現代のシステム開発において、RustとGoはそれぞれ独自の強みを持つ人気のプログラミング言語です。両者はシステム開発や並行処理といった共通の課題解決のために設計されましたが、そのアプローチは根本的に異なります。
特に近年は、オフショアエンジニアを活用してRustやGoによる開発を行う企業も増えており、言語選定はプロジェクト成功を左右する重要な要素となっています。
では、自社のプロジェクトに合うのはどちらでしょうか。
本記事では、RustとGoの比較を通して、両言語の根本的な違いを徹底的に解説します。両言語の特性や得意分野を深く理解することで、ビジネスにおける最適な言語選定をサポートします。
オフショアエンジニアとの開発でなぜRustが選ばれているのか?
Rustとは?
Rustは、高いパフォーマンスとメモリ安全性を両立させるために開発された、比較的新しいシステムプログラミング言語です。GoogleやAmazonといった大手企業もその可能性に注目し、インフラストラクチャやバックエンドシステムに採用しています。
- Rustのメリット
優れたメモリ安全性: Rustの最大の特徴は、所有権(Ownership)とボローチェッカー(Borrow Checker)というユニークなシステムです。これにより、コンパイル時にメモリ関連のバグ(ヌルポインタ参照、データ競合など)を徹底的に排除できます。ガベージコレクションがないため、実行時のオーバーヘッドもありません。
高いパフォーマンス: Rustはコンパイルされたネイティブコードで動作するため、C++に匹敵する速度を誇ります。ゲームエンジンやOS、組み込みシステムなど、速度が求められる分野で特に力を発揮します。
信頼性の高い並行処理: 安全な並行処理を設計段階から考慮しており、複数のスレッドが同時にデータを変更するような危険な状態(データ競合)を未然に防ぎます。
これらの特性により、品質管理が求められるオフショアエンジニアとの開発においても、Rustは信頼性の高い選択肢となっています。
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- Rustのデメリット
習得難易度が高い: 所有権やラがkイフタイムといった概念は、他の言語にはないものであり、慣れるまでに時間がかかります。
コンパイルに時間がかかる: メモリ安全性を厳密にチェックするため、大規模なプロジェクトではコンパイル時間が長くなる傾向があります。
学習リソースが少ない: GoやPythonに比べると、日本語のドキュメントや学習教材はまだ少ないのが現状です。
そのため、エンジニアオフショアを活用する場合には、 設計ルールの明確化やコードレビュー体制の構築が重要となります。
Rustが適しているユースケース

- コマンドラインツール(CLI)
- Rustは、実行ファイルが単一のバイナリファイルとして出力されるため、インストールや配布が容易です。
- 高速な実行速度は、ユーザーの利便性を高めます。
- ウェブプログラミング (特にバックエンドとWebAssembly)
- 高速なAPIやバックエンドサービスを構築するのに適しています。
- JavaScriptのランタイムとして、WebAssembly(Wasm)と組み合わせて使用することで、ブラウザ上での処理速度を大幅に向上させることができます。
- OS開発・組み込みシステム
- メモリ安全性と低レベルの制御が不可欠なOS(オペレーティングシステム)や組み込みシステムの開発に最適です。
- ガベージコレクションがないため、リアルタイム性が求められる環境でも安定して動作します。
- ゲーム開発
- ゲームエンジンやゲームサーバーなど、極限までパフォーマンスを追求する分野で利用されます。
- 安全な並行処理(コンカレンシー)は、マルチコアCPUの性能を最大限に引き出すために重要です。
- 暗号資産(仮想通貨)
- セキュリティと信頼性が最重要視されるブロックチェーンやスマートコントラクトの開発に広く採用されています。
Rustは、高パフォーマンスと安全性を重視したシステム開発に最適です。Relipaでは、Rustを活用したWeb3やブロックチェーン、AI関連のプロジェクトを多数手掛けてきました。複雑な要件にも対応できる経験豊富なオフショアエンジニアチームが、お客様のビジネスに最適なソリューションをご提案します。ご興味のある方はぜひご相談ください。
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Go (Golang) とは?

