デジタルコンテンツの唯一無二な価値を保証するNFT(非代替性トークン)。従来は不可能だった、デジタル画像や動画などの所有権を証明するという画期的なメカニズムは、数あるブロックチェーンプロジェクトの中でもひときわ異彩を放ち、世界中の投資家やマニアを強烈に惹きつけています。
もとは一部のアーティストやゲームクリエイターが手掛けていたNFTも、今や名だたる高級ブランドやスポーツメーカー、アニメプロダクション、さらにはスタートアップから小学生にも満たない子どもまで、あらゆる組織や個人がサプライヤーとなっています。
ところで彼らは、どの様にして自作のNFTを売っているのでしょうか?
答えは、「NFT専用のマーケットプレイス」にコンテンツを登録し購入希望者と売買を 行っています。
その際、マーケットプレイスで売ると手数料が発生しますが、その支払いには暗号資産が必要となります。
そこで今回は、NFT販売の際、マーケットプレイスに支払う手数料やそれ以外にかかるコストについても詳しく解説します。
NFTマーケットプレイスとは?
「マーケットプレイス」と聞くと、AmazonなどのECサイトを思い浮かべる方も多いかもしれません。NFT取引にも専用のマーケットプレイスが存在し、クリエイターたちは、そこに自身のNFT作品を出品して販売するのが一般的です。その意味では、ECサイトに出品して商品を販売するのと似たような仕組みです。
売る場合も買う場合も、NFTマーケットプレイスにアカウント登録のうえ口座を開設する必要があります。NFTマーケットプレイスでは、円やドルといった法定通貨で直接取引することはできません(「nanakusa」など一部の国内のマーケットプレイスでは、日本円によるクレジット決済も可能)。専用の暗号資産を購入し、専用のウォレットにその暗号資産を移したうえで、登録したマーケットプレイスのアカウントと紐づけしてはじめて取引に参加できるのです。
NFTマーケットプレイスには、世界最大手の「OpenSea」をはじめ、「Rarible」、「SuperRare」、「nanakusa」「Coinchech NFT」など、様々な種類があります。マーケットプレイスによって、支払う手数料の項目や価格、2次販売の際のロイヤリティの割合、対応している業界、コンテンツの種類やクオリティは、まちまちです。暗号資産を使っての取引になるので、どのマーケットプレイスで取引するかは、信頼性も十分に考慮して選択する必要があるでしょう。
NFT流通の流れを理解しよう
NFTを作成したら選択したマーケットプレイスに出品し、定額あるいはオークションという形で販売します。作品を気に入ったユーザーに購入または落札されれば、作品の所有権はその相手に移転します。この際、販売価格の一部を手数料として出品者がマーケットプレイスに支払うのが一般的です。
NFTは、そのまま所有されることもあれば、何度も転売を繰り返されることもあります。あらかじめロイヤルティ設定をすることで、原作者は二次販売の際も販売価格に対して一定の割合で報酬を受け取ることが可能です。
NFTでは、ゲームキャラクターやオリジナルアイテムを取引することもできます。あるゲームのNFT化されたキャラクターなどを別のゲームで使うことも可能です。通常、ゲーム運営者側の都合でサービスが終了すると、ゲーム内のキャラクターやアイテムはすべて消滅してしまいます。しかし、NFTの場合はデータが保存されるので、所有はもちろん、他のゲーム内でキャラクターを使い続けることができます。この点は、NFTならではの大きな特長と魅力といえるでしょう。
NFTマーケットプレイスに支払う手数料とは?
誰が払うの
NFTの売買にあたっては、一般的に売買が成立した際に、NFTの出品者がマーケットプレイスに対して販売価格の一部を手数料として納めます。この購入者が、同じNFTを転売した際も、同様に手数料の一部をマーケットプレイスに支払う仕組みとなっています。
また、マーケットプレイスによっては、NFT作品の購入者が購入手数料を支払わなければならない場合もあります。
いくら払うの?
