2023.04.17

ブロックチェーン開発コスト を削減する方法!アプリの種類別コストやコストが高くなる要因も

「ブロックチェーン開発コストを削減する方法!アプリの種類別コストやコストが高くなる要因も」

導入文

金融、医療、物流・貿易、製造、不動産、ゲーム・エンタメ、行政と、ブロックチェーンの活用範囲は確実に広がっています。理由は、改ざんが不可能で低コスト、中央集権的管理者が不在なうえ、参加者全てが取引情報を閲覧できる透明性といった特徴をもつブロックチェーンが、さまざまな業界の抱える課題に適切なソリューションを与えることができるからに他なりません。

しかし実際にブロックチェーンを開発するとなると、かなりのコストを要するのが現実です。規模の小さな企業やスタートアップの経営者の中には、興味があってもハードルが高く感じる方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、ブロックチェーンの開発コスト削減の方法を紹介します。そもそもなぜブロックチェーン開発が高コストになりやすいのかや、アプリの種類ごとのブロックチェーン開発コストについても解説します。今後ブロックチェーンを開発・導入したいとお考えの経営者や担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

ブロックチェーン開発におけるコスト 削減の重要性

ブロックチェーン自体、技術的には歴史が浅く、仮想通貨をのぞいて導入例はいまだごく一部に限られているのが現実です。そのため、多くの企業は開発経験がなく、ブロックチェーンを導入することによって予期した通りの効果が得られるかが未知数な状態で開発をスタートします。なかにはトレンドに乗り遅れないようにと息巻いてブロックチェーン開発に手をつけたものの、その途中でそもそもブロックチェーン技術がなくても事足りると判明し、時間とコストが無駄になるケースもあります。

後述しますが、ブロックチェーン開発は決して安価ではありません。開発手法によっても、プロダクトの出来不出来に大きな差が生じます。投資に見合った収益が得られないとか、効率化によって人件コストが削減できなければ、大きな損失を計上する恐れもあるでしょう。よって費用対効果を十分に検証した上で、可能な限り低予算で開発に着手しなければなりません。

ブロックチェーン開発コスト に影響を与える要因

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ブロックチェーンを開発

ブロックチェーン開発費用はどのような要素で決まるのでしょうか。その辺りのからくりを理解しておかなければ、無駄な予算を計上することにもなりかねません。

具体的には、

・人件費

・複雑なメカニズム

・開発以外の業務

・運営費用

以上の4点になります。

それぞれについて具体的に解説しましょう。

「人件費」 

とくに国内においては、ブロックチェーンエンジニアの数があきらかに不足しています。そもそもIT人材が不足傾向にある中、ブロックチェーンの場合は複数の開発言語に関するスキルやノウハウが求められるうえ、ブロックチェーンならではの特殊技術や複雑なメカニズムを実装する能力も必要です。そこまでを網羅してビジネスレベルにまで昇華できる人材となるとさらにその数は絞られてくるのです。よって人件費が通常のシステム開発より高騰する傾向が強いといえます。

ブロックチェーン技術は特殊なため、一般的に自社内で開発するのはまず不可能といってよいでしょう。したがって、アウトソーシングするのが一般的です。

アプリの種類や委託する開発企業の規模にもよりますが、安くても数百万円、高ければ数千万円単位の予算が必要になります。開発費は、ブロックチェーンエンジニアに加えて、アプリデザイナーやバックエンド開発者、QA(品質保証)エンジニア、プロジェクトコーディネーターといったさまざまな人材の人月単価をもとに計算されるのが一般的です。とりわけブロックチェーンエンジニアについては、高ければ月単価が150万円にものぼることがあるので、開発に半年かかるとすると、1人分でも900万円に達します。基本的に開発企業の規模が大きくなるほど、それに比例してコストも高くなると考えてよいでしょう。

