インターネットの世界は、「Web3.0」という新たなステージへと突入し、その主役であるブロックチェーンの注目度は飛躍的に高まっています。
現に、2020年にはわずか1億ドル(約115億円)だったNFTの取引実績が、2021年には、250億ドル(約2.875兆円)と凄まじい勢いで伸びています。
ところで、このNFTはどのようにして始めればよいか。表のイメージは理解できても、その裏の仕組みや開発プロセスについてはよく分からない、という方も多いかもしれません。
そこで今回は、NFT開発の始め方ついて詳しく解説します。
本記事では、レリパが実際に開発からローンチまでを手がけたブロックチェーンゲーム「Widiland」の事例を取り上げながら解説していきます。
NFT開発とは
NFT開発とはNFTに関連する製品とサービスの開発で、例えばNFTゲーム, NFTマーケットプレイス, NFTアートなどです。
NFTを開発するには、まずどんなコンテンツを市場に売り出すかを決める必要があります。
その大きな決め手となるのは、収益性でしょう。
例えば、NFTゲームは非常に市場規模が大きく、2021年だけでも1,800億ドル(約20兆円)に達しました。NFTアートにいたっては、これも同年に一作品だけで6,935万ドル(約75億円)の高値で落札された例があります。
何を売り出すかが決まったら、そのシステムの基盤となるブロックチェーンと独自トークンの開発に取りかかります。
NFT開発の始め方:NFT開発プロセス(Widilandの事例を使って解説)
NFTは、どのようなコンテンツを開発するかにより、細かな方法は異なります。しかし、大まかな流れは同じなので、レリパが協力企業の皆さまと2022年にローンチしたNFTゲーム『Widiland』を例にとりながら始め方と各ステップについて説明していきましょう。
※ちなみに『Widiland』は、食物やエネルギーが枯渇し、人類存亡の危機にある100年後の世界が舞台で、新惑星で人類が生き延びるための開拓作業がゲームのメインテーマとなっています。ガバナンストークンは「WIDI」。ゲーム内でのNFTはWIDIを使って取引できます。
Widilandの公式ホームページ:Widiland
NFT開発の始め方:トークノミクス設計&NFT設計
NFTプロジェクトの土台となるのは、その目的と将来の計画、そしてどのような財務基盤とトークン構成で事業を推進し、いかなる方法でトークンの需給バランスや資産性を維持するかを示す「トークノミクス」です。
『Widiland』の場合は、バリュエ―ションを「4億WIDI」に設定。自己資金で21%、IDOで2.5%、取引市場ではないプライベートセールで9.5%、シードパートナーから6%、ステーキングによるリワードが28%、メタバースファンドから15%という構成比(一部)で資金調達を計画しました。ちなみに、トークン価格は、IDOで0.04$、プライベートセールで0.025$で売り出し、シードパートナーには0.015$での譲渡を計画しました。
また、暗号資産プロジェクトの運営上、欠かせないのが、流動性の創出と維持です。開発者は、プロジェクトの魅力を高め、インセンティブを設けるなどして、トークンが高値で取引されるように努めなければなりません。
NFT開発の始め方:マーケティング・コミュニティービルディング
暗号資産を発行し、NFTプロジェクトを正式にスタートさせるには、その事業計画書にあたるホワイトペーパーやピッチデックの作成が不可欠です。
また、NFTプロジェクトをローンチするためには、細かなマーケット調査も欠かせません。コンテンツの内容や価格帯から、ターゲットの年齢や性別、立場、行動履歴などを設定したり、重点的に普及を目指す国や地域、その方法などを詰めたりしていきます。
認知度を高めるためには、専用サイトやランディングページ、プロモーション動画の作成も不可欠です。ターゲットの多くは、ホワイトペーパーに記載する専門的な内容にはあまり興味を示しません。それよりも、コンテンツの楽しさや価値、ゲームであればどの様にしていくらくらい稼げるのか、年齢や属性に関係なく、誰にでも分かるように周知していくことこそが、重要なのです。その点を考慮して、『Widiland』は、Twitter、Facebook、Instagram、YouTube、Discordを使ったプロモーションと集客を行っています。
