SES(システムエンジニアリングサービス契約)とは?SESのメリットとデメリット

今これを読んでいるあなたは、SESという言葉を知っているでしょうか。
これからオフショア開発などの、開発業務委託を検討する際、このSESという言葉やその意味・メリットを知っておくことは、事前知識として大切なものとなってきます。
ここでは、SESの意味からそのメリット・デメリットまでを一貫してご紹介させていただきますので、是非参考にしてみてください。

SES(システムエンジニアリングサービス契約)とは?

SESとは、「System Engineering Service」という英語の頭文字を取ったものであり、その名の通りシステムエンジニアリングサービスを提供するための契約形態の一つのことを指します。

このSES契約の特徴として一つ目にあげられる点は、何かの成果やサービスの完成を委託することではなく、労働力及びその作業量に対して対価が支払われるという点でしょう。
つまり、一つのプロダクト完成のために契約を結ぶ請負契約とは異なり、あるエンジニアに一定期間業務を任せ、その作業に対して金銭を支払っているということなのです。
これは、契約期間内であれば様々な業務を任せることが出来るという柔軟さにも繋がる特徴と言えますね。

そして、SESのもう一つの特徴としてあげられるのは、指揮系統がSESを受注した側にあるということです。
これは、発注側に指揮系統が移譲される派遣契約とは異なり、「人」ではなく、より「サービス」に近いものを提供するという契約形態の表れと言えます。

SESのメリット

では、そんなSESという契約形態を取ることで、あなたはどのようなメリットを享受することが出来るのでしょうか。
ここでは3つのメリットをご紹介して、SESを始める意義をあなたにお伝えしたいと思います!

採用・育成にかかるコストを削減できる

まず一つ目のメリットは、採用・育成にかかるコストを削減できるということです。
現在日本では、ITエンジニアの数が慢性的に不足しており、優秀なエンジニアを国内で探して採用し、育成するというプロセスは過去にないほど難しくなってきています。
現に、経済産業省の商務情報政策局・情報処理振興課の調査では、2015年時点で17万人、2030年時点には約59万人のIT人材が、日本において不足するという予測も立てられています。

そんな中、オフショア開発でSESを結べば、国内でエンジニアを獲得する一連の手間とコストを省き、効率的に開発リソースを増強することが出来るでしょう。
よりスピーディーかつ、効率的な経営を行なっていきたいという企業にとっては、これは大きなメリットとなるはずです。

マネジメントや管理の工数がかからない

また、先ほどSESの特徴で述べたように、SESでは指揮系統が受注側の責任となるため、発注者側にマネジメントや管理の工数がかからないということも、一つのメリットとなり得ます。
例えば、煩雑な勤怠管理や労務管理、更にはエンジニアのモチベーションやスキル把握なども、受注者側が一任をしてくれるので、発注者側は出来るだけコストを少なくして、開発業務を進めていけるはずです。
もちろん、一緒に仕事を進めていく上でコミュニケーションの部分などは大切となってきますが、こうした部分で余計なコストと工数をかけなくて良いということは非常に魅力的な点なのではないでしょうか。

特定の技術者を開発リソースとして確保できる

3つ目のメリットとしては、自社が欲しいスキルセットを持った人材や、自社が採用しているプログラミング言語の経験を持ったエンジニアなど、ピンポイントで欲しい特定の人材を一定期間確保できるという点が挙げられます。
これは、正社員契約や派遣契約などにおいて時たま見られる、「入社前と後のギャップ」という問題を無くし、期待している活躍・成果をしっかりと出せるという強みに繋がるでしょう。
また、請負契約と比較した際には、案件単位ではなく契約期間中ずっと自社のために働いてくれる人材となるため、開発リソースの確保という側面で安心できるということも、大きなメリットかもしれません。

SESのデメリット

一方で、SESにはメリットだけではなくデメリットがあるということも忘れてはいけません。
ここでご紹介する幾つかのデメリットを踏まえて、あなたの事業やプロジェクトが本当にSESに向いているかどうかを検討してみてください!

長期的な育成は出来ない

一つ目のデメリットは、コストや工数の手軽さという反面、人材を長期的な視点で育成できないということです。
やはりSESでは、契約期間に限りが出てきてしまうため、その期間を過ぎるといくら優秀なエンジニアとはいえ、また別のクライアントワークを始めてしまいます。
したがって、数年・十数年単位で人材を育成したいというのであれば、SESという形ではなく、しっかりと若手人材を採用して自社で育成することが必要となるでしょう。
また、即戦力ではない若手を正社員として雇用し、その育成期間中はSESによって開発リソースの増強を図るという合わせ技も、会社のためには有効な策かもしれませんね。

思うままのマネジメントは出来ない

次のデメリットとしては、管理やマネジメント工数の削減というメリットの裏返しとなる、「自社の思うようなマネジメントが出来ない」という問題です。
SESの契約形態では、指揮系統はあくまで受注企業側にあるので、発注をしていただいた企業様でも、そのマネジメントや育成などを好きなようには出来ないことになります。

しかし、コミュニケーションによって双方のニーズを把握し、お互いがやりやすいような形を作ることは十分可能です。
むしろ、積極的に自社の状況やルールを開示・教えることによって、エンジニアの方的にも働きやすく効率的にプロジェクトを進めていくことが出来るでしょう。

SESという契約形態の中で、理想的な働き方を見つけ出し、より有効な業務委託を行えると良いですね。

メリットを踏まえて効果を出そう!

以上が、SES(システムエンジニアリングサービス契約)についてのご説明と、そのメリット・デメリットのご紹介となります。
実際のところ、たくさんのメリットがあり、開発リソースの不足に悩んでいる会社や、エンジニアの人手を欲しているという会社には、非常に魅力的な選択肢の一つであるということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

是非こうしたメリットとデメリットを踏まえた上で、自社のプロジェクトがSESに向いているのかを検討し、大きな成果・効果をあげる開発を行なってくださいね!

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