2022.07.26

Axie Infinityとは?Play to Earnのビジネスモデルを解説!ポンジスキームと似ている?その将来性も分析

ブロックチェーンゲームをプレイするだけで報酬が稼げる「Play to Earn(P2E)」。GameFiともいわれて、メタバースへの注目度が急激にアップする中、海外はもちろん国内でもユーザーが増えて続けています。

そこで今回は、ブロックチェーンゲームを一躍有名にした「Axie Infinity」を例にとって「Play to Earn」のビジネスモデルを具体的に解説していきます。

また、「Axie Infinity」は、「ポンジスキーム」だと批判する向きもありますが、果たして本当にそうなのか、Axie Infinityの将来性も含めて分析していきます。

Axie Infinityで稼ぐ方法

Axie Infinityは、ブロックチェーンゲームの草分け的存在で、世界でも1、2を争うほどの人気ぶりです。デイリーユーザーは、300万人にもおよびそうな勢いで、その特徴は、スタート時に自分で購入する3体のAxie(アクシー)といわれるモンスターを使い、バトルをするなどして報酬が得られる点にあります。これが、「Play to Earn(P2E)」です。

ただ、稼ぎ方は、これを含めて大きく以下の4つに分かれています。

  • ゲームをプレイすることで報酬を得る方法
  • 保有していたり繁殖させたりしたAxieをNFTとしてマーケットプレイスで売却して稼ぐ方法
  • Axieを購入したうえで、プレイヤーに貸し出し、その稼ぎから一定の割合を報酬として獲得するスカラーシップ(奨学金制度)による方法
  • 仮想空間内の土地を売買、賃貸して不動産収入を獲得する方法

Axie Infinityは、ローンチ以来アップデートを何度も繰り返し、2022年2月現在でシーズン20を迎えました。しかも、このシーズン20でAxie Infinityでの稼ぎ方に大きなルール変更がなされたのです。よって、話を分かりやすくするために、シーズン19との比較で、Play to Earnのビジネスモデルを解説していきましょう。

シーズン19までのビジネスモデル

Axie Infinityでは、プレイステージが、「アドベンチャーモード」と「アリーナモード」の2つに分かれています。

アドベンチャーモードは、いわば初心者向けのお試し版のような位置づけで、コンピューターを相手にバトルを行います。ここでプレイすることで、シーズン19では、1日に50SLPの暗号資産を獲得することができました。SLPは、Axie Infinityの2つある独自通貨の内の一つで、もう一つがガバナンストークンのAXSになります。

これ以外にデイリークエストを3つクリアーすることで1日に25SLPを報酬として得ることができました。ちなみに、SLPの価格は、2021年の1年間を通して、0.06~0.4円の間を推移していました。よって、アドベンチャーモードでは、稼げても1日数円程度だったことになります。

また、アリーナモードでは「PVP(人vs人)」といって、オンライン上でユーザー同士がバトルを行って稼ぎます。こちらがAxie Infinityの主戦場といってよいでしょう。アリーナモードにおける全ユーザーの対戦成績は随時ランキングされ、上位1,000位までには、3,000AXS分の報酬が分配されました。1位の場合は、高くて数百万円にものぼる報酬が得られた時期もありました。

さらに、スカラーシップを活用する場合は、稼いだ報酬の7割が出資者、3割がプレイヤーという配分が主流になります。この場合、もしプレイヤーが100万円を稼いだなら、70万円が出資した側の取り分ということです。

加えて、Axieが生息する「ルシアナ」という世界は、301×301の正方形で「テラ」と呼ばれる区画に区分されており、プレイヤーたちは、トークン化されたこの土地を手に入れて自由に売買、賃貸することができます。不動産として取引できる土地にはランクがあり、2021年11月には、その最高位にあたる「ジェネシス」に分類されている区画が、550ETH(約2億8,600万円)で売却されました。

シーズン20でのビジネスモデルの変更

2022年2月に発表されたシーズン20では、上記の稼ぎ方に大きな変更が加えられました。

その理由の一つとして、独自通貨のSLPの発行数があまりに多くなったがゆえに、その価格がずいぶんと下落してしまったことが挙げられます。

独自の暗号資産が下落すれば、ユーザーにとっては稼げるはずのうま味が薄れるため、Axie InfinityそのもののGameFiとしての価値が下がり、存続が危ぶまれることにもなりかねません。そこで、シーズン20では、運営者がアドベンチャーモードで支給したてきたSLPを一気に「0」にしました。SLPの数を抑えることで、市場原理によってSLPの価格が再び上昇することを狙ったのです。

