2026年に向けて、日本企業のデジタルトランスフォーメーションは急速に進展しています。生成AIやコンフィデンシャルコンピューティングなど、革新的なテクノロジーが業務効率化やセキュリティ強化を後押しする一方で、ITリテラシーや人材不足、レガシーシステムの課題も依然として残っています。
本記事では、Gartner、NRIといった信頼性の高い調査機関の最新データを基に、2026年に日本企業が注目すべきトップ10の技術動向を取り上げます。各技術の導入優先度や具体的な導入事例、注意すべきポイントを解説し、日本のテクノロジー環境を理解するうえで役立つ内容を提供します。
これにより、企業が直面する課題を乗り越え、次世代の競争力強化に向けて効果的に最新技術を活用するための指針となることを目指しています。
日本における最新テクノロジー導入状況
2025年、日本の大企業(製造・金融・流通・サービスなど517社)を対象としたNRIの最新調査から、2026年に向けたテクノロジー導入の「リアル」が明らかになりました。
結論を先に言うと、日本企業は世界でもっとも速いペースで生成AIを本番導入している一方で、リテラシー不足・レガシー残存・人材不足という「三重苦」が深刻化しています。
IT予算は増加基調が続くが、伸びは鈍化

- 2025年度にIT予算を「増加」させた企業:49.0%
- 2026年度に「増加を見込む」企業:47.5%
日本企業は円安・物価高・グローバル競争の中でIT投資の手を緩めていないが、かつての50~60%台の伸びからは明らかにペースダウンしています。それでも約半数の企業が増額を続けるのは、生成AIの本格活用が収益に直結し始めている証左と言えます。
生成AIの導入率は世界トップクラスへ急上昇

出典:NRI
わずか2年で導入率が1.7倍に急拡大しています。ChatGPTやGeminiなど汎用サービスの浸透により「検討中だった企業が一気に本番移行した」形です。 同時にノーコード/ローコード開発の導入率も51.0%に達し、市民開発(非エンジニアによるアプリ開発)が確実に根付き始めています。
最大の壁は「リテラシー不足」と「リスク管理の難しさ」
生成AI活用の課題(複数回答)

出典:NRI
- リテラシーやスキルが不足している 70.3%(前年比+4.9pt)
- リスクを把握し管理することが難しい 48.5%
導入が進むほど「使える人」が足りない実態が浮き彫りになりました。まさに「ツールは揃ったが、使いこなせない」という典型的な第2段階の壁に直面しています。
レガシーシステムは依然として約半数に残存

出典:NRI
- アプリケーション領域のレガシー残存率:47.3%
- 基盤領域のレガシー残存率:48.2%
2021年調査からそれぞれ18.4pt、13.7pt減少したが、いまだ半数近くの企業がメインフレーム/COBOLなどで動く基幹システムを抱えています。継続利用の懸念トップは「ブラックボックス化・有識者不足」(51.6%)と「ベンダーサポート終了」(50.1%)です。
デジタル人材の需給ギャップは深刻
| 役割 | 保有すべきと考える企業 | 実際に保有している企業 | ギャップ |
|---|---|---|---|
| プロジェクトマネージャー | 80.1% | – | – |
| ITストラテジスト | 71.9% | 29.6% | 42.3pt |
特に「デジタル技術を理解し、ビジネスに活かせるITストラテジスト」の不足は顕著で、必要だと考える企業の7割超が実際には保有できていないという危機的状況にあります。
2026年、この「三重苦」を同時に打破する技術がようやく実用段階に入ります。
生成AIを支える超高速・低コストの計算基盤、市民開発を可能にするAIネイティブ開発プラットフォーム、そして「使える人材がいない」状況を根本から変える予防型セキュリティやフィジカルAIです。
Gartnerが提唱する3つのテーマに沿って、2026年に日本企業が最優先で押さえるべき10大テクノロジーを、導入優先度・国内事例・投資回収イメージとともに徹底解説します。

