2023.07.18
MVPMVP開発

MVP開発とは? 詳細な開発プロセス・注意点、活用事例を紹介

現在、ソフトウェア開発と言えば、スクラム、アジャイル、ウォーターフォールといった開発プロセスやモデルが述べられるのが多いかもしれるでしょう。

しかし、これらのモデルの適用は、開発プロジェクトや製品の種類によることが一般的です。現代の活気的に発展している企業では、アジャイル等のように柔軟なプロセスを活用し、プロジェクトを迅速に完了させることが可能です。

そのうえ、近年のスピード感が重視されるビジネス環境に適していることから、多くの企業に採用されている開発手法が「MVP開発」でもあります。

本記事では、「MVP開発」とは何?アジャイル開発との違いとMVPの開発プロセス、注意点等を詳しく解説していきます。

I.MVP開発とはわかりやすく!

MVP開発は「Minimum Viable Product」の略で、実用最小限の製品の意味です。MVP開発では、最小限の機能やリソースで最も基本的なバージョンを開発し、市場での需要やフィードバックを評価することが重要です。MVP開発は、顧客ニーズや市場トレンドを把握し、製品の方向性を確定するための強力な手法となりました。

MVP開発は以下のような特徴を持ちます。

【MVP開発の特徴】
・短期間・低コストで検証を行える
・方向性の確認や軌道修正を早い段階から実施できる
・効率的にプロダクトの価値を最大化できる

II.  アジャイル開発との違い

MVP開発と開発手法の一つであるアジャイル開発は違います。MVP開発は、最小限の機能を早急に提供する開発手法です。アジャイル開発は、優先度の高い機能から分割して「計画・設計・実装・テスト」を繰り返して、開発の短縮と効率化を目的にしているからです。

具体的に下記の違いがあります。

・MVP開発は、検証結果がポイント

・アジャイル開発は、進捗の効率がポイント

・MVP開発は、検証でニーズがない場合開発をしない

・アジャイル開発は、機能ごとに完成したらリリース

そのためMVP開発は、コスト削減を目的に最小限の機能をリリースする開発手法です。アジャイル開発は、フェーズごとに検証とテストを繰り返してスピード感のある開発手法になります。

III.  MVP開発の種類

MVP開発にはさまざまな種類があります。各種類は、特定の開発目標や要件に合わせて選択でき、一般的なMVP開発の種類について詳しく説明していきます。

ランディングページ型MVP(Landing Page MVP)

これは、実際の製品やサービスを開発する前に、興味を持つユーザーを集めるためのランディングページを作成する方法です。ランディングページ型MVPは、製品やサービスの概要や利点が記載されており、ユーザーは関心を示すために連絡先情報を提供することが求められます。これにより、製品やサービスの需要や市場反応を評価することができます。

スタブ型MVP(Stub MVP)

スタブ型MVPは、実際の製品の一部分を代替する単純な代替品を開発する方法です。スタブ型MVPは、製品の主要な機能の一部を模倣することで、ユーザーのフィードバックを収集するために使用されます。スタブは、製品の外観や操作方法についての理解を提供し、将来の開発に役立つ情報を提供することができます。

Wizard of Oz型MVP(Wizard of Oz MVP)

Wizard of Oz型MVPでは、製品の一部または全体を模倣することで、ユーザーの体験を再現可能です。ただし、製品の背後で人間が操作し、ユーザーには自動化された製品として提示されます。これにより、製品の潜在的な需要やユーザーの反応を評価することができます。

Piecemeal型MVP(Piecemeal MVP)

Piecemeal型MVPでは、実際の製品の一部を開発し、市場での需要や反応を評価可能です。製品の機能や機能セットを段階的に拡大し、ユーザーのフィードバックを基に改善を進めていきます。Piecemeal型MVでは、製品のバージョンを段階的にリリースし、マーケットでの受け入れ可能性を確認することができます。

これらは一部のMVP開発の種類ですが、開発プロジェクトの要件や製品の特性に応じて、適切なMVPの種類を選択することが重要です。MVP開発は、リソースの最適利用と市場での製品の受け入れ可能性を評価するための強力な手法です。