つまり、アドベンチャーモードでプレイすれば1日に50SLP獲得できていたところが、0となり、デイリークエストを3つクリアーすることで獲得できていた25SLPも0となりました。

その代わり、アリーナモードでのAXSの支給額を桁違いに増やしました。具体的には、上位1,000位までしかもらえなかったところを、30万位と300倍にまで増やし、その分配金も3,000AXSから110,000AXSを超える額となったのです。初心者やライトユーザー向けのアドベンチャーモードでは、実質の報酬を皆無とし、その分、アリーナモードでヘビーユーザーに手厚い報酬体系を導入することで、GameFiとしての特徴をより色濃くしたといえるでしょう。

シーズン19までは、AXSが1,000人しかもらえないということで、上位へのランクインをあきらめていたユーザーでも、30万位までなら入れるかもしれないという期待感を持たせる戦略に切り替えたわけです。

ブロックチェーンゲーム市場では、Axie Infinitに追いつけ追い越せと言わんばかりに、次々と新手の人気コンテンツが登場しています。これらの勢力にユーザーを奪われないために、上記の様な思い切ったインセンティブを設定したともいえるでしょう。

Axie Infinityはポンジスキームなのか?

さて、とくに2021年の半ばころから、P2Eの代名詞のように世界的注目を浴びてきたAxie Infinityですが、そのビジネスモデルを「ポンジスキーム」ではないかと批判する人たちがいます。

ポンジスキームとは、一言でいうと出資金をだまし取る詐欺手口の一つですが、なぜそのようにいわれるのでしょうか。また本当にAxie Infinityはポンジスキームなのか、について考えていきます。

ポンジスキームとは

「ポンジスキーム」とは、投資による儲け話を持ちかけて出資金を募り、実際は運用を行わず、後に続く新規の出資者からの出資金をあたかも配当に見せかけて分配する詐欺手口です。出資者は、運用によって出た利益の一部が配当金として支給されていると思い込んでいますが、実際は何の運用もなされていないということです。よって、新規の出資者がいなくなるか少なくなった時点で、この仕組みは限界を迎え、確実に破たんします。

この手の詐欺行為は、洋の東西に関わらず、昔から数多く行われており、国内でも何年かに一度のペースで、大きな詐欺事件が繰り返し明るみになってきました。

Axie Infinityがポンジスキームではない理由

では、Axie Infinityのビジネスモデルは、このポンジスキームにあたるのか、という点ですが、結論からいうと「NO」といってよいでしょう。

ポンジスキームかどうかを決定づける争点は、「出資者からの出資金が何らかの形で運用されているか否か」です。

つまり、Axie Infinityの場合、プレイヤーがゲームに際して必要となる3体のAxieを購入した際の外部マネーや、プレイヤーがNFTとしてAxieを売却した際の手数料が、運用されているのか、それともそのままただ、報酬として分配するためだけに使われているのか、という点がポイントとなります。

ここで一点注目すべきは、プレイヤーがアリーナモードで上位入賞しようと思えば、ただ同じAxieだけを使うのではなく、戦闘力の高いAxieを随時導入して戦略をアップデートしていく必要がある点です。そのために使える手法が、「ブリード(繁殖)」で、2体のAxieを使って交配し、新たなAxieを誕生させるのです。必ずしも強いAxieが生まれる保証はありませんが、成功すれば、戦闘力の高い新たなAxieが入手でき、より上位へのランクインが期待できます。

このブリードの際、プレイヤーは、独自通貨のSLPを支払う必要があり、これにより暗号資産がバーン(焼却)されることになります。つまり、これでSLP自体の数が減れば、その価格は上昇することになるのです。この様にして、Axie Infinityでは、運営者側が価格調整を行う仕組みを持ち、ここに運用の要素が含まれているといえます。