AirDropやリファラル(紹介制)により、NFTコンテンツの魅力やUXを共有したり、無料体験によって潜在的な需要を掘り起こしたりするのも有効でしょう。
また、例えば、アパレルメーカーやスポーツメーカーとパートナーシップを組んで、ゲーム内のキャラクターが着るファッションアイテムやスニーカーなどをNFT販売するようにすれば、資金調達が進みやすくなるうえ、各企業のクライアントに広く、しかも効率的にアプローチすることも可能です。
NFTプロジェクトでは、コンテンツそのもの人気が高まれば、関連トークンの価格は確実に上昇し、それによりトークンの保有者が増えれば、自ずとプロジェクトのファンやユーザーも増加するという好循環が生まれます。綿密で正確なサーチによって的を射たマーケティングを行い、さらに絶え間のなく多角的なコミュニティービルディングを継続することで、数ある競合の中で存在感のあるNFTプロジェクトへと成長できるといえるでしょう。
NFT開発の始め方:資金調達
続いては、資金調達です。トークノミクス設計とピッチデック(事業計画書)をもとに、実際にNFTプロジェクトを運営するための資金を集めます。
『Widiland』を例にとると、最初に戦略的パートナーにトークンを売って資金を集め、それからプライベートセールでさらに協力企業から資金を募り、その後にDEXにてIDOを行いました。それぞれ、2~3ヶ月ほどのブランクをあけて実行し、合計で約1.9億円の調達に成功し、目標の数値に到達できました。
必ずしもピッチデック通りでなくても構いませんが、予定かそれ以上の資金を調達できるように、入念な準備と根回しが必要です。
NFT開発の始め方:トークンリスティング(DEX・CEX)
トークンを取引対象とするためには、暗号資産専用の取引所にリスティングする必要があります。NFTの場合は、イーサリアムやそれに類似したスマートコントラクトを有するブロックチェーンで使えるコインでなければならないため、おもな取引所は、『Widiland』のようにDEX(分散型取引所)となります。
ゲームプレイヤーや投資家は、自身のウォレットを直接DEXにつないでトークンを購入することになります。これが、『Widiland』の場合は、「WIDI」で、これを使ってゲームに参加したり、NFTを購入したりできます。
DEXは、スマートコントラクトを相手に完全に自動化された状態で場取引が行われるので、手数料はほとんど必要ありません。しかし、トークンによっては、CEX(中央集権型取引所)にリスティングすることもあり、この場合は、CEXを運営する管理者への手数料が必要になります。
NFT開発の始め方:NFT初期販売
とくに2021年を起点として、さまざまなNFTコンテンツが、数多く開発され、市場でも取引されました。NFT専用のマーケットプレイスで販売する場合は別として、独自でプロジェクトを立ち上げて運営する場合は、IDO(イニシャル・DEX・オファリング)によって資金調達するのが一般的です。例えばNFTゲームの場合も、IDOの後にキャラクターやアイテム、アクセサリーなどのNFTを売り出すという工程を経るのが主流でした。
しかし、2022年に入ると状況が変わり、「IGO(イニシャル・ゲーム・オファリング)」や「INO(イニシャル・NFT・オファリング)」という形で、IDOの前にNFTを販売する例が増えています。
IGOもINOも、ある程度事前に資金を調達して、先にNFTを作成しておき、本番リリース前に一定数のNFTと引き換えにさらに資金を募り、運営資金に充てるという手法になります。あらかじめNFTを初期販売しておけば、プロジェクトへの注目度が高まり、本番リリースされた際には、NFTの売買取引が、より早期に、より活発に行われると期待できるのです。
関連記事:IDOとは?ICOとは違う?IDOまでの手順を徹底解説
NFT開発の始め方:プロジェクトの本番リリース
上記の様なプロセスを経て、いよいよNFTプロジェクトは本番リリースを迎えます。