「複雑なメカニズム」 

上記の「ブロックチェーンならではの特殊技術や複雑なメカニズム」というのは、具体的に、

・コンセンサスアルゴリズム

・スマートコントラクト

・暗号化技術

・データ構造ブロック(ハッシュ)

などになります。これらを間違いなくシステム内に組み込んでブロックチェーンを構築するには、特別なスキルと手間が必要になるため、ブロックチェーン技術者の人件費は高騰しているのです。

ブロックチェーンは、各取引(トランザクション)についてすべてのノードが承認することでデータの正当性が保証される仕組みになっています。この合意形成をコンセンサスアルゴリズムといいます。代表的なものにPoW(プルーフ・オブ・ワーク)やPoS(プルーフ・オブ・ステーク)などがありますが、ブロックチェーン開発時には、これらを実行できるようにしなければなりません。

また、イーサリアムブロックチェーンに代表されるDapps(分散型アプリケーション)では、融資や保険といった金融サービスやサプライチェーンの安全性を保証するトレーサビリティ、NFTの発行や流通、成績証明や著作権管理、医療データの管理と共有といったパフォーマンスが可能となります。これらはすべてスマートコントラクトによって実装されています。スマートコントラクトとは、ある条件に対してあらかじめプログラミングされた通りに契約を自動実行するプロトコルのことです。これによってブロックチェーンの機能が飛躍的に拡大しました。スマートコントラクトの実装には、Solidityという開発言語をマスターする必要があり、ここでも特殊性が求められます。

さらに、ブロックチェーンがデータ改ざんが不可能と言われる理由は、ハッシュ値の存在があるからです。ブロックチェーン上では、全ての取引データが決められた時間ごとにブロック内に格納され、次のブロックが形成されては前のブロックと鎖のように繋がれていく仕組みになっています。前のブロックの取引データはハッシュ関数によってハッシュ値というダイジェストデータに簡略化され、そのまま後のブロックにも含ませるようにします。するともしあるブロック内のデータを悪意ある第三者が書き換えようとすると、前のハッシュ値との整合性が取れなくなるうえ、後に続くブロックのハッシュ値もすべて書き換えなければならなくなり、すぐにバレてしまいます。よって改ざんはほぼ不可能といえるのです。

これらに加えて、秘密鍵と公開鍵からなる暗号技術、電子署名、擬似乱数生成についての知識やスキルが必要となり、その複雑性がブロックチェーン開発コストを高騰させる要因となるのです。プロジェクト特有のニーズに合わせてシステムをカスタマイズすることもよくありますが、その場合も費用が追加されていきます。

「開発以外の業務」

ブロックチェーンプロジェクトを立ち上げる際、とくにパブリック型で不特定多数の参加者を集めるには、ホワイトペーパーを発行してプロジェクトの概要や魅力、将来性などをアピールする必要があります。コミュニティを生成し、プロジェクトを盛り上げる環境作りも欠かせません。ブロックチェーン開発は、単に技術や仕組みの構築だけにとどまらず、これらの付帯的な行為にもコストがかかることがあるのです。

「運営費用」

ブロックチェーンはリリースした後も引き続きメンテナンスしていく必要があります。バグの修正や、追加されていくデータの整合性をその都度確認していかなければなりません。そのための費用も見込んでおく必要があるでしょう。

アプリの種類に基づく ブロックチェーン開発 コスト

ブロックチェーン開発コストは、アプリの種類によって異なります。大まかな目安は以下の通りです。

医療・ヘルスケア700万円〜1,300万円以上
オンデマンド500万円〜1,000万円
ソーシャルメディア600万円〜1,300万円以上
行政900万円〜1,300万円以上
金融800万円〜1,300万円以上
DAO50万円前後〜260万円前後
仮想通貨ウォレット1,000万円前後〜1,200万円前後
仮想通貨交換650万円〜1300万円