Axie購入資金などの外部マネーをプレイヤーの報酬とするという流れだけをみると、ポンジスキームと解釈できなくもありません。しかし、Axie Infinityの運営者が、AXSとSLPという独自の暗号資産を発行し、それが活発に市場で売り買いされているうえ、上記の様にバーンによる価格調整といったさらなる運用の要素を有する以上、破たんしにくい仕組みを意図的に構築していると判断できるため、決してポンジスキームとは言えないのです。

さらに、Axie Infinityは、常にSNSや専用サイトで有益な情報を配信したり、コミュニティとの対話を大事にしたりするなど、多くのユーザーや投資家から信頼を獲得するための努力を怠りません。現にシーズン20についても、コミュニティの声を十分に拾い、その内容を重視したうえでの改変だったのです。これらの運営姿勢を鑑みても、詐欺によって出資者を騙すことを前提とするポンジスキームと同等と決めつけるのは、あきらかに無理があるといえるでしょう。

Axie Infinityの将来性

2022年3月29日、Axie Infinityを運営するスカイ・メイビスは、ゲームの基盤となるRonin Networkが、不正アクセスを受け、約6億2500万ドル(約770億円)がハッキングされたと発表しました。

流出した資金は、ETH(イーサリアム)とUNDCで、AXSとSLPは含まれていませんでした。しかし、その中には、プレイヤーや投資家の資金、ゲームの収益も含まれていたとのことで、関係者の中には大きな衝撃が走りました。翌日には、スカイ・メイビスが、被害額は全額補償すると発表し、その後、攻撃者は悪名高き北朝鮮のハッカー集団「Lazarus」の仕業と判明しました。

この被害額の大きさは、暗号資産史上最大ともいわれ、シーズン20によってさらなる高みを目指していたスカイ・メイビスとしては、大きく出鼻をくじかれた形となります。その証拠に、同年3月時点で9,000円前後だったAXSが、6月には2,400円台にまで急落しています。

被害金額を本当に全額補償できるのか、さらに再発防止策の構築も含めてスカイ・メイビスがどこまで信用を取り戻せるのか、今まさに真価が問われる重大な局面にあるといえるでしょう。

今後、Axie Infinityがどのような運命をたどるかは、正直なところだれにも予測できません。ただし、2021年9月から、Axie Infinityがステーキングに対応することとなり、多くの暗号資産プロジェクトのように、AXSを預けるだけで報酬がもらえる仕組みが確立されました。加えて、前述したシーズン20によるP2Eのルール変更、さらに仮想空間内での不動産取引市場が、メタバースブームと相俟ってどこまで成長するかも注目に値します。

そして、Axie Infinityの特筆すべき特徴として、すでに記した通り、ユーザーやコミュニティの声を拾ってシステムに反映する傾向が強い点が挙げられます。今回のシーズン20がまさにそうでした。

プレイヤーの不満を放置せず、より使いやすく魅力的な環境を提供するコミュニティファーストの意識が、多くのユーザーの心をとらえ、強い支持を獲得しているのは間違いのない事実です。危機に瀕する今こそ、これまでの運営姿勢がものを言い、みごとに苦難を乗り越えての復活劇へと導けるのか、この正念場から目が離せないといってよいでしょう。

参考:約770億円のハッキング被害を補償──アクシー・インフィニティの運営会社

まとめ

Axie Infinityで稼ぐためのビジネスモデルとポンジスキームなのかどうか、について詳しく解説しました。

Axie InfinityにおけるP2Eのビジネスモデルは、決して一定ではありません。今回のシーズン20のように、大きなルール変更が行われることもあります。それは、暗号資産やNFTがベースとして成り立っているブロックチェーンゲームならではの事情といってもよいでしょう。

とくに昨年末からの米国に端を発する利上げ政策やロシアのウクライナ侵攻などにより、2022年の暗号資産市場にも少なからず混乱が巻き起こっています。最上位人気のビットコインやイーサリアムさえ、昨年の史上最高値の半分に迫るほどの下落ぶりです。ましてや、AXSやSLPといったそれ以外のアルトコインの動向については、全く予測も楽観視もできない状況です。

そのため、Axie Infinityで稼ぐにしても、ハッキング事件の処理状況やさらなるルール変更も含めて冷静に情報収集し、慎重に関わっていく必要があるでしょう。

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