向のマスターに時間がかかる
・専門性が高く、学習コストがかかる
C++
C++はビットコインの開発言語として有名で、開発されたのは1983年と長い歴史をもちます。汎用性が極めて高いオブジェクト指向で、ブロックチェーン以外にもAI、ロボティクス、IoTといった最先端テクノロジーの実装に欠かせない開発言語です。
【メリット】
・処理スピードが速い
・汎用性が高い
・大規模システムの構築に向いている
・高負担かつ複雑な処理に向いている
【デメリット】
・オブジェクト指向のマスターに時間がかかる
・C言語の理解が必要
Solidity
イーサリアム上でスマートコントラクトを実装するのに欠かせないのがSolidityで、開発者はEtherieumです。コントラクト指向と呼ばれ、他の開発言語とは利用目的も役割も根本的に違います。
仮想通貨の世界で、送金や決済といった限られた機能のみならず、非代替性トークン(NFT)、ブロックチェーンゲーム、DeFiなどそれまでにないサービスの提供を可能にした立役者です。今後のブロックチェーン開発は、いかにユニークで実効性に富んだサービスを構築できるかが強く問われるため、スマートコントラクトの活用は欠かせません。その意味で非常に重要な開発言語の一つといえるでしょう。
【メリット】
・スマートコントラクトが実装できる
・JavaScriptに似て文法が平易
【デメリット】
・セキュリティが強いとはいえない
GO
2009年にGoogleが開発した比較的新しい開発言語です。C言語やJavaの文法に近く、シンプルでライブラリが豊富、しかも活用分野が広いためエンジニア間では非常に人気が高いです。
ブロックチェーンをはじめ、ドローンやロボティクス、IoTの開発、ネイティブアプリやWebサーバーの構築などが可能です。ただ効率的な開発環境を追求するあまり、コードの継承やGenericsといった一部の機能が使えない点は注意が必要でしょう。
【メリット】
・処理スピードが速い
・大規模システムの開発に向いている
・ライブラリが豊富
・安全性が高い
・文法が平易
・少ないコードで実装できる
【デメリット】
・機能が最小限のため、コードの継承や例外処理、3項演算子などがが不可能
JavaScript
Webブラウザ上でブロックチェーンサービスを提供する際には、JavaScriptが有効です。Webページ上に動きのある表現をつけることができますが、HTMLやCSSと組み合わせることでその機能はさらに向上します。ブロックチェーン開発では、例えばアプリのフロントエンドをイーサリアムネットワークとスマートコントラクトに接続することができます。
【メリット】
・インタプリタ型のため実行時の確認が容易
・オブジェクト指向で文法が平易
・活用範囲が広い
・フロントエンドとサーバーサイドの両方に対応できる
・実用性の高いライブラリが豊富
・ノウハウ(活用実績)の蓄積が豊富
【デメリット】
・処理スピードが遅い
・ブラウザによってパフォーマンスに差が生じる
C#
C#はC言語を源流とし、C++よりもさらに汎用性が高く、さまざまなアプリ開発、ゲーム、VR・ARの開発などに向いています。一度使ってみると、その有用性の高さにファンとなるエンジニアが少なくありません。
【メリット】
・処理スピードが速い
・環境構築が容易
・汎用性が高い
・オブジェクト指向で、カスタマイズや仕様変更に対応しやすい
・ライブラリが豊富
【デメリット】
・容量が多く必要
・構文が長い
・コンパイルが終了するまでミスの確認ができない
Python
ブロックごとにインデントを使って字下げするオフサイドルールを採用したことで非常にわかりやすいのが特徴です。ライブラリが豊富で文法もシンプルなため習得がしやすく、近年非常に人気が高まっています。
ブロックチェーン以外にも、WebアプリやAI、ゲーム、組み込みアプリの開発などに活用できます。
【メリット】
・文法が平易
・ライブラリが豊富
・初心者でもマスターしやすい
・最先端のテクノロジー分野に活用できる
【デメリット】
・処理スピードが遅い
・日本語によるサポートがない
・インデントがずれるとエラーとなる
PHP
FacebookやWordPressなどの開発に使用されてきたPHPは、Webアプリ開発やWebサイト構築に活用されます。HTMLやCSSと組み合わせることにより動的なWebページが作成できます。ブラウザでブロックチェーンを使用するのに役立ちます。
【メリット】
・JavaやCよりもさらに文法が平易
・実用性の高いフレームワークが豊富
【デメリット】
・処理スピードが遅い
・ほぼWebアプリやWebサイトの開発にのみ利用されるので汎用性が低い
Ruby
Rubyは、日本初の開発言語でWebサイトの構築を得意とします。他にもゲーム、スマホアプリの開発やスクレイピングなどにも活用できます。コードがシンプルで初心者にも学びやすいのも特徴です。ブラウザでブロックチェーンを使用するのに役立ちます。
【メリット】
・オブジェクト指向のため開発工数が少なくて済む
・文法が平易
・インタプリタ型のため実行時の確認が容易
【デメリット】
・処理スピードが遅い
・記述方法の自由度が広いため、人によりコードの書き方に差が生じる(チーム内で書き方の統一作業が必要)
Rust
Rustは、近年エンジニアの中で非常に人気が高まっています。CやC++に代わる開発言語を目指しており、高い安全性と高パフォーマンスによってGoogleやAmazonといった米巨大テックのメインサービスにも活用されています。他の言語に比べ、メモリ空間を有効活用することにより処理速度をアップさせているうえ、並列での処理が可能な点が大きな特徴です。メモリの解放やオーバーフローなどを自動処理するので、エンジニアのミスを未然に防止するのに大変役立ちます。
【メリット】
・処理スピードが速い
・並行処理が得意
・安全性が高い
・エンジニアのミスが防げる
【デメリット】
・UIとAI(人工知能)の開発が不得意
レリパは情報技術、ブロックチェーンといった分野で日本IT企業の委託先として活動している7年間の経験を持っています。低コストで効率的なオフショア開発を図り、優れている日本語力があるBrSE、プロジェクトマネージャーと質の高い開発者は契約期間中100%日本語で「報連相」を行いながら、品質を保証することを約束します。
まとめ
ブロックチェーンはWeb3.0を牽引するメインプレイヤーです。製造業や金融、国際貿易、医療・健康、災害対策、権利証明と管理、エンタメなど、その用途は時を追うごとに拡大しています。そのため、ブロックチェーンを開発するなら今が絶好のチャンスといえるでしょう。
レリパでは、お客様のブロックチェーンプロジェクトを強力にサポートさせていただきます。経験豊富で日本語に精通したエンジニアが多数在籍しておりますので、ご用命の際はお気軽にご連絡ください。