あくまで概要のため、開発業者やプロジェクトの内容によって変動すると理解してください。

コスト削減のためのブロックチェーン開発方法

「人件費」

ブロックチェーン開発にはプログラミング以外にも特殊性が求められるので、自社内で一から行うのはほぼ不可能といってよいでしょう。そのためアウトソーシングするのが1っパン的です。

ただ国内となるとエンジニアが限られており、どうしても開発費用が高騰して予算オーバーになりかねません。そこでおすすめするのが、「オフショア開発」です。

オフショア開発とは、ベトナムやインド、中国といった東南アジアのIT企業に開発を依頼する手法のことです。オフショア開発の場合、日本の開発費と比べると、約20〜80%コスト削減できます。インドや中国は優秀な技術者が多いものの、近年は人件費が急激に上昇しています。その点、ベトナムはインドや中国、また日本国内のエンジニアに勝るとも劣らない優秀な人材を多く抱えているうえに、コストは半額〜70%ほどで委託できます。なかでも「ラボ型開発」は、柔軟性に富んでおり、依頼者の意図が忠実に反映されやすいためブロックチェーン開発にうってつけでしょう。

ラボ型開発では、エンジニアやプロジェクトマネージャー、ブリッジSE、通訳者などによる自社の専属チームを結成し、契約期間の間、その開発業務に集中して取り組みます。エンジニアを自社の社員のように扱うことができ、契約途中での仕様変更も可能です。開発が終了しても契約期間内であれば別の業務を依頼することができる点も大きなメリットでしょう。

多くの企業にとって、ブロックチェーン開発はプロジェクトそのものが画期的で、自社の将来性を賭けた一大プロジェクトであるケースが少なくありません。よって絶対に失敗は許されないでしょう。その意味でも、依頼者と開発者の交流が密で、開発の様子が把握しやすく仕様変更にも柔軟に対応してもらえるラボ型開発は、この上なくブロックチェーン開発に向いているといえます。

「複雑なメカニズムの開発」

複雑なブロックチェーンメカニズムの開発には、高度な技術力が必要です。オフショア開発を利用することで、海外の優秀な開発者を雇用し、高度な技術力を持つチームを構築することができます。

たとえば、ブロックチェーンフレームワークは、ブロックチェーンネットワーク上でアプリケーションを構築するための基盤となる技術です。主要なブロックチェーンフレームワークには、Ethereum、Hyperledger Fabric、Cordaなどがあります。

一方、ガス代とは、Ethereumネットワーク上でスマートコントラクトを実行する際に支払う手数料のことです。ガス代は、スマートコントラクトの処理に必要な計算リソースやネットワーク帯域幅を提供するマイナーに支払われます。

ブロックチェーンフレームワークとガス代は、密接に関連しています。例えば、Ethereumネットワークでは、スマートコントラクトの処理に必要なガス量が決まっており、そのガス量に応じてガス代が決定されます。つまり、スマートコントラクトの処理を行うアプリケーションを開発する際には、ガス代の負担を軽減するために、効率的なコードを書くことが必要になります。

また、ブロックチェーンフレームワークによっては、ガス代を最小限に抑えるための機能が提供されています。例えば、Hyperledger Fabricでは、プライベートチェーンを構築することができるため、ネットワーク帯域幅の負荷を軽減することができます。さらに、Cordaでは、トランザクションの処理を必要とするパーティーだけが参加することができるため、余分なネットワーク帯域幅を消費することを避けることができます。

つまり、ブロックチェーンアプリケーションを開発する際には、オフショア開発企業はブロックチェーンフレームワークとガス代の関係を理解し、効率的なコードを書くことで、ガス代の負担を軽減することが重要です。また、適切なブロックチェーンフレームワークを選択することで、ガス代を最小限に抑えることができます。

「開発以外の業務」

ブロックチェーンの開発以外には、コミュニティマネージャーや法務チームなどの専門家が必要になります。例えば、ブロックチェーンプロジェクトには、プロジェクトの目的やメッセージを正しく伝え、コミュニティの関心を集めるコミュニティマネージャーが必要です。また、法的な問題にも対処する必要があるため、法務チームが必要となります。

