【2025年最新版】ERPとは?ERPとブロックチェーンを連携させると何が変わる?メリット・注意点をわかりやすく解説

ERPとは?ERPとブロックチェーンを連携させると何が変わる?メリット・注意点をわかりやすく解説

DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速する現代において、業務プロセスの効率化や、データの透明性・信頼性の向上は、多くの企業にとって重要な課題となっています。こうした背景の中で、ERP(基幹業務システム)とブロックチェーン技術の連携が注目を集めています。 

本記事で、RelipaはERPの基本的な概念から、ブロックチェーンを組み合わせることでどのような変化やメリットがもたらされるのか、そして導入時に押さえておくべき注意点まで、企業の意思決定に役立つ視点でRelipaがわかりやすく解説します。 

ERP とブロックチェーンの概念 

ERPとブロックチェーンの連携を理解するには、まずそれぞれの基本的な概念について把握することが重要です。

ERPとは?

ERPは「Enterprise Resource Planning」の略で、日本語では「企業資源計画」と訳されます。 

もともと、ERPは企業の経営資源を効率的に活用するための手法を指しますが、近年では、会計、人事、生産、物流、販売など、さまざまな業務を一元管理するシステムそのものを「ERP」と呼ぶのが一般的です。 

ブロックチェーンとは? 

ブロックチェーンは、「分散型台管理帳技術(DLT)」に属する革新的な技術で、第三者を介さずに安全かつ透明性の高い方法でデータを記録・共有できる仕組みです。 

従来のようにデータを中央で管理するのではなく、情報を「ブロック」と呼ばれる単位に分け、それらを時系列で「チェーン」のように連結して保存します。この構造により、改ざんが非常に困難であり、データの追跡性と信頼性が飛躍的に向上します。 

ブロックチェーンの最大の特徴は、いったん記録された取引情報が変更・削除できない点であり、これにより透明性・セキュリティ・信頼性が大きく向上します。この特性を活かし、ビットコインなどの暗号資産、スマートコントラクト、サプライチェーン管理など多くの分野で活用が進んでおり、近年ではERPとの連携にも注目が集まっています。 

ERPとブロックチェーン技術の連携とは 

ERPとブロックチェーンの連携とは、ブロックチェーン技術をERPシステムに統合することにより、企業におけるデータおよび取引管理の効率性、セキュリティ、透明性を大幅に向上させる取り組みを指します。 

なぜ企業はERPにブロックチェーンを連携すべきなのか? 

なぜ企業がERPにブロックチェーンを連携するか理解するためには、まず従来型ERPに残されている課題を把握する必要があります。 

従来型ERPの課題点

ERPを使用する際に最も深刻な問題の一つは、サイバー攻撃により機密情報が漏洩するリスクが高いことです。この主な原因は、企業側のセキュリティ意識の低さや、ERP運用チーム内で権限の分担が明確でないことにあります。また、企業がERPシステムを最新バージョンに更新せず、外部からの侵入を許すセキュリティホールが残されたままになっていることも一因です。 

さらに、ERPを利用する際にはアクセス権限の管理が困難であるという課題もあります。多くの従業員がERPシステムにアクセスする中で、「誰が」「何を見て」「どのような変更を加えたか」を厳密に管理しなければ、不正行為や内部情報の漏洩、意図しないデータの損失など、重大なリスクを招く可能性があります。 

また、従来のERPには、データ変更の追跡に関する透明性が不足しているという問題もあります。データが編集された際に、「誰が」「いつ」「何を変更したか」がシステムに記録されないことが多く、監査やエラー修正、不正調査が非常に困難になります。 

このような問題に対して、ブロックチェーンの連携は有効な解決策を提供します。

ブロックチェーンの優位性

  • ブロックチェーンではデータが「ブロック」単位で分割され、それぞれが連鎖的につながった「チェーン」として管理されます。これにより、データは暗号化された状態で分散保存され、不正アクセスや改ざんの防止が可能になります。 
  • ブロックチェーンは明確なアクセス権限の設定が可能です。許可されたユーザーのみがERP内のデータを変更でき、そのすべての操作が記録されるため、異常行動の早期発見・対応が容易になります。 
  • ブロックチェーンはすべての取引やデータ変更履歴を不可逆的に記録・保存するため、ERPシステム全体の透明性を大きく向上させます。これにより、業務プロセス全体におけるトレーサビリティ(追跡可能性)が確保されます。 