カテゴリー① The Architect(アーキテクト)
カテゴリー② The Synthesist(シンセシスト)
カテゴリー③ The Vanguard(ヴァンガード)
最新テクノロジーの急速な進化に対応するには、専門的な知識と実践的な経験が不可欠です。Relipaは、Web3、AI、ブロックチェーン領域で豊富なプロジェクト実績を持ち、最先端の技術トレンドをいち早くキャッチアップし、お客様のビジネスに最適なソリューションを提供しています。技術導入の課題や人材不足の悩みも、Relipaの専門チームがしっかりサポートします。ぜひお気軽にお問い合わせください。
カテゴリー①:The Architect(アーキテクト)
AIネイティブ開発プラットフォーム

AIネイティブ開発プラットフォームとは、生成AIを核とした次世代の開発環境です。 ノーコード/ローコード開発の普及を背景に、非エンジニアの方でも高速開発や市民開発で社内ツールを短期間で作成できる環境が整っております。 API連携、マイクロサービス化、RAG(検索拡張生成)などの最新技術も標準で搭載されています。
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主な役割:
- アプリケーション開発の大幅な効率化
- 標準化されたAIワークフローの整備
- 社内データとの安全な統合
- IT人材不足を補う市民開発(Citizen Development)の推進
注意すべきリスク:
- データ品質やアクセス管理が不十分な場合、誤回答・誤処理が発生しやすい
- ガバナンス、品質保証、監査の仕組みが必須
Gartnerは、2030年までに、AIネイティブ開発プラットフォームの普及により、組織の80%が大規模なソフトウェアエンジニアリングチームを再編すると予測しています。具体的には、AIによって能力が強化された、より小規模で俊敏性の高いチームへと変革が進むと見ています。
AIスーパーコンピューティングプラットフォーム

AI需要が急増している現在、高性能GPUクラスタやハイブリッドクラウドを活用したスーパーコンピューティング基盤が非常に重要です。 大規模モデルの学習、リアルタイム推論、高度なシミュレーションなど、従来の基盤では難しかった処理も可能になります。
主な役割
- 大規模LLMの高速学習・リアルタイム推論を実現
- エッジを含む分散処理を最適化
- レガシーシステムのボトルネックを解消し、AI時代の標準基盤へ移行
注意すべきリスク:
- 初期投資・運用を含むインフラコストと電力消費が高止まりしやすい
- 特定クラウドやGPUベンダーへの依存(ロックイン)に注意が必要
- モデルおよびデータに対するセキュリティ・アクセス制御の強化が必須
Gartnerは、2028年までに主要企業の40%以上が、重要なビジネスワークフローにハイブリッド型コンピューティングパラダイムを採用すると予測しています。
これは、オンプレミス+クラウド+エッジを組み合わせたアーキテクチャへの移行が、AI時代の標準になることを示しています。
コンフィデンシャルコンピューティング (機密コンピューティング)

コンフィデンシャルコンピューティングは、データを処理中でも暗号化し、プライバシー保護とセキュリティを強化する技術です。特にクラウド環境やマルチテナント環境での安全なデータ共有に不可欠です。
主な役割
- Trusted Execution Environment(TEE)による安全なデータ処理
- 機密データの暗号化処理の維持
- 複数企業間での安全な共同分析支援
注意すべきリスク
- ハードウェア依存による運用複雑性
- 対応ソフトウェア・サービスの限界
- 早期導入企業のコスト負担
導入事例
- 金融機関の秘密計算によるリスク管理
- 医療機関間での安全な患者データ共有
- サプライチェーンでの機密保持強化

Gartnerは、2029年までに「信頼されていないインフラ上で実行されるオペレーションの75%以上」が、コンフィデンシャル・コンピューティングによって「データ使用中(in-use)」の段階でも保護されるようになると予測しています。
これは、クラウドやハイブリッド環境におけるデータ保護の基準が、「保存・転送の保護」から「処理中の保護」へとシフトしていることを示しています。
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カテゴリー②:The Synthesist(シンセシスト)
マルチエージェントシステム

