2022.06.08
DEX

DEX には AMM の導入がスタンダード!

DEX

特定の管理者も第三者も介さずに暗号資産の取引が自由に行える DEX (分散型取引所)。

本人確認なしでだれでも参加できるうえ、安価な手数料でスピーディーな処理が可能なため、ユーザービリティの高さが評価されて、数あるDeFiサービスの中でひと際存在感を増しています。

そのDEXの流動性を支えているのが、「AMM(自動マーケットメーカー)」です。AMMによって、市場では自律的に流動性が提供されるので、ユーザーはいつでも暗号資産のトレードを自由に行うことができます。逆を言えば、投資家から厚い信頼が寄せられるDEXを開発するには、質の高いAMMを組み込むことが不可欠といえるでしょう。

今回は、DEXを開発するうえで、重要度の高いAMMについて、その仕組みやなぜDEXで多用されているのか、について詳しく解説します。

DEX の運営は流動性がポイント

AMMについて理解するためには、DEX特有の流動性を高める仕組みについて知る必要があります。

優れたDEXを開発するのは、いかに流動性を高めるかが、大きなポイントとなります。そこでまず、DEXの流動性の根幹をなす「流動性プール」と「流動性枚マイニング」について解説しましょう。

流動性プールとは

DEXは暗号資産専用の取引所で、その特徴は、ユーザーが中央集権的管理者に資産を預けずとも、自身のウォレットから直接取引が可能な点にあります。そのDEXが適切に機能し、市場として滞りなく運営を続けるには、流動性の確保が欠かせません。

流動性とは、一言でいうと「暗号資産の売りやすさ」です。保有する暗号資産を売りたいユーザーが、取引所ですみやかに売ることができれば、「流動性が高い」と言えます。逆に、買い手がつかず、トレードが成立しにくい状態は「流動性が低い」ことになります。もちろん「流動性が高い」方が、市場としては成熟していますし、多くの投資家から期待されている証拠といえるでしょう。よって、すべてのDEX開発者に共通して強く求められるのは、流動性をいかにして高めるか、ということです。

流動性の高低は、暗号資産の人気度合いに依存する面が大きいですが、それに勝るとも劣らぬ影響をもつのが、DEXの場合は「流動性プール」になります。DEXでは、ローンチに際して、リクイディティ・プロバイダー(以下LP)と言われる投資家が、複数のトークンをセットにして同額ずつ提供することで、市場形成を図ります。このトークンの提供先は「流動性プール」と呼ばれ、仲介者や管理者不在で自動的にトレードが成立するようにプログラムされているスマートコントラクトの一種です。

詳しくは後述しますが、DEXが機能するためには、LPが2種類をペアにしたり、複数をセットにしたりして提供したトークンが、一定以上のボリュームで流動性プールに貯まることが、大前提となります。DEXでの取引は、ユーザーがプール内のトークンと同じもので、自分が売りたいトークンをプールに入れてから、買いたい別のトークンを引き出すかたちとなります。この取引は、すべてスマートコントラクトによって自動的に行われ、これをAMM(Automated Market Maker/自動マーケットメーカー)といいます。LPから提供された流動性プール内のトークンが多ければ、トレードが成立しやすくなりますが、あまりに少なければ取引が成り立たなくなります。

つまり、DEXでは、LPが提供したトークンが潤沢であればあるほど、流動性が高くなるといえるのです。

流動性マイニングとは

LPが流動性プールに提供したトークンは、必ずしも値上がりするとは限らないため、LPは少なからず資産を失うリスクを負うことになります。そのデメリットを承知の上でLPがトークンを提供するのは、それなりのリターンが期待できるからにほかなりません。各DEXプロジェクトは、流動性を確保するために、魅力のあるインセンティブを用意し、多くの投資家にLPとなってもらうように仕向けます。その主軸となるのが、「流動性マイニング」です。

流動性マイニングとは、具体的には、LPトークンの無料配布、サービス内の取引手数料の分配、さらに、多ければ数千%にも達する桁違いの利息などです。LPトークンは、流動性プールにトークンを提供した証明となるもので、提供したトークンを流動性プールから引き出す際に交換のために使います。LPトークンを取引所内のファームに預ければ、ファーミング収入を得られるというメリットがあります。取引手数料については、流動性全体に対するシェアに比例して受け取ることができる仕組みになっています。

つまり、DEXの流動性が十分に確保され、多くのユーザーが頻繁にトレードを行えば、LPトークンの価値が上がり、分配される手数料収入も増えます。DEXに提供したトークンが値上がりしたタイミングでうまく引き上げれば、インカムゲインが得られるうえ、売却すればキャピタルゲインを手にすることも可能です。これが流動性マイニングの醍醐味であり、その成果によって、DEXプロジェクトの真価が問われるのです。

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DEX ではAMMが圧倒的に有効

AMMとは

中央集権的管理者が取引をすべて仲介するCEXでは、トークンを売りたいトレーダーと買いたい相手をマッチングさせる「オーダーブック方式」が採用されています。オーダーブック方式は、株や国債と同じで売り手が提示する「○○円でどれだけ売りたい」という条件に応じる買い手を仲介者が探します。つまり、トレード時の価格は決まっているということです。