このように、ブロックチェーンのセキュリティ・透明性・追跡性の高さは、従来型ERPの弱点を補完し、より堅牢で持続可能な企業管理基盤の構築に貢献します。 

ERPとブロックチェーンの連携がもたらすメリット 

本記事では、なぜブロックチェーンの導入がERPの未来を切り開く鍵とされているのか、その理由を解説します。 

データの信頼性および透明性の向上

ブロックチェーンの最大の利点の一つは、データの完全性を保証する能力です。 
一度ブロックチェーン上に記録された情報は、ネットワーク全体の合意がなければ改ざんや削除が非常に困難です。これにより、不正行為や意図的な改ざんのリスクが大幅に軽減されます。 

ERPシステムにブロックチェーンを連携することで、企業は高いセキュリティを備えた分散型台帳上で取引データを管理できるようになります。 
すべての変更は、時間、実行者、変更内容などの詳細とともに記録されるため、トラブル発生時の原因追跡が容易になります。 

その結果、ERP内のデータはより透明性が高く、信頼性があり、管理がしやすくなり、意思決定の正確性と効率も向上します。 

サプライチェーン管理の効率化

サプライチェーンは、複数のパートナーや部署、工程が関わるため、管理が複雑で、時間やコストがかかりやすい分野です。 しかし、ブロックチェーン上で稼働するスマートコントラクト(Smart Contract) 技術により、手動による介入なしに取引条件を自動実行することが可能になります。 

ERPにブロックチェーンを導入することで、商品、契約、配送などに関するデータを統合的に管理でき、すべての関係者がリアルタイムで透明性のある情報にアクセス可能になります。 

これにより、処理時間の短縮、人的ミスの削減、業務効率の向上が実現され、サプライチェーン全体の最適化に貢献します。 

セキュリティやコンプライアンスの強化 

ブロックチェーンは分散型の仕組みで動作し、公開鍵暗号技術によってデータが保護されているため、サイバー攻撃や不正行為からの防御力が高くなります。たとえシステム内の一部のノードが侵害されたとしても、分散型システムにより全体のデータには影響が及びません。 

ERPシステムにブロックチェーンを連携することで、データの完全性が確保されるだけでなく、安全な情報の保存および共有環境が実現されます。 
すべてのアクセスやデータの編集履歴が詳細に追跡・管理できるため、企業は監査対応、内部統制の強化、法規制への準拠がしやすくなります。 

その結果、ERPシステムはより安全性が高く、透明性があり、信頼できる基盤として、社内外の関係者からの信頼を獲得できます。 

ERPとブロックチェーンの連携に関する具体例 

技術が日々進化する現代において、ブロックチェーンは企業間連携を支援するための革新的なテクノロジーとして注目を集めています。スタートアップ企業から老舗のテクノロジー企業まで、多くの企業がこの技術を活用し、Hyperledger Fabric、Multichain、Quorum などのプロジェクトを積極的に展開しています。 

本記事では、企業向けブロックチェーン技術の一つである Hyperledger Fabric を用いて、データ処理を支援する仕組みをご紹介します。 

ERPとブロックチェーンの連携のモデル

出典: Inside SAP 

ある物流プロセスでは、7つの部門が流通サイクルに関与しています。 

具体的には、A社が大量の製品を製造会社(B社)に配送し、さらにサービス提供会社(C社)を通じて最終的に顧客に販売されます。商品の輸送は物流会社(D社)が担当し、D社は配送用トラックを複数の陸上輸送業者(E社およびF社)に提供する統括業者として機能します。 

各部門で発生するすべての取引は、分散型台帳に記録され、そのデータは恒久的に保存されます。このようなシナリオにおける分散型台帳は許可型ブロックチェーンとして機能し、ネットワークに参加する各メンバーは事前に承認され、コンセンサスアルゴリズムを通じて取引の検証が可能です。 

以下は、Hyperledger Fabric をベースにした企業間連携プロセスにおけるシステムアーキテクチャと各社間のライフサイクルにおけるやり取りの構造図です。 

ERPとブロックチェーンの連携のモデル

出典: Inside SAP 

メインチャンネル (Main Channel)は、取引価格、税率、製品の詳細といった機密性の高い情報や企業グループごとのプライベートな情報を保持するために使用されます。入札チャンネル(Tendering Channel)は、運送会社が配送ルートに関する入札を行うために使用され、複数の輸送業者の参加を促進します。 