IV. MVP開発のメリット

現在、MVP開発は製品やサービスの開発プロセスに革新的なアプローチをもたらし、多くの企業やスタートアップによって採用されています。MVP開発は、最小限の機能やリソースで最も基本的なバージョンを開発し、市場での需要やフィードバックを評価することに重点を置いています。MVP開発の採用メリットは、以下の通りです。

高い効率性: MVP開発は、最小限の機能に焦点を当てることで、開発プロセスを効率化します。不要な機能や複雑さを排除し、リソースの最適な活用を図ることができます。高い効率性より、開発時間やコストを削減し、より迅速かつ効率的に製品を市場に投入することが可能です。

早期の市場検証: MVP開発では、早期の段階で製品を市場に投入し、実際のユーザーからのフィードバックを収集することが重要です。市場の反応やニーズを把握することで、製品の方向性や機能の改善点を特定することができます。早期の市場検証により、製品の市場適応性を高め、より成功する可能性を増大させることができます。

リスクの最小化: MVP開発は、リスクを最小限に抑えることができる手法です。最小限のバージョンを開発し、市場での需要やフィードバックを評価することで、製品の受け入れ可能性や成功の見通しを事前に把握することができます。リスクの最小化により、大規模な開発プロジェクトに取り組む前に、より具体的な情報とデータを得られます。

顧客志向の開発: MVP開発では、顧客のニーズと要求を優先した開発です。早期のフィードバックを通じて、顧客の声を聞き入れ、製品を改善できます。顧客志向の開発手法により、市場での競争力を高め、顧客満足度を向上できます。

これらのメリットを考慮すると、MVP開発は製品やビジネスの成功に向けた重要な手法であり、多くの企業にとって欠かせないものです。

III. MVP開発の詳細なプロセス、実際のステップを紹介 

MVP開発は、製品やサービスの開発プロセスにおいて広く採用されている効果的な手法です。MVP開発は、最小限の機能やリソースで最も基本的なバージョンを開発し、市場での需要やフィードバックを評価することに焦点を当てています。以下では、MVP開発の詳細なプロセスについて説明していきます。

MVP開発の詳細なプロセス、実際のステップを紹介 

1. リクエストアナリスト/アイデアの生成&プロダクトコンセプト

・ビジネスアナリスト/リクエストアナリスト

・アイデアの生成 

・ワイヤーフレーム/低忠実度‐Lo-fi(ロー・ファイ)のプロトタイプ

・システムの仕様書

2. MVPプロジェクトの計画作成

3. MVP開発の実施

・アジャイル型でMVP開発を実施する

・機能のテスト 

4. テスト&アジャイルの繰り返し(イテレーション)

・ユーザー/関係者のフィードバックの収集

・フィードバック分析&早速にイテレーション

5. デプロイ(テスト環境・本番環境に配置して、実際に稼働できる状態にする)

6. マーケットテスト・市場検証・ターゲット対象者検証・エンドユーザーテスト

・製品の検証を目的にして市場にリリースする 

・エンドユーザーの行為の収集

・分析と評価

7. 製品開発の計画

・テクノロジー的なコンサルティング

・製品開発の計画作成

上記のMVP開発のプロセスは、世界中で最も一般的に採用されて、継続的な改善と顧客のニーズに応じた製品開発を促進する枠組みを提供します。以上のステップを順番に実行することで、効率的に製品を開発し、市場での需要に応えることができます。

しかし、自社の目的に基づいて高品質なMVPバージョンを完成させて、市場投入時間を確保するために、腕がよくて豊富な経験を持つチームが必要でしょう。

そこで、レリパはMVP開発のプロセスや手順を詳しく理解し、「品質・迅速」という両方を保証する自信に満ちたチームを擁しております。新ビジネスを始めるためのMVPを開発したい方は信頼できるレリパにご連絡ください!