一方、DEXで多用されているAMMは、あらかじめ組み込まれた数式により、ユーザーがプール内に、あるトークンを入れ、引き出す別のトークンの量に応じて価格を自動計算します。つまりAMMでは、トレーダーが価格を決めて売るのではなく、スマートコントラクトが自律的に決定するというわけです。加えて、仲介者を介さない分、取引手数料が安くなり、スピーディーな取引が可能となるメリットがあります。

オーダーブック方式では、各取引について仲介者の介入が必要となるため、その分手間がかかるうえ、取引スピードも遅くなりがちです。イーサリムでは、手数料の高騰と取引の遅延というスケーラビリティ問題が深刻で、これを解消するためにも、安価でスピーディーなトレードが可能なAMM方式の需要が高まっているのです。

AMM のメカニズム

さらにAMMの仕組みについて、詳しく掘り下げましょう。

DEXの基本パターンとして、2種類のトークンが流動性プールにストックされているのが一般的です。トレーダーによって一方が追加されてもう一方が買われると、AMMのアルゴリズムによって、数量が増えたトークンは価格が下がり、数量が減った方の値が上がるようにプログラムされています。

話を分かりやすくするために、単純化した架空のDEXを想定して具体的に解説していきましょう。

LPが流動性プールに提供するトークンの種類を2種類、各トークンをA、Bとします。

価格が、「1A=200円」「1B=500円」。

Aの数量を「a」、Bの数量を「b」で表し、「a×b=4,000」となるようにプログラムされているとしましょう。つまり、トレーダーによって、いかなる取引が行われても、常に両トークンの量の積は、「4,000」という定数を維持するようにできているということです。ちなみに、この2種のトークンの数量どうしの積が定数になるという数式は、DEXのUniswap V2で採用されています。

DEXでは、LPがトークンを提供する際、2つのトークンを同額ずつ提供するのがルールとなっています。よって、仮にトークンAとBそれぞれの合計値を同額の「20,000円」分ずつに設定します。すると通貨の量は、「a=100A(20,000円÷200円=100)」と「b=40B(20,000円÷500円=40)」となるのが、わかるでしょう。この状態からDEXがスタートすると考えます。

仮にトレーダーが、100Aをプールに追加した場合、トークンの量aはもともとの100Aに100Aが加わるので、200Aとなります。ここで定数「4,000」を維持するために、Bのトークン量bは20Bに減少します(4,000÷200=20)。そして、1Aの価格はaが増えた分100円に下がり(20,000円÷200=100円)、1Bはbが減った分1,000円に値上がりします(20,000円÷20=1,000円)。

という具合に、すべての取引はAMMに組み込まれたスマートコントラクトの自律的な働きによって維持されているのです。

実際のDEXはこの様な単純なものではありません。トークンの種類がもっと多かったり、プール内のトークン量も総額もトレード回数も増加したりするので、流動性が高ければ高いほど動きは複雑化します。

DEXでもオーダーブック方式が採用されている例はありますが、AMM方式の方が圧倒的に多いのが現状です。それは、前述のようにイーサリアムブロックチェーンでは、手数料を安く抑えることと、スピーディーなトレードが重視されるため、手間と時間がかかるオーダーブック式ではどうしても実用性に欠けるというのが、大きな理由です。

AMM 方式では変動損失のリスクもある

DEXを開発するうえで、AMM方式を採用する場合、考慮しておくべきことの一つに「変動損失」リスクがあります。

AMMによって流動性プール内のトークンは、ひっきりなしに価格が変動し続けています。

すると、ある局面においては、そのトークンの値が過度に下がり、LPにとっては、プールに同トークンを提供する前の方が、価格が高かったという現象が一時的に起こる可能性があるのです。これが「変動損失」です。

例えば、トークンAの価格が1単位あたり1,000円だったところ、DEXに提供し、いざサービスを開始するとトークンAを売るユーザーが思いの外多い場合は、800円、500円…というように値下がりしてしまうという具合です。

これこそが、AMMのメカニズムなので、仕方のないことではあります。ただ、この場合、仮に500円まで値下がりした時点でしびれを切らせてLPがこのトークンを流動性プールから引き出してしまったら、1単位につき500円の変動損失が生じることになります。ただ、そのまま静観していると、やがて別のトークンの売りがまさって、トークンAの値が1,000円近くにまで揺り戻される可能性は十分にあり得ます。それどころか、ことによっては1,000円を上回るかもしれません。

これについては、LPとして避けることができない駆け引きともいえるでしょう。と同時に、DEX開発者としては、LPが抱えるリスクを補って余りあるほどの魅力的なインセンティブを用意するのが重要課題となることを忘れてはなりません。

まとめ

DEX 開発の要諦は、「投資意欲を掻き立てるプロジェクトの提示」「優れたAMMを搭載する流動性プールの開発」「将来性のある暗号資産の選択」「LPを魅了するインセンティブの用意」などです。

これらの条件を満たすDEXの開発は決して容易ではありませんが、成功すれば、大変魅力ある市場を形成できるでしょう。

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