その際には、主役であるNFTプロダクトが、きちんと滞りなくリリースできるのか、念入りに確認することが大切です。また、広く信頼を集めるためにも、目先の利益に走らず、長期的な運営ビジョンをもつことも忘れてはなりません。例えば、定期的に新しい機能や特典などを追加するというのは、その良い例でしょう。
現に『Widiland』も、2022年5月末にβ版チャプター1が完了し、マーケットプレイスやDeFi機能(ステーキング・ファーミング・トレジャーハンティング)を追加しました。
オフショアを使用してNFT開発を行うメリットとデメリット
上記のように、NFT開発は、様々な準備工程やノウハウ、専門知識が必要となるため、経験のない企業やスタートアップが自分たちのリソースだけで軽々に行えるものではありません。そこで強くおすすめするのが、「アウトソーシング」です。
ブロックチェーンに造詣が深いIT企業や優秀なエンジニアを擁するオフショア開発企業に委託したり協力を仰いだりすることで、確実に成功に近づくことができるでしょう。
ただし、そこにはメリットだけでなくデメリットも存在するため、それらについて認識を深めておく必要があります。
メリット
最適化された開発プロセスを活用できる
暗号資産の開発やNFTコンテンツならびにローンチに到るまでのホワイトペーパーの作成と公開、投資家やユーザーへのアピールといった開発プロセスは、ある程度標準化されています。したがって、専門業者に外注すると、一からの開発とは異なり、早期にプロジェクトの見通しを立てることができるでしょう。
ちなみに、実際の開発経験のない業者の場合、たとえブロックチェーンやNFT自体の開発はできても、コミュニティの構築や投資家や取引所とのやり取り、といったマーケティングやその他のコンサルティング業務まではこなせないため、アウトソーシング先は慎重に吟味する必要があります。
スピーディーな開発とコスト削減が可能
開発実績のある専門業者に任せると一旦スタートしたプロジェクトは非常にスピーディーに進行します。しかも、途中で失敗したりやり直したりする可能性が低いためコスト削減にも寄与します。とくにオフショアの場合は、高品質な開発が可能でありながら日本に比べて人件費が安いため、コスト面でのアドバンテージは、かなり高いといえるでしょう。
深い専門知識をもつブロックチェーン開発チームがいる
NFTの開発には、ブロックチェーンについての深い知識や専門性の高い開発技術が求められます。よって、経験値の高いブロックチェーン開発チームを擁する業者に委託すると、様々な要望に応えてくれるだけでなく、リリース後のトラブル対応にも協力してもらえるため、非常に安心です。
とくに、ベトナムは世界有数のブロックチェーン先進国です。他の国や地域に比べ、ブロックチェーンとの関わりが長く、世界トップの人気を誇るNFTゲームの「Axie Infinity」を開発するなど、経験豊かで高いスキルをもつ人材が非常に豊富です。
時間の効率化が実現
アウトソーシングを利用すると、開発までの時間が大幅に短縮できるため、空いた時間を他の業務に充てることができるメリットがあります。
デメリット
仕事管理が難しい
アウトソーシングをすると、開発工程や現場の様子をすべてモニタリングできません。報告や意思疎通も限られた回数や時間だけになってしまうため、考え方にずれが生じたり、必要のない修正を余儀なくされたりして、コストが余分にかかる恐れがあります。
コミュニケーションの壁
とくにオフショア開発の場合は、言語や習慣、仕事への考え方の違いから、スムーズな意思疎通が難しいことがあります。よって、開発途中で齟齬が生じないように、日本語に精通したブリッジSEやエンジニアがいるかどうかを事前に確認しておく必要があるでしょう。
まとめ
NFTの開発手順について詳しく解説しました。
レリパでは、お客様のブロックチェーン開発を強力にサポート致します。
オフショア開発ならではの強みを活かし、低コストで、しかも日本語に精通したエンジニアやブリッジSEの高い技術力と豊富な経験により、ご期待以上のサービス提供をお約束します。
NFTを開発やその他ブロックチェーン開発のご要望がございましたら、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。心よりお待ち申し上げております。