マルチエージェントシステムとは、複数のAIエージェント(自律的に判断・行動するAI)が、相互に連携・協調しながらタスクを遂行するシステムアーキテクチャです。
各エージェントは異なる役割や専門知識を持ち、単一のAIでは対応が難しい複雑な業務や動的な環境において、高い柔軟性とスケーラビリティを発揮します。
近年では、生成AI・LLMの進化により、意思決定、タスク分解、役割分担、自己改善といった高度な振る舞いを実現するマルチエージェントの実用化が急速に進んでいます。
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導入が注目されている理由
・単一AIでは限界のある複雑タスクに対応可能
・人手不足を補う「AIチーム」として機能
・生成AIの推論能力を最大限に活用できる
・エージェント単位での拡張・改善が容易
主な役割
・複雑な業務プロセスを複数エージェントで分担・自動化
・人間のチームに近い形での協調的な意思決定を実現
・業務状況の変化に応じた柔軟な対応・再計画
・大規模システムにおける運用負荷・判断コストの低減
主な活用分野
・業務自動化(AIワークフロー、RPAの高度化)
・ソフトウェア開発(設計・実装・テストを分担するAI開発支援)
・サプライチェーン・物流最適化
・サイバーセキュリティ(監視・検知・対応の自律分担)
・カスタマーサポートの高度化(役割別AIエージェント)
注意すべきリスク
・エージェント間の意思疎通設計が不十分な場合、誤動作や非効率が発生
・ガバナンス、責任分界、判断ログの管理が重要
・セキュリティや暴走防止のための制御設計が不可欠
・システム設計の難易度が高く、十分な設計・検証が求められる
Gartnerは、今後数年で複雑な業務自動化やAIエージェント型アプリケーションの中核として、マルチエージェントシステムの採用が急速に拡大すると指摘しています。
特に、日本企業においては、業務の属人化解消や生産性向上の観点から注目度が高まっています。
ドメイン特化型言語モデル
ドメイン特化型言語モデルとは、金融・製造・医療などの業界データを学習させた専用の大規模言語モデルです。 一般的な汎用モデルでは対応しきれない精度・専門性・日本語の敬語表現を提供します。

導入が進んでいる理由
- 日本語の文脈・敬語表現に強く、実務で使える精度を実現
- 業界特有の専門知識に基づき、誤回答(ハルシネーション)を大幅削減
- RAG(検索拡張生成)により、社内データを安全に統合・活用できる
注意すべきリスク
- 特化しすぎると、汎用性・柔軟性が低下する可能性あり
- モデル更新・再学習にコストがかかる
- データガバナンス、プライバシー保護の強化が必須
Gartnerは、2028年までに企業が利用する生成AIモデルの過半数が、汎用モデルではなくドメイン特化型モデルになると予測しています。
その理由は、精度・安全性・コンプライアンス対応の観点で、特化型モデルの方がビジネス価値を生みやすいからです。
フィジカルAI

フィジカルAIは、物理空間に存在するロボットやセンサー、IoTデバイスにAIを組み込み、人間の知覚・動作を支援・拡張する技術です。製造、物流、医療現場などで活用が進んでいます。
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主な役割
- ロボットによる自動化と人間の作業支援
- 環境認識とリアルタイムフィードバック
- 安全性向上と生産性改善
注意すべきリスク
- 機器故障・誤動作によるリスク管理
- プライバシーと倫理的課題
- 導入コストと保守負担
導入事例
- 製造ラインの協働ロボットによる効率化
- 病院での患者ケア支援ロボット
Gartnerは、2026年までにフィジカルAIを活用したシステムが50%以上の企業で導入されると見込んでいます。
カテゴリー③:The Vanguard(ヴァンガード)
予防型サイバーセキュリティ
予防型サイバーセキュリティは、攻撃が発生する前に脅威を検知・阻止することを目的とした次世代のセキュリティ戦略です。AIや機械学習を活用して未知の攻撃パターンを早期に特定し、被害を最小限に抑えます。

主な役割
- リアルタイム脅威検知と自動対応
- 振る舞い分析による未知攻撃の予測
- インシデント発生前のリスク低減
注意すべきリスク
- 過剰な自動化による誤検知や業務停止リスク
- 高度な技術導入による運用コスト増加
- セキュリティ人材の育成が必要
導入事例
- 大手金融機関の攻撃予防システム導入でインシデント30%減少
- 製造業におけるサプライチェーン攻撃防止
Gartnerは、2026年までに予防型セキュリティを採用する企業が全体の60%を超えると予測しています。
デジタルプロベナンス
デジタルプロベナンスは、データやデジタル資産の起源・履歴を追跡・記録し、真正性や信頼性を担保する技術です。ブロックチェーンや分散型台帳技術とも連携し、不正改ざんやフェイク情報対策に活用されます。