では、モバイルアプリケーション開発を活用事例にしてMVP開発の主なステップを紹介していきます。アプリケーション開発を失敗しないように市場に公開するために、どのようにすればいいのか、どんな機能を優先して開発すればいいのかをご参考ください。

MVP開発の詳細なプロセス、実際のステップを紹介 

ステップ1: 営業の需要とターゲット市場を確定して、把握すること

最初は販売したい商品は、市場でどのくらい需要があるかを調査・検討することです。組織と顧客の需要となる可能性が高いです。大事なのは競合他社を調査・分析して、競合他社の製品より自社のをもっと目立たせて、完全させなければなりません。

製品の需要が確定されたら、長期的な経営目標を計画することが大事です。アプリケーション開発の目標、成功の基準等を設けてから開発計画を開始すれば最適でしょう。

ステップ 2: MVPのカスタマージャーニーを立てること

MVPを開発するのに欠かせないのはユーザーに優しい製品を設計することです。ユーザーにアプリを初めて使用してもらったときに良い体験を与えるための最適な方法は、ユーザージャーニーマップを作成することです。

これにより、ユーザーの視点から自社製品を考察することができます。同時に、ユーザーに便利なアプリをデザインするための詳細な情報を提供できます。さらに、ユーザージャーニーを特定し、ユーザーが最終目標を達成するために行う必要のあるアクションを解決することで、ユーザージャーニー全体を見逃さないようにしましょう。

ステップ 3: ユーザーの利点と問題を示すマップを作成すること

ユーザージャーニーを特定したら、各アクションに対する利点と問題を示すマップを作成するべきです。利点と問題のマップにより、ユーザーのすべての困難なポイントと、各アクションが解決されたときにユーザーが得る利点が確定します。 

自社のアプリに最も価値をもたらすポテンシャルのある領域を特定することができ、MVP領域に集中することができます。

ステップ4: どの機能を開発するかを決定する

製品に開発を始める際には、以下の質問に答えることから始めるべきです。

  • 私のユーザーが抱える最も困難な問題は何か?
  • 自社製品の機能はその問題をどのように解決するのでしょうか?

MVPの計画を立てる上で、重要なことは優先すべき機能の数を制限し、アプリケーションを市場にリリースするために必要なものに焦点を当てることです。

MVPのコア機能をサポートする部分を特定するために、最終的に製品が提供するすべての機能についての全体的な希望リストを作成することがおすすめです。MVPをシンプルにするために、機能を整理して選択することができます。モバイルアプリのMVPで必要な機能を特定するための一般的な手法は、MoSCoWマトリックスを使用することです。

MoSCoWは、must(絶対必要な機能)、should(必要な機能)、could(あってもいい機能)、not(必要のない機能)の略称で、優先順位付けに使用されます。

MoSCoWを使用すると下記の機能を特定できます。、

  • 最初に開発の必要のある機能
  • 次に開発すべき機能
  • 全然必要のない機能を特定できます。

あらかじめ製品の重要な要件を定めることで、プロジェクトのスコープを大幅に縮小することができるでしょう。

通常、プロジェクトが進行するにつれて、多くの機能が現れます。もしMoSCoWマトリックスで「must」や「should」の範囲を狭めることができなければ、MVPが破壊される可能性があります。MoSCoWの手法は、プロジェクトのスコープを適切に管理可能です。

無駄なく多くの機能が優先される場合は、プロセス、予算、およびビジネス目標の達成に影響を与える可能性があります。

その後、アプリケーションのプロトタイピングの作成(試作品)を検討しましょう。

ステップ 5: フィードバックの収集と評価

ユーザーのフィードバックは、製品がスムーズに機能しているか、改善の必要ある個所がないかを示すのに貴重な情報源です。

この情報によって、今までのMVP開発方法が適切か、あるいは別の開発方法に変えないといけないかを決定することができます。ユーザーのフィードバックを考慮し、ユーザーの行動を追跡することにより、ユーザーが望んでいることや製品から求めているものについてさらに理解を深めることができるでしょう。

V. スタートアップと中小企業におけるMVPモデルの役割   

MVPは、スタートアップと中小企業のための試用可能な最小限の製品です。これは、顧客が抱える課題を解決できる最低限の状態で提供します。MVPのスタートアップと中小企業におけるいくつかの役割は次のとおりです。

  • MVPは市場調査を支援するツールとなり、各企業はビジネスモデルを開始する前に仮説を立てることができます。このプロセスが成功すると、次のステップの展開の前提条件となります。製品の改善や人材の追加が必要です。
  • 最小限の製品は、スタートアップがユーザーから客観的なフィードバックを受け取ることができます。このフィードバックを分析し、問題を修正するための教訓を引き出すことができます。同時に、事業主は製品の品質を向上させるために新しい機能を追加可能です。
  • これは顧客が製品の存在を市場で認識する最初のステップです。ビジネス主は、自社の製品が最初に考案したものであることを認識させることができます。
  • 最小限の製品は、特定の対象グループをターゲットとした製品です。通常の製品は本格的な製品よりも価格が低く設定されています。