まず、サプライヤー企業が、物流デジタルチャンネルを通じて、貨物の状況や予定納期に関する情報を入力します。この際、独自のデジタル証明書を使用して信頼性とセキュリティを確保します。この情報は、製造会社および運送会社にのみ共有され、データアクセスの範囲が適切に制御されます。 

次に、運送会社はその情報を受け取り、入札ネットワークに送信します。ここでは、複数のトラック供給会社が、配送ルートごとに入札価格やトラックの空き状況を提出できます。 

適切な輸送業者が選定された後、運送会社は元の物流チャンネルに戻り、確定した配送情報をサプライヤー企業および製造会社の両者に通知します。 

ブロックチェーン技術の導入により、各関係者間の輸送・取引プロセスがすべて記録され、改ざん不可能な透明性が確保されるとともに、情報のトレーサビリティ(追跡可能性)も容易になります。 

Relipaは、6年間にわたるブロックチェーン開発の経験と業界における深い知見を活かし、多くのお客様から開発依頼と信頼をいただいております。 

現在、当社は「ブロックチェーンでトレーサビリティシステム」の開発を進めています。このプロジェクトでは、製品の開発・製造・販売に至るまでの履歴をブロックチェーン上に記録し、日時・場所・担当者・輸送ルートなどの情報を可視化できるシステムを実現しています。 
このシステムは、バーコード・ICタグ・センサーなどの読み取りに対応しており、リアルタイムで情報を記録・表示することが可能です。さらに、ユーザーアカウントごとに異なるアクセス制限を適用することもでき、柔軟かつ安全な運用が可能です。興味のある方はぜひご連絡ください。
 

ブロックチェーンでトレーサビリティシステム

ERPとブロックチェーンの連携時の注意点 

初期導入コストが高い

ブロックチェーンを導入するには、財務面および人材面の両方で多大な投資が求められます。 

  • 技術コスト:ブロックチェーンソリューションは、専用のソフトウェア、ハードウェア、およびネットワーク環境など、特別な技術インフラを必要とします。 
  • 人材コスト:専門的なスキルが求められるため、企業は社内研修への投資や、外部のブロックチェーンエンジニアの採用が必要になる場合があります。 
  • 連携コスト:既存のERPシステムがブロックチェーンと互換性のない場合、統合作業が複雑化し、コストが膨らむことがあります。

「通常、カスタムERPシステムの開発費用は2万5千ドルから500万ドルの範囲であり、中小企業向けの一般的なERPソリューションと比較して高価な選択肢となっています。」 

さらに、ブロックチェーンを統合することで追加費用が発生します。ERPにブロックチェーンを組み込む場合の総コストは、ERPの費用+ブロックチェーン統合費用になります。 

2025年時点でのブロックチェーン開発費用は、プロジェクトの複雑さ、企業規模、必要な機能により、約220万円〜750万円にわたります。 
【開発コストの目安】 

  • シンプルなアプリ(例:仮想通貨ウォレット、基本的なトークンシステム) 
     ➤ 約150万円〜220万円 
  • 中程度の複雑さを持つアプリ(例:スマートコントラクトを活用したアプリ) 
     ➤ 約220万円〜300万円 
  • 高度な複雑さを持つアプリ(例:分散型取引所、企業向けソリューション) 
     ➤ 300万円〜750万円以上 

ブロックチェーンは技術的に新しく、独自の仕様が多いため、導入プロセスが容易ではありません。 

  • システム統合の複雑さ:従来のERPとブロックチェーンを連携させるには、業務プロセスの見直しやソフトウェアのカスタマイズが必要になる場合があります。 
  • 分散型データ管理の難しさ:ブロックチェーンの分散型ストレージは、集中型で設計されたERPのデータ管理モデルとは異なるため、データ同期や制御に課題が生じます。 
  • データ量の増加:ブロックチェーンは全てのトランザクション履歴を記録するため、従来のシステムよりも大容量のデータ処理と保存が必要になり、システムへの負荷が増します。

標準化と互換性の欠如 

ブロックチェーン技術における標準化の欠如は、導入における大きな障壁の一つです。 

  • プラットフォームの多様性:Ethereum、Hyperledger、Cordaなどのプラットフォームは、それぞれ異なるアーキテクチャと通信仕様を持っており、自社に最適なソリューションの選定を困難にしています。 
  • 互換性の問題:多くの既存ERPシステムはブロックチェーンとの互換性がなく、導入にはアップグレードやミドルウェアの開発が必要となることがあります。 