これらの業務を自社で行う場合、コストがかかるだけでなく、プロジェクトの専門性を持たない従業員を雇用する必要があります。一方で、アウトソーシングを利用することで、専門的な知識や経験を持つ専門家を雇用することができます。そのため、より高品質な業務を達成できるだけでなく、コストを削減することができます。

例えば、コミュニティマネージャーをアウトソーシングする場合、外部の専門家がプロジェクトに加わり、コミュニティのニーズに応じたプランニング、マーケティング、イベントの企画と実行を行います。同様に、法務チームをアウトソーシングする場合、外部の専門家が法的問題に関するアドバイスを提供し、必要に応じて書類作成を行います。これにより、プロジェクトに必要な業務が適切に遂行され、コストを削減することができます。

ただし、アウトソーシングを行う際には、業務の品質や納期を確保するため、信頼できるパートナーを選ぶことが重要です。また、業務の委託先との適切なコミュニケーションを確保し、プロジェクトの目標に沿った成果を得ることが求められます。

「運営費用の削減」

ブロックチェーンの運営には、ノードの維持、プロトコルアップデート、セキュリティ監視、ネットワーク管理など、多くの作業が必要です。これらの作業は専門的な知識や経験が必要であり、それに伴って高額な費用がかかることがあります。そのため、コスト削減のためには、オフショア開発を活用することが有効な方法です。

オフショア開発とは、開発作業を海外の企業や個人に委託することで、開発費用を抑える方法です。具体的には、人件費の削減や専門知識を持った開発者の採用が容易になるなどのメリットがあります。また、海外の企業や個人に委託することで、24時間体制での開発やサポートが可能になり、運営コストを大幅に削減することができます。

ただし、オフショア開発にはリスクも伴います。例えば、開発者のコミュニケーション能力が不十分であったり、品質の低いコードを提供される場合があるため、開発者の選定には注意が必要です。以下はブロックチェーン開発者の選択法です。

  • テクノロジーや予算、スケジュールなど、あらゆる関心事のリストを作成することは、初めてかつ最も重要なステップです。要件を完全に理解することで、将来のテックパートナーとの面会時間を節約することができます。
  • 次に、潜在的なブロックチェーンサービスプロバイダと全ての要件を確認します。メール、テキスト、オンラインビデオなどを利用して情報を共有し、無料のコンサルテーションを受け、最適なソリューションを見つけるために、どのパートナーが最適かを決定する機会を得ることができます。
  • 3番目のステップは、ショートリストに挙がったブロックチェーンサービスプロバイダから提案書を入手することです。提案書には、費用、法的条項、およびパフォーマンスの失敗ポリシーに関するすべての関連データと情報が含まれている必要があります。これにより、ベンダーの作業品質が明確になります。
  • 提案書は、貴社の基準と比較する必要があります。これは、極めて注意深く実施する必要のある時間のかかるプロセスです。数回の電話や交渉を通じて、ブロックチェーン企業と最良のオプションを決定し、双方にとって有益なものにすることができます。
  • プロジェクトを開始する前に、問題が発生した場合のバックアッププランを作成することが重要です。

総じて、ブロックチェーンの運営費用を削減するためには、オフショア開発を活用することが有効ですが、リスク管理を十分に行い、信頼できる企業や個人との取引を進めることが重要です。

まとめ

ブロックチェーン開発は、社運をかけた重要なミッションであることがほとんどでしょう。その意味では、絶対に失敗は許されません。ただしブロックチェーン開発は非常にコストがかかるため、低コストでクオリティの高いパフォーマンスが期待できるオフショア開発がおすすめです。

レリパでは、お客様のブロックチェーン開発を全面的にサポートしております。DeFi、NFT、DAO、ブロックチェーンゲームなど豊富な経験と高いスキルをもつエンジニアが多数在籍しております。ぜひお気軽にご相談ください。