主な役割
- データの完全な履歴管理・追跡
- 信頼性の証明と透明性の向上
- サプライチェーンやメディアの信頼構築
注意すべきリスク
- データ管理コストの増加
- プライバシー保護とのバランス調整
- 標準化・相互運用性の課題
導入事例
- 食品業界におけるトレーサビリティ強化
- メディア企業のフェイクニュース対策
Gartnerは、2027年までにデジタルプロベナンス技術を導入する企業が40%を超えると予想しています。
AIセキュリティプラットフォーム
生成AIの普及に伴い、データ漏洩、プロンプトインジェクション、モデル盗難などの新たな脅威が急増しています。これらのリスクに対応するため、AI専用のセキュリティプラットフォームは企業にとって不可欠な存在となっています。

主な役割
- アクセス制御、暗号化、権限管理の強化
- 学習データおよび生成データの安全な管理
- AIログ監査、異常検知、自動アラート機能の提供
- 各種コンプライアンス対応の支援
注意すべきリスク
- 全社的なAIリテラシー向上も同時に推進する必要がある
- 過剰なセキュリティ制御が開発スピードの低下を招く可能性
- セキュリティと利便性のバランス確保が重要
2028年までに、企業の50%以上がAI投資を保護するためにAIセキュリティ・プラットフォームを使用するようになるとGartnerではみています。
ジオパトリエーション

ジオペイトリエーション(Geopatriation)とは、データ、システム、ITオペレーションを地政学的・法規制的な観点から最適な地域に配置・再配置する戦略を指します。
単なるデータローカライゼーション(国内保管)とは異なり、国際情勢、各国の規制、サイバーリスク、サプライチェーンの安定性までを考慮した、より高度なIT戦略です。
近年、地政学リスクの高まりや各国のデータ保護規制強化を背景に、グローバル企業を中心にジオペイトリエーションへの関心が急速に高まっています。
注目される背景
ジオペイトリエーションが重要視されている理由は以下の通りです。
- 各国でデータ主権・個人情報保護規制が強化されている
- 米中対立や国際紛争など、地政学リスクがIT運用に直接影響する時代になった
- クラウド・AI・分散システムの普及により、ITリソースの配置自由度が高まった
- サプライチェーン全体のレジリエンス(回復力)が経営課題となっている
特に日本企業においては、海外クラウド依存の見直しや重要データの配置戦略再設計が重要なテーマとなっています。
主な役割
ジオペイトリエーションは、次のような価値を企業にもたらします。
- 地政学リスクや国際制裁への対応力を強化
- 各国のデータ保護・業界規制へのコンプライアンスを確保
- クラウド障害や国際トラブル時の事業継続性(BCP)を向上
- マルチクラウド/リージョン戦略による運用柔軟性の向上
これにより、IT戦略が単なる技術課題から経営・リスクマネジメントの中核へと進化します。
注意すべき課題・リスク
一方で、ジオペイトリエーションには以下のような課題も存在します。
- システム構成が複雑化し、運用・管理コストが増加する可能性
- 各国規制の継続的な監視とアップデートが必要
- クラウド、セキュリティ、法務を横断した高度な専門知識が求められる
- 不適切な設計は、パフォーマンス低下やコスト増につながる
そのため、戦略設計段階から技術・法規制・ビジネスを統合的に検討することが不可欠です。
まとめ
2026年は、多くの先進技術が爆発的に普及し、日本企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させる年となるでしょう。
しかし、大きなチャンスとともに、スキル不足やセキュリティ、ガバナンスの課題も存在し、企業は明確な戦略と十分な準備が求められます。トレンドを把握し、技術の長所と短所を理解し、実例を参考にすることで、強固な技術基盤を築き、グローバル市場での競争力を高めることが可能です。
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