ERPとブロックチェーンの連携は、技術と業務プロセスの両方に対する深い理解が求められる取り組みです。 Relipaでは、アイデアのヒアリングから、最適なソリューションの提案、システムの構築・運用・保守まで、すべてのフェーズで企業様をサポートしています。 
ロックチェーン関連プロジェクトにおける豊富な経験と高い専門性を持つエンジニアチームが、お客様の業種や成長目標に最適なシステム構築を全力で支援いたします。

ERPにブロックチェーン統合を導入すべき企業のケース 

高い透明性やトレーサビリティ(追跡可能性)を必要とする業界の企業にとって、ERPにブロックチェーンを連携することは非常に有効です。ブロックチェーンは製品の由来を追跡し、品質を保証し、偽造品の防止にも役立ちます。例えば、食品会社が原材料の安全性を証明するためにブロックチェーンを活用することで、消費者の信頼を高めることができます。 

また、複雑なサプライチェーンを持つ企業では、ブロックチェーンを導入することで、チェーン全体の管理効率が向上し、ミスや不正行為を最小限に抑えることが可能になります。 

さらに、取引や契約の自動化を必要とする企業にとっても、ブロックチェーンの導入は有効です。スマートコントラクトを利用すれば、「納品完了と同時に自動で支払いを実行する」などの契約条件を自動で実行でき、中間コストの削減と取引の迅速化が期待できます。 

そして、投資能力があり、技術力の高い企業(大企業やIT系企業など)であれば、先進的なソリューションとしてブロックチェーンの統合は適しており、初期導入時に必要な人的・資金的リソースを十分に確保することができます。

導入を慎重に検討すべき企業のケース 

一方で、以下のような企業では、ERPとブロックチェーンの連携を慎重に検討する必要があります。 

まず、中小企業(SME)や予算が限られた企業(小規模な小売店、家族経営の事業、スタートアップなど)では、ブロックチェーンの導入に伴うハードウェア・ソフトウェア・人材確保のコストが高額であるため、費用対効果が不明確または企業規模に見合わない可能性があります。 

次に、社内サービス業やサプライチェーンが関係しない業種の企業にとっても、特別なトレーサビリティや高度なデータセキュリティのニーズがない場合、ブロックチェーンの統合は不要であり、リソースの無駄遣いとなるリスクがあります。 

まとめ:ERPにブロックチェーンを連携すべきかの判断ポイント 
企業がERPにブロックチェーンを連携するかどうかを検討する際は、以下の観点から判断することが重要です: 

コストとメリットのバランス評価 
ブロックチェーンを導入することで得られる効果(例:顧客信頼による売上向上、不正防止によるコスト削減)を明確にし、それを導入コストと比較します。 

スモールスタートの活用 
導入に不安がある場合、まずは特定の業務プロセス(例:特定製品の追跡)で試験的に導入し、その成果を見てから全体に拡大することができます。 

専門家への相談 
適切な導入を実現するために、ERPベンダーやブロックチェーン技術の専門家に相談することをおすすめします。 

まとめ 

ERPシステムへのブロックチェーン統合は、一時的な技術トレンドにとどまらず、企業の運用基盤を強化するための長期的な戦略です。透明性の確保、高度なセキュリティ、そしてデータ管理効率の最適化といった特長により、ブロックチェーンは企業の経営活動に大きな価値をもたらします。 

特に、ビジネス環境がますます複雑化し、コンプライアンスへの対応が求められる中で、ERPへのブロックチェーン導入は持続可能なソリューションとして注目されており、企業の競争力向上や市場変化への柔軟な対応にもつながります。 

Relipaは、6年以上にわたりブロックチェーンソリューションの開発に携わってきた豊富な経験と、高い専門知識を持つエンジニアチームを強みに、日本およびアジア地域の多くの企業に信頼される技術パートナーです。ベトナム国内トップ10のブロックチェーン開発企業の一つとして、Relipaは単なる技術提供にとどまらず、お客様のビジネス目標に最適なシステムを構築するための戦略的コンサルティングから導入、運用支援までトータルでサポートいたします。 

ERPとブロックチェーンの統合にご興味がある方、業務効率の向上やセキュリティ強化をお考えの企業様は、ぜひRelipaまでご相談ください。専門家による丁寧なヒアリングと最適な提案で、皆様のデジタルトランスフォーメーションを力強く支援いたします。 

関連記事