VI. 新しいビジネスを始める前にMVP開発が必要なのか?

MVPの開発は、新しい製品やビジネスを始める前に非常に重要です。以下に、MVP開発を行う理由を説明します。 

  • リスクの最小化: MVP開発は、最小限のリソースで製品の基本的な機能や市場需要を検証できます。リスクの最小化より、大規模な投資や時間をかける前に、製品の市場適応性や受け入れる可能性を評価できます。MVPを通じて得られたフィードバックやデータに基づいて、製品を改善可能です。リスクの最小化、失敗や損失を最小限に抑えられるでしょう。 
  • ユーザー中心の開発: MVP開発は、ユーザーのニーズや要求を理解し、製品をそのニーズに合わせて設計するための優れた方法です。早期のフィードバックを得ることで、ユーザーの意見や要望を反映し、製品を改善することができます。ユーザーの満足度を向上させることは、長期的な成功につながる重要な要素です。 
  • 効率的な開発とリソースの最適化: MVP開発では、製品のコア機能に集中することで、不要な機能や複雑さを排除し、開発プロセスを効率化できます。限られたリソースを最適に活用し、製品の早期完成や市場投入を実現できます。また、市場での需要やフィードバックを元に、次の開発ステップや戦略を計画することも可能です。 
  • 継続的な改善と成長: MVP開発は、持続的な改善と成長のフレームワークを提供します。短いイテレーションサイクルを通じて、製品を改善し続けられます。市場でのフィードバックや競合他社の動向を把握し、製品を進化させることで、競争力を維持し、顧客の期待に応えられます。 

以上の理由から、新しい製品やビジネスを始める前にMVP開発を行うことは、成功への重要なステップです。MVPを通じて市場の需要やユーザーのフィードバックを把握し、製品を改善し続けることで、持続的な成長と競争力を築くことができます。 

VII. MVP開発の注意点:

  1. 目的を明確にする: MVP開発では、最も重要な機能や価値を持つ製品の最小限のバージョンを開発することが目的です。開発の前に、明確な目的を設定し、何を達成したいのかを明確にすることが重要です。
  2. ユーザーのフィードバックを重視する: MVPは、早期のフィードバックを得ることを重要視します。ユーザーからのフィードバックを収集し、製品を改善するために積極的に活用しましょう。ユーザーのニーズや要望を把握することで、より価値のある製品を開発することができます。
  3. コア機能に集中する: MVPでは、製品のコア機能に焦点を当てることが重要です。最初のバージョンでは、最も重要な機能に集中し、不要な機能や複雑さを排除することで、効率的な開発を実現しましょう。
  4. 迅速なイテレーションを行う: MVP開発では、迅速なイテレーションサイクルが重要です。小さなステップで製品を開発し、フィードバックを得ながら継続的に改善を行いましょう。早い段階で問題や課題を特定し、素早く対応することが成功の鍵です。
  5. チームのコミュニケーションを強化する: MVP開発では、チーム内のコミュニケーションがスムーズであることが重要です。メンバー間の情報共有や意見交換を積極的に行い、製品の開発における進捗状況や課題について共有しましょう。効果的なコミュニケーションは、製品の品質向上とスピードアップに貢献します。

まとめ

MVP開発は、ビジネスの実際の環境からのフィードバックに柔軟に対応し、顧客に迅速にアプローチするための製品のバージョンです。これにより、製品の利点を素早く確認することができます。

よく知られているアプローチの一つは、既存のモデルに基づいて製品を開発することです。以前に公開されたバージョンに基づく製品を構築することを意味します(通常、アルファ、ベータ、およびリリースの3つの段階に分かれます)。アルファ段階では、技術とテクノロジーの面で成功を収めた場合、製品はテスト段階に進みます。この段階では、主要なユーザーや技術面での評価を受けるため、固定されたユーザーグループにアクセスします。

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