NFTのマーケットプレイスへ支払う販売手数料は、各プラットフォームによって異なります。
以下に、主なマーケットプレイスの販売手数料をご紹介しましょう。
マーケットプレイス名 | 販売手数料 |
OpenSea | 2.5% |
Rarible | 2.5% |
SuperRare | 3%(ギャラリー手数料(一次販売)15%) |
Coinchech NFT(β版) | 10% |
AdambyGMO(β版) | 5%(クレカ決済可で、決済手数料3%) |
Nifty Gateway | 5%+30セント(=0.3ドル) |
以上のようにマーケットプレイスによって、販売手数料はまちまちです。
例えば、「OpenSea」で0.1ETH(イーサリアム)でNFT作品が売れた場合、その2.5%の0.0025ETHが販売手数料となります。1ETH=34万円だとすると、850円となります。
ちなみに、「SuperRare」については、NFT作品を購入した場合に、購入者も3%の購入手数料を支払わなければなりません。
マーケットプレイスの手数料以外にコストはかからないの?
NFT作品を販売するとなると、どうしても販売価格やそれにともなう手数料に目が行きがちになりますが、かかるコストはそれだけではありません。
NFTの多くは、イーサリアム(ETH)で取引されるため、暗号資産(仮想通貨)取引所でイーサリアムを購入するのが大前提です。さらに、NFTを買ったり売ったりする際に発生する「ガス代」(Gas Fee)も計算に入れる必要があります。最後に、この「ガス代」について解説しましょう。
ガス代とは
「ガス代」とは、イーサリアムの取引にともなうマイニング作業者(マイナー)への報酬のことで、イーサリアムで買う、売る、送金する、などの取引を行う度に支払う必要がある手数料です。
ガス代は、イーサリアムブロックチェーンにもともと組み込まれている機能の一つで、イーサリアムネットワークの混雑状況にともなって秒単位で常時変化しています。イーサリアムはビットコインに次ぐ人気の暗号資産のため、取引が増えすぎるとネットワークに多大な負荷がかかります。すると送金速度が落ちるため、これを回避するために変動制のガス代を課し、ヒートアップしてきたら価格を上げることで取引量をコントロールしている側面もあります。
NFTにおいても、基本的にマーケットプレイスに出品したり、NFTを購入したり、購入したNFTを外部ウォレットに出庫したりする際にガス代が必要になります(マーケットプレイスによって、ガス代が無料の場合もあり)。
ガス代の算出方法
ガス代は、「ガス価格×ガスリミット」で算出されます(後述しますが、この額は、最大値のため、実際はこれより安くなることもあります)。
「ガス価格」は、取引の複雑さによって上下するうえ、ユーザーの判断で支払うチップの量を調整することで、取引の承認スピードを早めたり遅くしたりすることができます。チップを高くすれば、マイナーへのインセンティブが高まるのでマイニングが優先され、トランザクションの承認がスピーディーに行われます。逆にチップが安ければ、承認は遅くなります。
例えば、NFT作品をライバルよりも早く落札したい場合、チップを高くして承認を早めることは非常に有効です。一方、NFT作品を出品するにあたっては、一刻を争う必要がないため、無理をしてチップを高くしなくても良いかもしれません。
ただし、ガス価格を安くすると、承認に時間がかかるにとどまらず、最悪の場合、承認されないこともあるので、下げ過ぎには要注意です。ガス価格の単位は「Gwei」で、「1Gwei=0.000000001イーサリアム」です。
「ガスリミット」は、マイナーがイーサリアムブロックチェーン上で1ブロックを処理するのに必要なデータ量と演算量の上限で、エラーなどが起こってもこれ以上ガスを支払う必要がないという意味で定められている数値です。ガスリミットは、デフォルト設定されているので、一般ユーザーが変更する必要はありません。
上述の「ガス価格×ガスリミット」で求められる額は、ガス代の最大値のため、ここから実際に使用したガス代を差し引いて、余りが出たら返金されます。
ガス価格は、利用者が多くてトランザクションが混み合っている時間帯は高くなり、利用者が少ないと安くなります。それにともなってガス代も上下しますが、その値動きや時間帯別の取引の混み具合は、下記のサイト(『ethereumprice』)から常時確認できます。
また、『ETH GAS STATION』にアクセスすれば、混雑状況に合わせたガス代がリアルタイムで確認可能です。日本時間では、深夜や午前中よりも、比較的昼間の方がガス代は安くなる傾向が強いので、その時間帯を狙って取引を行う方が、コストが低く抑えられます。
まとめ
NFTマーケットプレイスに支払う手数料について解説しました。
NFTの取引では、主に販売する際に手数料が発生することが多いです。ただ、マーケットプレイスによっては購入の際にも手数料が必要になることもあるので、事前によく調べておくようにしましょう。
また、イーサリアムを使って取引を行う以上、基本的にガス代がセットで付いて回るので、その分も考慮してイーサリアムを購入しておく必要があります。
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