Goは、Googleが開発したプログラミング言語で、シンプルさ、高い生産性、そして優れた並行処理(concurrency)能力を特徴としています。現代のWebサービスやクラウドインフラ、ネットワークアプリケーションの開発に広く利用されており、オフショアエンジニアとの開発においても扱いやすい言語として注目されています。
- Goのメリット
並行処理の簡潔さ: GoroutinesとChannelsという独自機能により、並行処理を簡単かつ安全に実装できます。
高速なコンパイルと実行: ビルドが非常に速く、開発サイクルを短縮します。
シンプルな文法と学習コスト: 覚えやすく、新しい開発者でもすぐに習得できます。
強力な標準ライブラリ: ネットワーク、Web、暗号化など、多岐にわたる機能が標準で提供されています。
- Goのデメリット
メモリ管理: ガベージコレクション(GC)の実行時に、わずかながら処理が停止することがあります。
ジェネリクス: 以前のバージョンではサポートされておらず、冗長なコードになることがありました。現在は改善されましたが、古いコードベースでは課題となる場合があります。
エラーハンドリング: if err != nilという記述が頻繁に現れるため、コードが冗長になりやすいと指摘されることがあります。
Goが適しているユースケース

出典:The State of Go 2024
Goは、その特性から、オフショアエンジニアとの分業・分散開発に向いた分野で特に力を発揮します。
- クラウドインフラ: GoroutineとChannelを活用した並行処理により、大規模でスケーラブルなクラウドサービスやマイクロサービス構築に最適です。
- Webサーバー・API: 高速なコンパイルと実行、そして強力な標準ライブラリにより、高性能なWebサーバーやRESTful APIを効率的に開発できます。
- ネットワークプログラミング: ネットワーク関連のライブラリが豊富で、データベースブローカーやメッセージキューなど、高負荷なネットワークアプリケーションに適しています。
- DevOpsツール: 単一の実行可能ファイルとしてビルドできるため、KubernetesやTerraformといったDevOpsツールの開発に広く利用されています。
- コマンドラインツール: クロスプラットフォームで動作する軽量なツールを簡単に作成・配布できます。
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オフショアエンジニア開発におけるRustとGoの重要な違い
パフォーマンス
オフショアエンジニアとの開発では、限られた開発コストの中でどれだけ高いパフォーマンスを実現できるかが重要な判断基準となります。
その観点から、RustとGoはパフォーマンス設計において大きく異なります。
| Rust | Go |
| ・Zero-cost abstractionsとGCレス(Garbage Collection)により、最大のパフォーマンスを追求します。 ・計算集約型の処理、リアルタイムシステム、組み込みシステム、ゲームエンジン、OS、金融分野に非常に適しています。 ・多くのベンチマークにおいて、C++に匹敵するか、それを上回る性能を示すことがよくあります。 | ・開発速度と十分なパフォーマンスに焦点を当てています。 ・GC(ガベージコレクション)があるため、Rustのような最大性能は追求しませんが、開発者にとってはシンプルで安全です。 ・GoroutinesとChannelsによる、Webサーバー、マイクロサービス、ネットワークサービスといったI/Oバウンドなアプリケーションに非常に適しています。 |
ベンチマーク
一般的なベンチマークテストでは、計算集約型のタスクにおいて、RustがGoよりも高速な結果を示す傾向があります。これは、Rustが低レベルのメモリ操作をより細かく制御できるためです。
例えば、「The Benchmarks Game」という有名な比較サイトのデータを見ると、多くのテストケースでRustのパフォーマンスがGoを上回っています。

出典:The Benchmarks Game
Binary-treesのベンチマーク結果を示すこの図は、両言語のパフォーマンスの違いを明確に示しています。
- 速度について: Rustは実行時間(elapsed)で圧倒的に優れています。最も最適化されたRustのバージョンは1.07秒で完了するのに対し、Goは14.21秒かかります。この計算負荷の高いタスクにおいて、RustはGoの約13倍速いことになります。
- メモリ使用量について: Rustはメモリ管理もより効率的です。Rust #5のバージョンは139,121KBのメモリを使用していますが、Go #2は635,613KBを消費しており、Rustが大幅に少ないことがわかります。
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並行処理
オフショア開発では、複数のエンジニアが同時に機能開発を行うため、並行処理モデルの分かりやすさと安全性は、コード品質とレビュー効率に直結します。
| 項目 | Rust | Go |
| アプローチ | 所有権と借用チェッカーによりメモリ安全性をコンパイル時に保証 | GoroutineとChannelによるCSPモデル |
| 設計思想 | データ競合(Data Race)をコンパイル時に排除 | 「データを共有せず、通信で渡す」 |
| 特徴 | ・高パフォーマンスな並行処理 ・実行時のバグを防止 ・学習コストは高め | ・簡潔で直感的に記述可能 ・数万規模の並行処理に対応 ・学習コストは低め |
メモリ安全性
プログラミング言語において、メモリの安全性は最も重要な要素の一つです。RustとGoは、この問題に対して全く異なるアプローチを取っています。
Rust: コンパイル時のメモリ安全性
Rustは「所有権システム(Ownership System)」と呼ばれる独自のモデルを採用しています。コードを記述する際、コンパイラが厳格なルールをチェックし、データへの参照がそのデータ本体よりも長く存在しないことを保証します。これにより、以下の一般的なバグを未然に防ぐことができます。
- ヌルポインタ(null pointer): Rustはヌルポインタを許可しません。
- Use-after-free: 解放後のメモリを使用するバグ。
- データ競合(Data races): マルチスレッド環境で発生する競合。
特にエンジニアオフショアとの開発では、 実装者ごとのスキル差によるバグ発生リスクを最小限に抑える必要があり、 その点でRustのコンパイル時安全性は大きな強みとなります。
Go: 実行時のメモリ安全性
一方、Goは所有権モデルを持っていません。代わりに、ガベージコレクター(GC)に依存してメモリを自動的に管理します。
- GCの仕組み: 変数が不要になった際、GCが自動的にメモリを解放します。これにより、開発者は手動でのメモリ管理から解放され、生産性が向上します。
- 課題: GoのGCは非常に効率的ですが、コンパイル時ではなく実行時に動作します。そのため、一部のメモリ関連のバグは実行時まで検出されない可能性があります。この課題を補うため、Goには実行時にデータ競合を検出する「データ競合検出器(race detector)」が提供されています。
要約すると、Rustはコンパイル時に絶対的な安全性を保証することに重点を置いていますが、Goはメモリ管理を自動化することで、開発者のシンプルさと生産性を優先しています。
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オフショア開発におけるRustとGoの将来性
プログラミングコミュニティからの関心度に加え、オフショアエンジニアによる開発や分散開発での採用動向を踏まえることで、RustとGoの将来性をより現実的に評価することができます。

出典:Stack Overflow
Rustの将来性
Rustの将来は非常に有望であり、特にパフォーマンスと安全性が重要視される分野で注目されています。
- システムプログラミング: LinuxカーネルやAndroidの一部コンポーネントにRustが導入され始めており、重要なタスクにおいてC/C++の代替として信頼できる言語であることが認められています。
- WebAssembly (Wasm): RustはWasmの主要言語の一つであり、バックエンドからフロントエンドまで適用範囲を広げ、高性能なWebアプリケーションの実現を可能にします。
- コミュニティの支持: 調査データによると、Rustは最も「好まれている言語」であり、72.4%の開発者に支持され、29.2%が学びたいと回答しています。この数字はRustの将来性とコミュニティでの受容の広がりを示しています。
Goの将来性
Goはすでに強固な地位を築いており、その将来も明るいものです。Goは以下の分野で引き続き主要な選択肢となるでしょう。
- クラウドとDevOps: Goはまさにクラウド時代のために生まれた言語です。Kubernetes、Docker、Terraformといった重要なプロジェクトがGoで構築されており、この分野での地位を確立しています。
- マイクロサービスとAPI: Goは優れた並行処理能力と開発スピードの速さにより、高速なマイクロサービスやAPIの構築に理想的な言語であり続けます。
- コミュニティの支持: 調査データによると、Goは56.5%の開発者に「好まれている(Admired)」言語とされ、23.4%が「学びたい(Desired)」と回答しています。これはGoが業界内で確固たる基盤を持ち、信頼できる選択肢であることを示しています。
シンプルな言語仕様と豊富な実績により、オフショアエンジニアとの協業においても安定した開発体制を構築しやすい点が、Goの強みと言えるでしょう。
両言語とも将来は明るく、すべての分野で直接競合するわけではありません。
- Rustは絶対的なパフォーマンスと最大限の安全性が求められる分野で支配的な役割を担い続けるでしょう。
- 一方、Goはクラウドサービス、ネットワークプログラミング、分散システムの分野で王者の地位を維持すると考えられます。
どちらを選択するかは、プロジェクトの具体的な要件だけでなく、オフショア開発体制・求められる品質レベル・長期的な運用戦略によって判断することが重要です。
まとめ
RustとGoは、それぞれ異なる強みを持つモダンなプログラミング言語であり、オフショアエンジニアを活用した開発においても有効な選択肢です。
Rustは、「最高レベルのパフォーマンス」と「コンパイル時に保証されるメモリ安全性」を兼ね備えており、コード品質のばらつきが課題となりやすいオフショア開発や分散開発環境において、品質管理を強化できる言語として注目されています。システム開発、ブロックチェーン、Web3、ゲームエンジン、WebAssemblyなど、高度な性能と信頼性が求められる分野に適しています。
一方、Goは「シンプルな文法」と「高い生産性」、そして「直感的な並行処理モデル」により、オフショアエンジニアとの協業においても学習コストを抑えやすく、チーム開発をスムーズに進めやすい言語です。Webサーバー、マイクロサービス、クラウドインフラ、DevOpsツールなどの領域で強みを発揮します。
このように、RustとGoのどちらが適しているかは、プロジェクトの要件やオフショア開発体制、求められる品質・スピードのバランスによって異なります。
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